ウイルス再考

        

熱傷から学ぶサイトカインストームの根本的治療法

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2021/ 03/ 07
                 
新型コロナウイルス感染症の重症例の主病態として注目され、当ブログでもしばしば取り上げる「サイトカインストーム」ですが、

そう言えば、重症の熱傷患者の中で起こっている現象も「サイトカインストーム」であったことを思い出しました。

かたや「ウイルスの感染」によって引き起こされ、かたや「熱傷(やけど)」という物理的な損傷によって引き起こされるというきっかけの違いはあれど、結果的に起こってくる現象として共通するのは「サイトカインストーム」です。

そう思って、「熱傷とサイトカインストーム」についてまずはネット上を軽く検索してみたところ、はじめて「サイトカインストーム」という言葉を使ったとおぼしき著者の1994年の文献がヒットしました。

そこになかなか興味深いことが書かれていたので、今回はその文献の内容を紹介しながら、

「サイトカインストーム」と呼ばれる現象の本質についてもう少し深く踏み込み、これを防ぐにはどうすればよいかについて検討してみたいと思います。
                         
                

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「致死率90%」という数字が算出される理由

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2021/ 03/ 05
                 
それにしてもコロナはなんでちょっと遺伝子が変わったくらいで病原性が大きく変わるのでしょうか。そんなことで本当に病原性は変わるのでしょうか?

そもそもウイルスの病原性が何によって決まるのかについては、以前当ブログで考察したこともあります

その時に参照した資料によればインフルエンザの場合、ウイルスの遺伝子変異によってアミノ酸の種類が変わることによって、局所だけに存在するタンパク質分解酵素で影響を受けるパターンと、全身の細胞に普遍的に存在するタンパク質分解酵素で影響を受けるパターンとで差が生まれるからだという理論がまことしやかに書かれていました。

しかしその理屈でいけば、ある年に流行したインフルエンザは皆が軽症になったり、皆が重症になったりという状態になっていなければなりませんが、実際にはどの年でもインフルエンザは軽症の人がほとんどで稀に重症がいるという多様性のある疫学的パターンをとっていると思います。

なのでウイルス側のアミノ酸配列によって局所の細胞のみに対する親和性が生まれるか、全身の細胞に対する親和性が生まれるかの差は起こりうるとは思いますが、

そのウイルス感染によって生じた「異常な自己」が「非自己」として速やかに排除されるか、あるいは「自己」の一部と認識され異常な反応だけがそのまま駆動され続けてしまうのかは宿主の免疫システムの状態次第だと思うのです。

宿主の免疫システムの状態がどうであろうと宿主が死に追いやられてしまう状態があるのだとすればそれは、「非自己」と判断される「抗原」が血液中に大量または持続的に入れられてしまう「臓器移植」のような状態でしか起こりえないと、

逆に言えば、血液との接触を介さない飛沫や糞便が接触するくらいの自然界で頻繁に起こっているであろう「非自己」遭遇イベントでは、血液を介する「臓器移植」のように濃厚な「非自己」遭遇イベントによってはじめて生じるような強制的重症化現象は起こりえないのではないかというのが私の考えです。

しかしそうなると致死率90%のウイルス感染症、「エボラ出血熱」についてはどうなのだと、いう話になってきます。
                         
                

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そもそもファクターXは存在しないと私が思う理由

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2021/ 03/ 04
                 
現在のコロナに関する世界の統計情報をみていると、

中国、韓国、日本、台湾、フィリピンなど東アジアが全体的に死亡者が少ないというデータが見受けられ、特に日本ではコロナに対して免疫力が高い「ファクターX」なる要因があるという仮説がまことしやかに言われています。

で、その「ファクターX」として最有望視されている要素として、前回の記事で触れた「獲得免疫」における「T細胞の記憶」があると、

すなわち、東アジア地域における土着の旧型コロナへの既往歴が新型コロナウイルス感染症の重症化を防いでくれているのではないかという意見があります。

あるいはその「T細胞の記憶」にはBCGワクチンの日本株の接種歴の影響があるのではないかという意見もありますが、私はそのいずれに対しても否定的な見解を持っています。

今回はその理由について説明してみたいと思います。
                         
                

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コロナウイルスに特異的なシステムは駆動されにくい

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2021/ 03/ 02
                 
人間の免疫システムには「自然免疫」「獲得免疫」の大きく2つがあり、

あらゆる「非自己」に遭遇した際にはまず「自然免疫」のシステムが駆動し、何らかの原因で「自然免疫」の仕組みでは「非自己」を処理することができなかった場合に、

さらに効率的に「非自己」を排除するためのシステムとして「獲得免疫」という仕組みが働くという二重構造となっています。

その「獲得免疫」の仕組みの中で主要な役割をはたしているのが「抗体」と呼ばれるタンパク質です。

「抗体」は一度遭遇した「非自己」によって刺激を受けた「Bリンパ球」が「抗体産生細胞(形質細胞やプラズマ細胞とも言う)」に分化することよって産生されます。

そしてこの「抗体」は非常に「特異性が高い」ということがわかっています。

特異性が高い」というのはどういう意味かと言いますと、「他の似たようなものには反応せずターゲットとする対象そのものだけを認識できる」ということです。
                         
                

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インターフェロン熟考

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2021/ 02/ 25
                 
C型肝炎ウイルスに対する考察をしていた時に新たに生じた疑問がありました。

それはC型肝炎ウイルスにはインターフェロン療法が効くタイプの遺伝子型と効かないタイプの遺伝子型とが明確に分かれているということです。

具体的には1型というC型肝炎ウイルスにはインターフェロンは効きにくく、2型というC型肝炎ウイルスにはインターフェロンが効きやすいと言われています。

C型肝炎ウイルスの遺伝子の何が1型と2型の違いを生み出しているのかについては調べてもよくわからないのですが、

インターフェロンは天然の抗ウイルス薬だと言われている物質です。遺伝子の型がどう違おうと「ウイルス」の域を超えないC型肝炎ウイルスに対してインターフェロンが効かないというのはどうにも不自然であるように思えます。

一方で私は「ウイルス感染症は自己システムのオーバーヒート」だと何度も述べていますが、このオーバーヒート現象の延長線上に「間質性肺炎」と呼ばれる現象がありました。

インターフェロンは副作用として「間質性肺炎」を引き起こす薬です。もしもインターフェロンが抗ウイルス的に働くのであればこの事実にも矛盾が生じてしまいます。

それらの疑問を解決するためにも「はたしてインターフェロンとはどのような物質なのか」、今回は「インターフェロン(以下、IFNと省略)」について深掘りしてみたいと思います。

                         
                

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