前提を間違えば全てを間違う

2016/05/22 11:50:00 | 糖尿病 | コメント:8件

先日、糖尿病に関する古書を読む機会がありました。糖尿病 ー基礎と臨床ー著 小坂樹徳ら朝倉書店今から約40年前に初版が発刊された正書です。朝倉書店は今でも内科学教科書のスタンダードである「内科学」を出版している会社ですから、当時の糖尿病診療に対する標準的な考え方が書かれているだろうと考え、ちょっと興味が湧き手にとって読んでみました。すると「糖尿病の食餌療法の歴史」について書かれた項目に、次のような文章が...続きを読む

私が糖尿病食をオーダーしない理由

2014/11/07 00:01:00 | 糖尿病 | コメント:6件

今の一般の糖尿病食に全くメリットがない、と申しましたが、その糖尿病食を出していても、実際に血糖値が良くなっていったという患者もおられます。この現象はどう説明すればよいでしょうか。それは簡単な話、「今までが糖尿病食よりも多くの糖質を摂ってしまっていた」からだと思います。それでも、「糖尿病食でも改善するのであればそれでよいではないか」と思われる方もいるかもしれませんが、私はそうは思いません。その理由は...続きを読む

スタチンが糖尿病リスクを高める理由

2014/06/29 00:01:00 | 糖尿病 | コメント:2件

コレステロールを下げる薬として,最も世の中に普及している薬として「スタチン」と呼ばれる薬があります.実は世界で最も売れている薬がこの「スタチン」であり,多くの人がこの薬を飲んでいることでしょう.近頃,このスタチンが糖尿病のリスクを上げるという研究結果が,有名医学雑誌に続々と発表されてきています.『高用量スタチンは中等量スタチンに比べて糖尿病発症リスクを増大。』Preiss D, et al. Risk of incident diab...続きを読む

どんなに良い薬と言われても

2014/01/13 00:01:00 | 糖尿病 | コメント:7件

「SGLT2阻害薬」という糖尿病の新しい薬があります。今年からこのSGLT2阻害薬が製薬会社6社から立て続けに世に出されるそうです。今までにない全く新しい機序の薬でかつ安全性が高いということで注目されていますが、私は新薬に際しては基本的に非常に慎重な姿勢をとるようにしています。歴史を振り返ってみても、新薬を使い始めて当初想定していなかったトラブルが出てくるということは多々あるからです。薬に頼る人は多いですが...続きを読む

アミロイドと2型糖尿病

2013/11/05 00:01:00 | 糖尿病 | コメント:6件

先日,病理の検討会に出て教えてもらったことですが,2型糖尿病で亡くなった方の膵臓を詳しくみると,膵臓のランゲルハンス島というインスリンを出すβ細胞がある大元の部分に「アミロイド」という異常蛋白が蓄積されていることがあります.そもそも糖尿病で膵臓が障害されるメカニズムとしては「糖毒性」と「アミロイドーシス」の二つが考えられています.高濃度の血糖に長期間曝されされればさらされるほど、「糖毒性」によってβ...続きを読む