グルカゴン熟考
2019/08/31 23:00:01 |
お勉強 |
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近年、糖尿病の病態形成に深く関わっている事が注目されてきている「グルカゴン」という物質があります。
「グルカゴン」とは消化管や膵臓から分泌され、一般的には血糖値を上昇させる作用のあるホルモンとされています。
実は最近の研究では、糖尿病の患者さんは皆多かれ少なかれ高グルカゴン血症、すなわちグルカゴンが分泌され過ぎている現象があるという事がわかり、
インスリンの欠乏もしくはインスリンの作用不足によって起こるとされていた糖尿病の病態は、それ以上にグルカゴンの過剰分泌を正さなければ血糖値のコントロールはできないのではないかという考え方が業界を席巻してきているのです。
その辺りの経緯が詳しく書かれてまとめられている本がありましたので、この度読んでみることにしました。
糖尿病はグルカゴンの反乱だった -インスリン発見後、なぜ未だに糖尿病は克服できないのか 単行本(ソフトカバー) – 2019/4/25
稙田 太郎 (著)
そもそもグルカゴンがここまで注目されるようになった最大のターニングポイントとなったのは、
2011年にアメリカのテキサス大学のRoger H. Unger教授の研究で、遺伝子工学的な処理によってグルカゴンが作用するために必要なグルカゴン受容体を欠損させたマウス(グルカゴン受容体欠損マウス)を使った実験だと思います。
著者の稙田(わさだ)太郎先生は1978年から2年間、そのUnger教授の研究室へ留学された経験をお持ちで、以後も糖尿病を御専門にされている医師の方で論文も多数執筆され、今回の本の中でグルカゴン周りの医学情報を丁寧にまとめておられます。
さて、そのUnger教授の2011年の実験についてですが、このグルカゴン受容体欠損マウスは血糖を上昇させるグルカゴンは血中に存在するものの、それを作用させることができない状況にあるため、血糖値はやや低めで推移しています。
Unger教授はこのマウスを糖尿病にしようとインスリンを分泌する膵臓のβ細胞を全滅させるためにストレプトゾシン(STZ:ブドウ糖と類似構造があり、膵臓β細胞だけを選択的に破壊する物質)という細胞毒を用いて、このマウスのインスリンをほぼゼロの状況へ人為的に持ち込みました。
従来の常識ではインスリンがほぼゼロであれば糖尿病は必発のはずでしたが、このグルカゴン受容体欠損マウスにおいてはなんと正常血糖で推移するようになったというのです。
しかも外からブドウ糖を与えても血糖の異常な上昇が認められなくなったというのです。
この事は、インスリン分泌低下よりもグルカゴン分泌過剰の方が糖尿病の病態に関わっているのではないかという考えを世に示すことになりました。
しかし、普通に考えれば血糖値が正常になったと言えど、グルカゴン受容体欠損などという不自然な事をしたらマウスの成長に悪影響が出そうなものです。
ところが驚くことに、このマウスはグルカゴン受容体が欠損し、インスリン分泌能がほぼゼロにも関わらず、
見かけ上はふつうのマウスと変わらず、元気に動き回り、寿命もふつうのマウスと大差はないのだろうです。
こうなるといよいよグルカゴンをいかにブロックするかという方向に糖尿病治療の流れがシフトするようになってきたというわけです。
これらは少なくとも論文上で確認される事実で、また世界で他の研究者からも追試で確認されており、揺るがしようのない現象であるようです。
しかしこれらが事実だとすれば、私の中に大きな疑問が二つ生じました。
一つは「グルカゴンを遺伝子工学的に完全ブロックすることが健康に寄与するのであれば、人間はもともと有害な機能をわざわざ身体に宿していたということになってしまう。人体がわざわざ有害な機能を内包しているとは考えにくい。はたしてグルカゴンの真の目的とは何なのか」ということです。
もう一つは「普通どんな機能も使い過ぎればやがて廃れていくはず。インスリンの分泌能や作用効率が糖尿病が重症化していくにつれて低下していくのもその自然な流れに沿っている。それなのにグルカゴンは酷使し続けているにも関わらず、糖尿病のどんなステージにおいても分泌亢進(過活動)を保ち続けるのはなぜなのか。」という疑問です。
この二つの疑問をしばらくずっと考えておりました。そしてようやく暫定的な私の中での答えがまとまりましたのでシェアさせて頂きたいと思います。
2つ目の疑問の方が比較的答えやすいので、まずはこちらから行きますが、
グルカゴンは複数ある血糖上昇ホルモンの一つで、他に血糖を上昇させるホルモンとしてはアドレナリン、ノルアドレナリン、コルチゾール、甲状腺ホルモン、成長ホルモンなどが挙げられます。
要するに人体は低血糖にならないようにするためのバックアップシステムを何重にも兼ね備えているということです。
それに対して血糖値を下げるホルモンはインスリンの1種類しかありません。それは人類の長い歴史の中では高血糖にさらされる場面があまりなく、ほとんどは血糖値が低下してしまう状況でそれを克服するために長い時間をかけて構築されてきたからだという説があり、これはよく言われることだと思います。
一方でグルカゴンの研究は2011年にUnger教授のグルカゴン受容体欠損マウスが登場するまでは、なかなか進まなかったという経緯もあります。
なぜならばそのマウス出現以前の研究は、ソマトスタチン、レプチン、GLP-1など種々のグルカゴンの抑制物質を用いて行われましたが、
そうした抑制物質を用いても、それらの物質に多面的な作用があるために、本当にグルカゴンの抑制によって起こった変化なのかどうかの証明が難しかったのと、
α細胞だけを攻撃するように遺伝子工学的な処理を行って毒素を注入しても、ほんの数%α細胞が生き残っただけで通常と変わらないレベルのグルカゴンが分泌されてしまうというので、
なかなか純粋にグルカゴンだけがゼロの状態を作ることが難しかったという理由があったからです。
この状況というのは、逆に言えば「グルカゴン」の分泌機能はそう簡単に失われてほしくない、すなわち「グルカゴン」は人体にとって非常に重要な役割を担っているのではないかという考えを思い起こさせます。
この本の中では「グルカゴンの反乱」と表現されるように、あたかもグルカゴンがやっつけるべき真の敵のように扱われていますが、
はたして本当にグルカゴンは悪い奴なのだろうかという気が私にはしてきます。
もう一つ、私がグルカゴンはとても大事だと思う理由は、グルカゴン自体にバックアップシステムが準備されているという点です。
インスリンの場合は膵臓のβ細胞からしか分泌されることはありませんが、
グルカゴンの場合は膵臓のα細胞以外にも、実は胃にも内分泌細胞があってα細胞と同様のグルカゴンを分泌することがわかっています。
さらに言えば、胃切除後の患者ではブドウ糖負荷試験によるグルカゴンの上昇反応が強いことが分かっています。
普通に考えればグルカゴンを産生する胃の内分泌細胞を胃切除によって失うわけですから、グルカゴンの産生量は少なくなっていそうなものです。
ところが現実は逆で、まるでグルカゴンを失うのを恐れて、他で最大限補おうとしているかの如く、むしろグルカゴンの過剰分泌が引き起こされます。
そのこともグルカゴンのことを身体が大事にしている傍証になるのではないかと私は思います。
ではもしグルカゴンが身体にとって大事なものだとして、
そこまでして失わないように最大限の仕組みが構築されているグルカゴンは、なぜ糖尿病を悪化させるような現象を引き起こしてしまうのでしょうか。
そこで私はインスリンの時にも感じた見え方の違いをグルカゴンにも当てはめてみてはどうかと思いました。
インスリンは血糖を下げるホルモンだと言われていますが、実はそれはあくまでもインスリンの真の目的の付随現象に過ぎなくて、
インスリンの真の目的は血糖値を下げることではなく、エネルギーを身体に取り込むことであるということ、
エネルギーを取りこんだ結果、血糖値が下がっているだけで、血糖値を下げることのみに捉われた私達はインスリンの本質を見落過ごしてしまっているという話があります。
グルカゴンも同様で、血糖値を上げるのは真の目的の付随現象で、その目的を私達が見失ってしまっている可能性がないか
と考えてみるのです。
ここで最初の1つ目の質問に戻ります。グルカゴンの真の目的とは何でしょうか。
まずグルカゴンの生理作用として一般的に言われていることとしては大きく以下の3つです。
①肝臓のグリコーゲンを分解し血糖値を上昇させる
②アミノ酸からの糖新生を促す
③ケトン体産生を促す(脂肪の分解を促進する)
①②はグルカゴンが血糖値を上げるために具体的にやっていること、という事になると思いますが、
③の事実が糖質制限実践者にとっては要注目ポイントです。
今までの私の理解では、ケトン体が産生される時というのは血糖値が十分低い時、基礎インスリン分泌のみで追加インスリンが必要以上に分泌されていない時ということだったのですが、
正直、グルカゴンは血糖値を上げさせるからケトン体産生はどちらかと言えばしにくくなるのではないかと思っていましたが、実際は逆でした。
またケトン体産生は言い方を変えれば脂質代謝の亢進、脂肪の分解が盛んに行われている状況という事になりますので、
グルカゴンはエネルギーを身体に取り込む「同化ホルモン」としてのインスリンとは逆で、エネルギーを身体から取り出すような方向へ代謝を傾けている「異化ホルモン」という側面が見えてきます。
しかしこれではまだグルカゴンの真の目的は見えてきません。何せグルカゴンはタンパク質を摂取するとインスリンと同時に分泌されたりしますので。同化と異化、真逆と思える働きを同時に駆動するなんて、身体は一体何をしようとしているのでしょうか。
もう一つこの問題を考える上で重要なグルカゴンに関する事実があります。それは、
④筋肉にはグルカゴン受容体が存在しない
以前私は75gブドウ糖負荷試験(糖質のみ)、バター負荷試験(脂質のみ)、ササミ負荷試験(ほぼタンパク質のみ)という人体実験を行い、それぞれで食前、30分後、60分後、120分後、180分後、240分後、300分後、360分後の計8回グルカゴンを測定してその推移を観察した過去があります。
その際血糖値の上がる糖質摂取ではグルカゴンは抑制され、血糖値の変化しない脂質摂取ではグルカゴンは横ばいに推移したのですが、
血糖値が変わらないかごく少しだけ上昇するタンパク質摂取でグルカゴンは少しだけ抑制されるのではなく、むしろ著明に上昇するという結果が導き出されました。
この結果をみて、私はグルカゴンは血糖のみならず、明らかにタンパク質に反応しているという事を感じました。しかしその時点ではそれが一体何を意味しているのかわからずにおりました。
一方でタンパク質と言えば筋肉のイメージですが、その筋肉にはグルカゴン受容体は存在していません。
ということは異化作用を起こすグルカゴンの働きは、筋肉にだけは及ばないということを意味しています。
これは肝臓のグリコーゲンを分解したり、アミノ酸から糖新生させるよう肝臓に働きかけるグルカゴンの一連の働きは、
これから筋肉にブドウ糖を使わせようとするための下準備作業であって、
その状況にインスリンも分泌されていることによって、晴れて筋肉へブドウ糖がエネルギー源として取り込まれることになります。
すなわちインスリンとグルカゴンは拮抗しているのではなくむしろ協働して、筋肉にブドウ糖を運びエネルギーを与えるという同じ目的の下に役割を分担しているのではないかと私には思えてきました。
そう考えるとインスリンの作用が減ることによって、筋肉のためのブドウ糖を血管内にまで届ける下準備は済めど、肝心の筋肉への取り込みプロセスがいつまでたっても終わらないため、
グルカゴンはその分泌量を一生懸命増やすことによって、筋肉にエネルギーが取り込まれない困難を何とか克服しようとしているのではないでしょうか。
すなわちグルカゴンの過剰分泌は反乱や暴走などではなく、何とかして困難を克服しようとしている適応反応なのではないかということです。
そう考えればグルカゴンがケトン体も産生していることにも矛盾はありません。グルカゴンはブドウ糖だけでなく、ケトン体をも産生させることによってとにかく筋肉のエネルギー活動体制を万全なものにしようとしているという方向性が見えてきます。
ですが、グルカゴン受容体欠損マウスで証明されたように、グルカゴンをゼロにすると血糖値は正常化するといいます。
しかもβ細胞毒STZでインスリンほぼゼロの状態にしたら、経口的にブドウ糖を与えても血糖値のスパイクさえ起こらないといいます。
普通ブドウ糖を摂取して血糖値のスパイクが起こらない場合はインスリンが適切に分泌され作用した場合に限ります。
ところがこのマウスではインスリンはほぼゼロの状態なので、インスリンのおかげで血糖値スパイクが防がれたという可能性はゼロです。
インスリンがゼロの状態で糖質を摂取しているのに、グルカゴン受容体欠損マウスの血糖値スパイクが起こらないのはなぜでしょうか。このマウスが摂取したブドウ糖は一体どこに消えたというのでしょうか。
ここで私はハッと気づきます。血糖値スパイクは食事中に含まれる糖質が吸収されて引き起こされるものだと思いこんでいましたが、
このマウスで糖質を摂取しているのも関わらず血糖値が上昇しないということは、血糖値スパイクを起こしているのはグルカゴンだということになります。
そして糖新生のような持続運転系のシステムがスパイク状の血糖上昇をきたしているとは考えにくいですので、
血糖値スパイクを引き起こしているのは、グルカゴンによる肝臓からのグリコーゲン分解の仕業だという姿も見えてきました。
食事からの糖質摂取も当然血糖値の上昇に寄与すると思いますが、実はスパイク状に上昇するのではなく緩やかに上昇してくるものなのかもしれません。
しかしそうだとすれば、血糖値スパイクと言えば酸化ストレスの元です。なぜグルカゴンはそんな人体に害となるシステムを持ってしまっているのでしょうか。
それはインスリンが働いていたり、筋肉がきちんと作用している事も前提で行っているグルカゴンの肝臓グリコーゲン分解だからではないかと私は思います。
本来グルカゴンによる肝臓グリコーゲン分解は血糖値スパイクを起こそうと思って起こしている現象ではなく、あくまでインスリンの後押しもあることによって、その後の筋肉の活動をスムーズに行わせるように準備したシステムだったのではないでしょうか。
それが糖質頻回過剰摂取でインスリンがあまりにも頻回過剰に分泌刺激されてしまったために、
前提としていたはずのインスリンがそこまでの耐久力を前提に準備されているシステムではなかったために人生の早期に消耗疲弊してしまい、
本来筋肉へスムーズにエネルギーを渡すために準備していたシステムである肝臓のグリコーゲン分解の迅速性だけが露出し、そこに筋肉活動の乏しさ、すなわちやせや運動不足もあいまってくれば、
グルカゴンにとっては不本意でしょうけれど、反乱とか暴走と称されても仕方のない現象をあたかも引き起こしているとみなされる状況になってしまうように思います。
もっと言えばタンパク質(アミノ酸)は筋肉だけでなく、脳や小腸、肝臓、腎臓など様々な臓器の活動に関わってくる物質です。
グルカゴンの真の目的は筋肉をはじめとした全身の生命活動の根幹を担う部分にエネルギーを利用しやすくする下準備をすることであり、その下準備の成果が活かされるのはインスリンがあってこそ、ということではないかと私は考える次第です。
ただいくつか疑問が残ります。β細胞を細胞毒STZで死滅させたグルカゴン受容体欠損マウスの耐糖能は正常で血糖値スパイクは正常とのことですが、
インスリンゼロなので細胞に取り込めないのに結局ブドウ糖はどこに行ったのでしょうか。
可能性なので、グルカゴンゼロなのでグルカゴンの作用とは逆に肝臓にグリコーゲンとしてめいっぱい溜まるように動いたとか、
脳や小腸、腎臓など他の臓器でゆっくりと消費されたとしか考えられません。
グルカゴンの働きは全身の生命活動エネルギー調達への下準備だと考えれば、あとはインスリン非依存的に消費されるシステムで何とかなっていると考えて矛盾はないかもしれません。
一方でインスリン非依存的と言えば筋肉でのブドウ糖の取り込みですが、β細胞を破壊したグルカゴン受容体欠損マウスでは筋肉筋肉のグリコーゲン量がβ細胞破壊前の1/3に低下しているようです。
さらに同マウスではグルカゴン作用ゼロのせいでケトン体も脂肪酸も低下しているそうです。
つまり筋肉への栄養がブドウ糖もケトン体も脂肪酸もすべて不足している状況にあるはずです。
それなのに同マウスは正常に発育し、元気に動き回るのだそうです。これは一体なぜでしょうか。
これはもうごく少量のブドウ糖、ケトン体、脂肪酸で筋肉は何とかやっていけるものなのだと理解するしかないように私は思います。少なくともマウスでは正常に近い発育に見える経過をたどるわけですから。
グルカゴンの抑制がこれからの糖尿病治療の光のように扱われている昨今ですが、
本日考察してきたような大事な役割がグルカゴンにあるのだとすれば、グルカゴンをブロックしても正常に発育するという実験結果だけは私にとってどうにも納得し難いものでした。
ましてや寿命が正常だというのは本当だろうかと思ってしまいます。もしかしたら普通の運動はできても、負荷のかかる運動はできないマウスになっている可能性などは残されているかもしれません。
もっと言えば、グルカゴン受容体をゼロにしたらインスリンゼロでも正常でいられるという話も俄かに信じ難かったのですが、
これに関しては一つトリックのようなことがありました。実はβ細胞毒STZで処理したマウスのβ細胞は完全にゼロになっていたわけではなかったということが後にわかったそうです。
そこで2016年Neumannらのグループが、グルカゴン受容体だけでなくインスリン遺伝子も欠損させたマウスを誕生させたところ、このマウスは数日以内に亡くなったのだそうです。
従ってグルカゴンゼロにしていても、インスリンゼロでは生きられないという事が実証されたことになるので、その延長戦上にあるUnger教授らのβ細胞を破壊したグルカゴン受容体欠損マウスも耐糖能障害がないだけで決して健康なマウスとは言い難いはずです。
ただ事実を重視して言うならば、グルカゴン分泌は進化の歴史の中でかなり厳重で耐久力の高いシステムとして構築されており、
たとえ欠損したとしても他の臓器やホルモンによって代償される余力を十分に残しているということ、
普通に生活するくらいの筋力はごく少量のブドウ糖、ごく少量のケトン体、ごく少量の脂肪酸で何とか確保できるくらい筋肉はたくましいということ、
そしてグルカゴンはゼロでも生きていくことはできるけれど、インスリンはゼロで生きていくことは絶対にできないのだということが言えるのではないかと思います。
今回はたがしゅうブログ史上、最も骨が折れる複雑な考察となってしまいわかりにくかったことと思います。
最後に簡単にまとめるとするならば、「糖尿病はやはりインスリンの作用不足を発端として引き起こされる現象であり、
その結果、適応反応としてのグルカゴン分泌が過剰に引き起こされて結果的に不利益な血糖値スパイクや持続高血糖が引き起こされてしまった状態だ」ということです。
従って、「グルカゴンを抑える治療アプローチは根本原因を放置したままとりあえずのアンバランスを是正する行為であり、
根本的には再びインスリンが作用できるよう環境を整えること、もしくは筋肉がスムーズにブドウ糖を利用できるように筋肉活動を活発にさせることではないか」と私は考えた次第です。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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Re: 誤変換です
御指摘頂き有難うございます。修正させて頂きました。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。少しでも参考になれば幸いです。
インスリンとグルカゴンの真の目的?
さて、インスリンの真の目的ですが、これは夏井先生の二年前の著書にもあるように、「タンパク質合成とそれに必要なエネルギー源(脂肪)を蓄積するためのホルモン」であると考えれば辻褄が合います。そして、これは全哺乳類に共通の仕様だと思われます。たがしゅうさんは、エネルギー面に重きを置くようですが。
>これは肝臓のグリコーゲンを分解したり、アミノ酸から糖新生させるよう肝臓に働きかけるグルカゴンの一連の働きは、これから筋肉にブドウ糖を使わせようとするための下準備作業であって、その状況にインスリンも分泌されていることによって、晴れて筋肉へブドウ糖がエネルギー源として取り込まれることになります。
このあたりが、本当かな〜と思ってしまいます。インスリンはタンパク質合成で忙しく、その時にわざわざ内因性のブドウ糖を作り出して筋肉に運ぶ必要があるでしょうか。
グルカゴンの第一義的な目的は、タンパク質摂取でインスリンが出ることによる低血糖の防止でしょう。たとえばライオンなどの肉食獣や、牛などの反芻動物、糖質制限中のヒトでは、食事をしても腸管から糖は入ってきませんので、インスリン濃度が高まれば赤血球すら維持できない低血糖になってしまいます。ちなみに、膵島α細胞は血中アミノ酸に直接反応してグルカゴンを増分させます。その意味では、機敏な拮抗ホルモンです。
食事由来の糖質がある場合は、その分のインスリン産生増加がパラクリン効果で隣接のα細胞でのグルカゴン分泌に歯止めをかけます。糖尿病状態ではこのスイッチングが働かないというのですから、グルカゴン増加は適応反応などではなく、暴走に類することなのでは? https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/55/11/55_841/_pdf、この記事のFig.2を見て、たがしゅうさんはどう思われますか。
Re: インスリンとグルカゴンの真の目的?
コメント頂き有難うございます。
> グルカゴンの第一義的な目的は、タンパク質摂取でインスリンが出ることによる低血糖の防止でしょう。たとえばライオンなどの肉食獣や、牛などの反芻動物、糖質制限中のヒトでは、食事をしても腸管から糖は入ってきませんので、インスリン濃度が高まれば赤血球すら維持できない低血糖になってしまいます。ちなみに、膵島α細胞は血中アミノ酸に直接反応してグルカゴンを増分させます。その意味では、機敏な拮抗ホルモンです。
グルカゴンの目的がインスリン分泌に伴う低血糖を予防することなら、糖質摂取というインスリンが多く分泌される事態にむしろグルカゴンはたくさん分泌刺激されるはずですが、実際には糖質摂取後はインスリンは分泌されるのにグルカゴンはむしろ基礎値よりも抑制されます。この事実に矛盾するように思います。
また低血糖予防の意味合いが強いのであれば、長時間絶食時にほどグルカゴンは大活躍すべき状況ですが、実際にはグルカゴンは低下する、という事実とも合致しません。むしろノルアドレナリンといった他の低血糖防止バックアップホルモンが上昇してきている状況なのにです。私の断食実験で確認しています。
2017年11月8日(水)の本ブログ記事
「5日間断食での血液検査データ」
https://tagashuu.jp/blog-entry-1150.html
も御参照下さい。
これがグルカゴンが低血糖の予防のためというよりは「インスリンと協働して身体のシステムをスムーズに運営するため」に働いていると考えれば、時にはインスリンと一緒に働き、時にはインスリンの出番には自分が引くという挙動を示すことにも説明がつきます。特に糖質摂取がいかにインスリンだけに負担がかかる行為かということも見えてきます。
インスリンはタンパク質の合成も勿論行っています。しかし身体は合成と分解が繰り返されて始めて恒常性が維持されます。その意味で、グルカゴンも働いてこそインスリンの合成という目的は果たされますし、グルカゴンがなければタンパク質合成ばかりになり細胞が腫瘍化しやすくなることへもつながってしまいます。拮抗ホルモンという側面もあると思いますが、そう見るよりも「インスリンとの協働ホルモン」として捉えた方がよいのではないかというのが今回の私の意見です。暴走と見えるその挙動も、私には相方を早めに奪われて一人で奮闘するけなげなグルカゴンの姿として感じられるようになってきた次第です。
No title
僕はまず、正しい哺乳類のあり方、すなわち腸管からはアミノ酸と脂肪酸しか入って来ず、よって食後も血糖値フラットな状態、を念頭に置きました。すると、非糖質でタンパク質を含む食事でも、かなりインスリン値は上がりますね。むろん人によって違いますが、糖質過剰食の場合の半分くらいは行くんじゃないでしょうか。すると、それだけで基底の血糖値を下げてしまうでしょうから、機敏に反応して血糖値を上げるホルモンが必要でしょう。それにふさわしいのは膵島α細胞からのグルカゴンではないかと考えたのです。
それと、長時間絶食の場合は、アミノ酸が血中に入って来ませんから上記の血糖低下メカニズムは生じません。もちろん、絶食の間は、肝臓での内因性ブドウ糖産生は盛んでしょう。それを維持するのは、グルカゴン以外のおっしゃるような血糖を上げるホルモン群でしょう。
>糖質摂取というインスリンが多く分泌される事態にむしろグルカゴンはたくさん分泌刺激されるはずですが、実際には糖質摂取後はインスリンは分泌されるのにグルカゴンはむしろ基礎値よりも抑制されます。
これは、それこそ先ほど書きましたように、膵島β細胞→α細胞へのパラクリン効果(血管を介さないホルモン伝達)で、α細胞からのグルカゴン分泌が抑止されるからです。この時、α細胞は血中アミノ酸濃度への感受性を持ち続けているでしょうが、α細胞全体として合成して抑止となる、と理解されます。(β細胞でのインスリン産出量にもよります。)
ただし、これも健常者の場合です。健康ということは、ホメオスタシスが保たれているということですから、どんな二つの要素も協働しているとみなすのは易しいです。でも、敢えてそういう視点を外してこそ、わかってくることもあろうかと思い、コメントしてみた次第です。
『糖尿病はグルカゴンの反乱だった』は電子書籍で買いましたが、グルカゴン絡みのことは盲点になっていたので、冷や汗ものです。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
本来タンパク質摂取で誘導されるインスリン分泌はグルカゴンの作用によって肝臓のグリコーゲンを分解して放出されるグルコースを利用させるのに「必要な分量だけ」分泌されるはずと私は考えています。インスリンが分泌されることで続いて起こる「低血糖を防ぐために」グルカゴンが分泌されるというシステムだとすれば、毎食毎にグルカゴンを出すα細胞や胃の内分泌細胞に負担がかかることがデフォルトになっているようでやや不自然に私は感じます。
> 長時間絶食の場合は、アミノ酸が血中に入って来ませんから上記の血糖低下メカニズムは生じません。もちろん、絶食の間は、肝臓での内因性ブドウ糖産生は盛んでしょう。
内因性ブドウ糖産生はグルカゴンによっても引き起こされるはずです。グルカゴンの役割が低血糖の防止だとしたら、なぜ長時間断食の時だけは他のホルモン達に仕事を任せてしまっているのでしょう。そういう意味でもグルカゴンの目的がタンパク質摂取後のインスリン分泌による「低血糖の防止」と捉えるのはちょっと不自然だと私は考えます。
> >糖質摂取というインスリンが多く分泌される事態にむしろグルカゴンはたくさん分泌刺激されるはずですが、実際には糖質摂取後はインスリンは分泌されるのにグルカゴンはむしろ基礎値よりも抑制されます。
>
> これは、それこそ先ほど書きましたように、膵島β細胞→α細胞へのパラクリン効果(血管を介さないホルモン伝達)で、α細胞からのグルカゴン分泌が抑止されるからです。
それだと、タンパク質摂取後のインスリン分泌ではなぜパラクリン効果でα細胞へのグルカゴン分泌が抑制されないのか、ということでまた矛盾が生じてしまうと思います。
健康と病気を分けて考えるという視点は確かに大事ですが、私達が健康と病気だと恣意的に分けて考えている状態は実際にはグラデーションだと私は考えています。病気の状態を考えることによって、健康の時にそのシステムが行っている方向性が見えますので、それはそれで意義深いとは思いますが、健常者とは別物という発想になってしまうと現実を色眼鏡で捉える発想へもつながりかねないので注意が必要です。
私がいわゆる糖尿病と呼ばれる状態でのグルカゴン分泌が暴走や反乱ではなく、適応反応と捉える思考もそういう視点から生み出されている所があります。
インスリンもグルカゴンもアミノ酸代謝が主では?
今回の記事は読みごたえがありました。
>グルカゴンが低血糖の予防のためというよりは「インスリンと協働して身体のシステムをスムーズに運営するため」に働いている
私も、たがしゅう先生がおっしゃるようにインスリンとグルカゴンは協働しているのではないかと思います。
インスリンはアミノ酸を細胞に送り込みますが、グルカゴンは逆にタンパク質を分解します。
これは、タンパク質を摂取した時に古いタンパク質を壊して、新しいタンパク質を合成しようとする反応なのではないかと思います。タンパク質摂取でインスリンだけを分泌していたのでは、古いタンパク質はいつまでも体の中に残ってしまい、捨てることができません。
あと、グルカゴンに関しては鳥類を調べる必要があると思います。
哺乳類と違い鳥類は、グルカゴン優位なので血糖値が非常に高いです。
ソウゲンハヤブサの血糖値は415mg/dlもあります。
空を飛ぶ鳥は、エネルギー切れが起こらないようにグルカゴンをたくさん分泌しなければならないのはわかりますが、空を飛ばないニワトリでさえ血糖値は265mg/dlもあります。
これだけ高血糖でありながら、糖尿病にはならないのですから、グルカゴンだけが糖尿病の原因とは言えないと思います。
なお、セキセイインコは糖尿病になるようです。グルカゴンの過剰分泌が原因の場合もあれば、インスリンの作用不足が原因の場合もあるようです。
ペットとして飼育しているから、運動量が不足して糖尿病になるのか、与えている餌に問題があるのか、詳しいことはわかりません。
Re: インスリンもグルカゴンもアミノ酸代謝が主では?
コメント頂き有難うございます。
そうですね。鳥類は人間の基準で言えば糖尿病でしょうけれど、彼らにとっては持続高血糖状態がデフォルトです。
その状態をグルカゴン分泌が保っているのだとすれば、グルカゴンはやはり生物にとってなくてはならないシステムの側面が強いと考えられます。
グルカゴンの過剰分泌と呼ばれる状態の背景には必ずインスリンの作用不足があるということです。ならばそれを起こさせないためにはインスリンを酷使させない糖質制限が基本方針になると私は思います。
糖尿病の本質とグルカゴンについて
「グルカゴンの過剰分泌は反乱や暴走などではなく、何とかして困難を克服しようとしている適応反応なのではないか」
私もそう思います。そして「困難」とはエネルギー不足だと考えています。
「糖尿病はグルカゴンの反乱だった」にあるような、糖尿病になったら機序が逆転して血糖値が高いのにさらにグルカゴン優位になる(=タイトルでもあるグルカゴンの反乱)というのは違うと思っています。
機序が逆転するような、そんな複雑な機序ではなく、同じ機序によって引き起こされていると考える方が自然だと思います。
すなわち、グルカゴンはエネルギー不足を何らかのシグナル(それは何でしょう?)で受け取り、産生されていると考えれば、いろんな辻褄が合ってきます。
それには糖尿病の高血糖は、インスリン不足のため血糖値が下げられないと考えるよりも、必要があって高血糖になっていると考えなければいけないと言う事が見えてきます。
そもそも糖尿病の本当の病態は、インスリン抵抗性であり、膵β細胞の死滅などは、すでにそれ自体、合併症であると考えれば、インスリン抵抗性の段階で何が起こるのかを考えれば糖尿病の本質がわかるのではないかと思います。
では、インスリン抵抗性とはどういう状態か。インスリン作用不足でブドウ糖をエネルギーとして使いにくい状態であり、通常のブドウ糖の量ではエネルギー不足になってしまうという状態です。
そこで、ブドウ糖の濃度をあげる必要が出てくるのですが、それが高血糖だと考えています。「高血圧」が動脈硬化などで流れにくくなった血液を抹消に血液を送り届けるため、必要があって血圧をあげているのと同じ考えです。
ここで、考えなければいけないのは、ブドウ糖が使えない=エネルギー不足ではないという事です。
ケトン体もエネルギーとして利用できますから、ブドウ糖が使いにくい糖尿病患者においてはケトン体を使えれば、エネルギー不足は解消されます。
暁現象も絶食時間が長くなったためのエネルギー不足だと考えれば、グルカゴンによって血糖値をあげようとしているという風に見えてきます。
ケトン体エネルギーが十分にあれば、暁現象も解消するのではないかと思っています。
したがって、糖質制限は、「グルカゴンの反乱」に対しても有効だと考えます。
補足
「血糖値スパイクを引き起こしているのは、グルカゴンによる肝臓からのグリコーゲン分解の仕業」については、以前に清水先生にお聞きしたことがあります。
「食物由来のブドウ糖が血糖値を直接上げているのでhなく、いったん肝臓で代謝されて再合成されたブドウ糖が血糖値をあげると考えるとアルコール摂取で血糖値が上がらなくなることの説明がつくのですが」との質問に清水先生は、そんな非効率なことはしていないだろうとの回答でしたが、あまり納得できていませんでした。私はたがしゅう先生と同じ考え方です。
Re: 糖尿病の本質とグルカゴンについて
コメント頂き有難うございます。
> 「困難」とはエネルギー不足だと考えています。
そうですね。
おっしゃるように動脈硬化で末梢の隅々にまで血液を届けにくくなった状況に対して、
身体が血圧を上昇させることで困難を克服しようとしている状況と共通構造があるように思います。
私はいつも血圧の高さを気にしている患者さんによく言うことがあります。
「それは身体が血圧を上げることで困難を克服しようとしている証拠なんです。頑張ってくれている自分の身体にまずは感謝しましょう。その上でなぜ身体が頑張り続けているのかを考えてみましょう。とりあえず血圧を下げるのではなく、その問題に対処するのが本当の治療です。」
「グルカゴンを抑制すればよい」という発想も、結局は「高血圧を降圧薬で押さえればよい」という発想と本質的には何ら変わらないということだと私は思います。
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Re: ご提案
御提案頂き有難うございます。
ただ私は現時点でインスリン分泌能力が高いので、糖質を摂取しても血糖値は上昇しない状況にあるのでその実験の被験者として適当ではありません。
また何かを摂取して血糖値が正常であったとしても、その背景で起こっている事は様々ですので、血糖値の推移をみるだけの実験に私は興味はありません。様々な項目を調べる実験も環境が変わって当面実行できそうにありません。
ソマトスタチンチンの御自身の興味のある実験を、御自身でやってみられてはいかがかと思います。
グルカゴン 分泌のトリガー
グルカゴン熟考に関してです。
正常状態では糖質を取ると血糖値が上がることは事実ですが、インスリンもグルカゴンも出ない状態のマウスでは糖質摂取で血糖値が上がらないとのこと。
すると、糖質摂取はグルカゴン分泌のトリガーで、そもグルカゴンが血糖値をあげるという流れになるのでしょうか。よろしくお願いします。
Re: グルカゴン 分泌のトリガー
ご質問頂き有難うございます。
> 糖質摂取はグルカゴン分泌のトリガーで、そもグルカゴンが血糖値をあげるという流れになるのでしょうか。
グルカゴンが血糖値を上げるのは事実ですが、
そのトリガーは糖質摂取というよりも糖質摂取によってもたらされるインスリン分泌及びその効き具合です。
例えば、私自身の75gブドウ糖負荷試験においては
糖質を思いっきり摂取していますが、グルカゴン分泌はむしろ抑制されています。
2017年8月6日(日)の本ブログ記事
「たがしゅうの75gブドウ糖負荷試験」
https://tagashuu.jp/blog-entry-1052.html
も御参照下さい。
それは私の体質がインスリンを分泌しやすいので、糖を細胞内に取り込ませるためのインスリンとグルカゴンの協働作業においてインスリンがあまりにも多すぎるが故にグルカゴンはむしろ抑えるよう調整されるシステムとなっているからではないかと思います。
逆にインスリンが何らかの理由で分泌できない、もしくはインスリンが作用しないという人の場合は、細胞内で糖を利用させるためにグルカゴンが多めに働かないとバランスが取れなくなるためグルカゴンの分泌が亢進するという仕組みになっているのだと考えられます。
なお栄養素で言えば、糖質摂取よりもたんぱく質摂取がグルカゴンの方が直接的なトリガーとなっているように思えます。
2017年7月17日(日)の本ブログ記事
「ササミ負荷試験」
https://tagashuu.jp/blog-entry-1030.html
も御参照下さい。
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