ウイルス再考

        

ワクチンでは根本治療に至らない

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2020/ 06/ 03
                 
今日はワクチンに対する現時点での私の考え方についてまとめておきたいと思います。

結論から言いますと、私が思うワクチンとは、「人為的な獲得免疫強化方法だけれど、一定のキャパシティ(許容範囲)を超えると自然免疫を弱体化させうるもの」です。

ワクチンの起源は18世紀末、当時の天然痘(種痘)というウイルス感染症に対して、

一度罹患したら再び罹患しないという事実に注目したイギリスの医学者エドワード・ジェンナーが、

天然痘患者の膿疱から抽出した液を健康な人間に接種することで発症を防ぐことができることを発見したということに由来します。

この歴史的な事実を真とする限り、同一病原体及びそれに類似する構造物を人為的に触れさせる行為が、

少なくともその病原体に対する獲得免疫システムを賦活し、その病原体による感染症という現象の発生を防ぐというのはもっともらしい話に思えます。
                         
                

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こどもなら軽症なのに大人だと重症となる理由

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2020/ 06/ 02
                 
前回、全く別のウイルス感染症に思える麻疹と新型コロナウイルス感染症の本質的な共通点について記事にしましたが、

この「麻疹(はしか)」には、「一度かかったら二度とかからない」という終生免疫の特徴に加えて、もう一つ非常に特徴的に言われていることがあります。

それは「大人になってから感染したら重症化しやすい」ということです。

そして奇しくもこの特徴を持つ他のウイルス感染症は、「麻疹」と同様、「終生免疫」がつくとされている「風疹(3日ばしか)」「水痘(みずぼうそう)」「流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)」が挙げられます。

当たり前のように言われているこの特徴ですが、よくよく考えてみると不思議な特徴です。

普通は乳幼児の方が免疫力が低く、成人の方が免疫力が高いと認識されていることの方が多いと考えられるからです。
                         
                

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麻疹と新型コロナウイルス感染症との共通点

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2020/ 06/ 01
                 
重症化例の圧倒的多数が高齢者や基礎疾患持ちの方である特徴を示す新型コロナウイルス感染症において、

欧米でごく少数例で観察されている川崎病様の小児発症性多系統炎症症候群(PMIS;Paediatric multisystem inflammatory syndrome)にも新型コロナウイルス感染が関与している可能性が指摘されており、

この要因としてこうしたPMISをきたす小児には、獲得免疫システムはともかく、本来であれば正常に機能するはずの自然免疫システムがHLAの適合具合の背景も相まって後天的に障害されていると、

その一部の先天的特性をもつ小児の自然免疫システムを障害する二大要因として「栄養障害」「愛情不足」があるのではないかという考察を以前の記事で行いました。

そう考えると、基本的にすべてのウイルス感染症は、新型コロナウイルス感染症のように小児で稀に重症化し、高齢者で頻繁に重症化するという構造になるのではないかという気がしてきますが、

その考えに待ったをかけるのが、小児に多いウイルス感染症の存在です。
                         
                

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寄生虫とウイルスに共通点はあるのか

category - ウイルス再考
2020/ 05/ 29
                 
新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として、

抗寄生虫薬(駆虫薬、寄生虫感染症治療薬)の「イベルメクチン」が効果があるかもしれないという情報があります。

例えば、試験管内で新型コロナウイルスの48時間における増殖活性を5000分の1に減らしたというデータをオーストラリアのモナッシュ大学の研究チームが報告しています。

このイベルメクチンという薬、2015年ノーベル医学生理学賞を受賞された化学者の大村智先生が開発に関わったということでも有名な薬ですが、

もともとは放線菌Streptomyces avermitilisの発酵産物から単離された活性の高い広域 スペクトル抗寄生虫薬アベルメクチン類を元に作られた薬であるようです。

そのイベルメクチン、熱帯地方の風土病オンコセルカ症(河川盲目症)およびリンパ系フィラリア症、あるいはそれまで治療薬のなかった疥癬症や沖縄地方や東南アジアの風土病である糞線虫症の治療薬として世界中で年間3億人以上の人々に投与されて治療効果をもたらし、なおかつさしたる副作用が報告されていない、しかも1回だけ飲めば効くというものすごく優秀な薬です。

それ故、今この新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として応用されることに期待が寄せられています。
                         
                

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こどもの自然免疫を乱すもの

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2020/ 05/ 25
                 
前回、欧米を中心に発生する小児の新型コロナウイルス感染症に関連すると見られる重度の血管炎症候群と、

それに類似する川崎病との関連、そこには自然免疫システムの不具合が背景にあり対応するウイルスの感染を契機に、

自己にて炎症システムを制御できなくなるという過剰適応が病態に深く関わっているのではないかという考察を行いました。

近年、この欧米での新型コロナウイルス関連の川崎病様の血管炎症候群のことは、「小児発症性多系統炎症症候群(PMIS;Paediatric multisystem inflammatory syndrome)」という新しい疾患概念で捉えられ始めているようです。

このPMISにしても、日本人の小児に多いとされる川崎病にしても、

そのような自然免疫システム異常を背景に、新型コロナウイルスに限らない別の何らかの外来抗原によって、

持続的に異物排除反応が誤って駆動され続けているという可能性が十分に考えられるわけですが、

そうするとこれは以前の記事でも触れた「自己炎症性疾患」の範疇に入ってくるように私には思えます。
                         
                

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