素朴な疑問

        

死の権利を本人から奪わない

category - 素朴な疑問
2021/ 07/ 15
                 
私は本業のオンラインクリニックがまだまだ生計を立てられるような状態にないので、

別のクリニックで在宅診療のアルバイトをすることがあるのですが、コロナ禍で介護施設に入居する高齢患者さんの実情は大変なことになっていると感じています。

一言で言えば施設の「刑務所化」です。とにかく入居されている方の自由が制限されています。

コロナに感染するといけないからろくに外出することもできません。

コロナに感染させられるといけないから息子・娘・孫といった近しい家族との面会でさえ禁止されていたり、面会できたとしてもオンラインかガラス越しの面会といったような事態が慢性的に続いています。

勿論、介護施設の職員さん達は防護服をつけて必死だと思います。入居者の方を守ろうとよかれと思ってやっていることでしょう。

しかし、何かおかしいという気持ちを感じざるを得ません。

                         
                

続きを読む

                 
        

夢の薬が今までにできた試しはあるか

category - 素朴な疑問
2021/ 06/ 15
                 
前回、認知症を根本治療する新薬として急速に注目を集めるアデュカヌマブから見る現代医療の根深い問題に切り込みましたが、

そもそも今までの歴史で根本治療薬、「夢の薬」と呼べるようなものはこれまでありましたでしょうか。

「夢の薬」かどうかは別として、ひとまず医学史の中でものすごく大きなインパクトをもたらした薬として挙げられるのは、「抗生物質」「インスリン」「ステロイド」の3つではないでしょうか。

「抗生物質」は感染症で亡くなる人を激減させましたし、「インスリン」は糖尿病、特に1型糖尿病の患者の命を救う貢献をもたらしましたし、

「ステロイド」は1946年に初めて化学的に合成できるようになった薬ですが、気管支喘息やアトピー性皮膚炎、種々の自己免疫疾患、炎症性腸疾患、神経免疫疾患など実に幅広い領域の病気のコントロールに今でも現役で使われているこれ以上ないほどに適応範囲の広い薬です。

今までの医学史の中での「夢の薬」の最有力候補であるこれら3つの薬の共通点は、「もともと自然界に存在する物質を製剤化している」ということと、「多く使うとろくなことが起こらない」ということです。
                         
                

続きを読む

                 
        

インフォデミックの3つの意味

category - 素朴な疑問
2021/ 06/ 08
                 
コロナ禍において「インフォデミック」という言葉がはじめて生み出されました。

WHO(世界保健機関)が2020年2月2日に「疫病の流行に伴う流言が急速かつ大量に広がって社会に混乱をもたらす状況」を意味して最初に使いはじめました

一方で最近ではコロナ陰謀説をもとに「本当はありもしない情報をでっちあげて、社会が実態のないコロナに対して過剰な不安や恐怖を植え付けられている」ということを指して「インフォデミック」という言葉を使っている人もSNSを中心に現れてきているように思います。

両者の「インフォデミック」という言葉の使い方は「真実が嘘の情報によって歪められている(社会に混乱をもたらしている)」という意味では共通しているのですが、

WHO側は「真実はコロナウイルスの感染拡大」、陰謀論側の立場は「真実はコロナウイルスは存在しない(もしくはコロナは人工ウイルス)」という真逆の立場をとっているように思えます。同じ「インフォデミック」という言葉でも意味するところはエラい違いです。

しかし私は「インフォデミック」という言葉を、そのどちらとも異なる意味で用いています

一言で言えば、「不安・恐怖情報の拡大によって人体に実害がもたらされ続けている状態」ということです。
                         
                

続きを読む

                 
        

厄介な専門医にならないために

category - 素朴な疑問
2021/ 06/ 07
                 
感染症専門医」と言ったら、昔はあこがれの存在でした。

医学の中で原因不明で長続きする発熱状態のことを「不明熱」と言いますが、

その不明熱に対して、まるでシャーロックホームズのような名推理によって原因を導き出し、そして原因を特定してそれに応じた特異的な治療を提供し、

一般の医者がとうてい気づくことができない病気の原因を理詰めで見つけ出すという意味で、ものすごく頭のいい人達が勢揃いしているというイメージがありました。

なかでもメディアでもしばしば取り上げられる神戸大学病院感染症内科学教授の岩田健太郎先生の影響力は大きくて、私も研修医時代に岩田先生がケアネットTVという医療専門番組で披露された講義を大変参考にしていた時代がありました。この先生はすごいなと心底思ったものです。

ところが今私は感染症学自体を抜本的に見直す思考に至り、その目で「感染症専門医」を眺めたときに、この優秀に見えた集団の裏の側面が見えてくるようになりました。

つまり「常識を疑うという行為から最も離れた立場にいる人達」という見方です。
                         
                

続きを読む

                 
        

コルヒチンがなぜコロナに効くのか

category - 素朴な疑問
2021/ 06/ 04
                 
少し話題としては下火になった感がありますが、コロナの治療薬として一見ウイルスと関係ない薬が候補に挙がる話が時々出てきます。

イベルメクチンはその一例ですが、なぜ抗寄生虫薬(駆虫薬)であるイベルメクチンがウイルス感染症であるコロナに対して効くのかというメカニズムについて、

以前、自分なりに考察してみましたが、残念ながら納得のいく結論は得られませんでした。

最近、東京都医師会がまとめた資料によれば、イベルメクチンは様々なウイルス蛋白が、人間の細胞にある核内への運搬蛋白との結合を阻害する作用を持ち、それによって自然免疫が高まることをメカニズムの一端に挙げています。

ただ、この「様々な」ウイルスのタンパク質との結合を防ぐという辺り、イベルメクチンがやっていることはウイルス、寄生虫、人間に共通する何らかの構造に作用している可能性があがってくるようにも思えますし、

イベルメクチンの副作用に好酸球増多も挙げられています。寄生虫感染自体でも好酸球は増多しますが、

好酸球は好中球の働きが苦しい時の増援部隊」という私の考えに基づけば、好酸球増多をもたらすイベルメクチンは何らかの理由で好中球の働きに負荷をかけている可能性を考えることができます。

それは炎症を応援する側面もあるし、サイトカインストームを悪化させる側面もあるので、確かにウイルス感染症の早期に使えばメリットのありうる薬なのかもしれませんが、進行期に使えばかえって悪化させる可能性もあるように思います。従って私はイベルメクチンのコロナへの応用は慎重派です。

そうした考察の流れを受けて、今回はもう一つウイルスとは関係なさそうだけれど、なぜかコロナに効くのではないかとささやかれている別の薬を取り上げてみたいと思います。それは「コルヒチン」です。
                         
                

続きを読む