ウイルス再考

        

間質性肺炎は内側からしか起こせない

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2020/ 08/ 09
                 
新型コロナウイルスによって引き起こされる肺炎は「間質性肺炎」だと言われていますが、

肺炎には大きく「肺胞性肺炎」と「間質性肺炎」とがあります。

肺の組織は「肺胞」と呼ばれる肺の中に無数に存在する袋状の細胞群と、「間質」と呼ばれる肺胞と肺胞の間を埋め合わせる細胞群とに分かれ、

「肺胞」を中心に起こす肺炎を「肺胞性肺炎」、「間質」を中心に起こす肺炎を「間質性肺炎」と呼んでいます。

「間質性肺炎」が新型コロナウイルス性肺炎の大きな特徴のように扱われている節がありますが、

実は他のウイルスによって引き起こされる肺炎、例えばインフルエンザウイルス肺炎、RSウイルス肺炎、サイトメガロウイルス肺炎など、すべて「間質性肺炎」の病像を呈しています。

「肺胞性肺炎」を起こすのは、主に細菌や真菌といった病原体になります。
                         
                

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ウイルス感染症が重症化する構造とは

category - ウイルス再考
2020/ 07/ 30
                 
先日届いた日本内科学会雑誌を何気なく見ていたら、

「今月の症例」のコーナーにインフルエンザウイルス感染を契機に副腎不全をきたしたという症例が私の興味をひいたので呼んでみました。

(以下、要旨引用)

インフルエンザを契機とした副腎不全、低Na血症の加療中に横紋筋融解症を生じた1例
高木彩好、角谷美樹、森本晶子、三好晶雄、小阪佳恵、角谷学、庄司拓仁、小山英則
日内会誌 109:1423−1431,2020


59歳,男性.X-3年にA病院で下垂体腺腫による下垂体前葉機能低下症と診断され、補充療法中であった。X年、B診療所でインフルエンザと診断され、2日後に意識障害、痙攣で当院に救急搬入された。血液検査で低Na血症を認め、副腎不全の診断でステロイド補充とNa補正を開始した。第2病日よりCK(creatine kinase)が上昇し、第4病日にCKが最高値となったが、大量補液で腎機能の悪化なく軽快した。低Na血症の補正による横紋筋融解症の発症と考えられた

(引用、ここまで)

                         
                

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ウイルス自体が毒となる可能性はあるか

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2020/ 07/ 23
                 
前回の記事でウイルスは植物、動物、細菌など他の生物と違って「毒素」を産生しないという話を取り上げましたが、

「毒素」というものには、大きく「外毒素」と「内毒素」というものがあります。

「外毒素」というのは病原体自らが産生している毒素、「内毒素」とは病原体自らを構成する成分の中で毒性をもつもの、のことです。

従って前回取り上げた毒素の話は厳密に言えば「外毒素」の話になります。

「内毒素(エンドトキシン)」は、グラム陰性菌という種類の細菌の細胞壁の外膜の成分(o-抗原多糖+コア糖鎖+リピドA)だと構造がはっきりと認識されており、通常「内毒素」という用語はこの細菌の特定の構造物を指します。
                         
                

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「毒」でないものを「毒」にしてしまう

category - ウイルス再考
2020/ 07/ 21
                 
自然界には「毒(毒素)」と呼ばれるものがあります。「毒」とは、生物の生命活動にとって不都合を起こす物質の総称です。

特に植物を中心にこの「毒」は広く見受けられます。自らが動けない植物にしてみれば、「毒」を作ることは自分を脅かす外敵をやっつけて自分の身を守るために大切な物質です。

また「毒」と「薬」は紙一重とも言うように、他の動物を味方につけて自分の身を守るために「毒」と類似の「薬」を生み出しているという側面もあります。故に植物の毒はしばしば「薬」としても応用されています。

一方で「毒」を持っているのは植物だけではありません。フグやハチなど動物の中にも毒を持っているものがいます。

この目的も自身の身を守るため、もっと広く捉えれば集団としての秩序を守るための一つの戦略として利用されているものなのではないかと思います。

そして微生物の世界にも「毒」は存在します。細菌には「細菌毒素」と呼ばれるものがあります。

「病原性大腸菌O157」が産生する「ベロ毒素」などはその具体例の一つですが、菌によって様々な「毒素」が産生されます。

これも植物や動物と同様に自分達の秩序を守るものだとすれば、生物は互いに自らが産生する「毒」も利用しながらそれぞれの秩序を守っている構造が見えてきます。

ところが、ウイルスにはこの「毒」を産生する能力が確認されていません。
                         
                

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現象からの推測が誤っている

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2020/ 07/ 18
                 
前回、基本再生産数のあやうさについて触れましたが、

なぜあやういのかと言いますと、この理論が現象から推測される解釈の一つに過ぎないからであって、

その理論を裏付けるような科学的な再現性が確認できないからだと私は思います。

そしてその目で見ていると、感染症学全体にこのような「現象から推測しただけの理論(解釈)」が横行していることに気づきます。

例えば「致死率」「感染経路」「終生免疫」です。これらの概念のあやうさについて順に見ていきたいと思います。
                         
                

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