2021年06月

        

インフォデミックの3つの意味

category - 素朴な疑問
2021/ 06/ 08
                 
コロナ禍において「インフォデミック」という言葉がはじめて生み出されました。

WHO(世界保健機関)が2020年2月2日に「疫病の流行に伴う流言が急速かつ大量に広がって社会に混乱をもたらす状況」を意味して最初に使いはじめました

一方で最近ではコロナ陰謀説をもとに「本当はありもしない情報をでっちあげて、社会が実態のないコロナに対して過剰な不安や恐怖を植え付けられている」ということを指して「インフォデミック」という言葉を使っている人もSNSを中心に現れてきているように思います。

両者の「インフォデミック」という言葉の使い方は「真実が嘘の情報によって歪められている(社会に混乱をもたらしている)」という意味では共通しているのですが、

WHO側は「真実はコロナウイルスの感染拡大」、陰謀論側の立場は「真実はコロナウイルスは存在しない(もしくはコロナは人工ウイルス)」という真逆の立場をとっているように思えます。同じ「インフォデミック」という言葉でも意味するところはエラい違いです。

しかし私は「インフォデミック」という言葉を、そのどちらとも異なる意味で用いています

一言で言えば、「不安・恐怖情報の拡大によって人体に実害がもたらされ続けている状態」ということです。
            
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厄介な専門医にならないために

category - 素朴な疑問
2021/ 06/ 07
                 
感染症専門医」と言ったら、昔はあこがれの存在でした。

医学の中で原因不明で長続きする発熱状態のことを「不明熱」と言いますが、

その不明熱に対して、まるでシャーロックホームズのような名推理によって原因を導き出し、そして原因を特定してそれに応じた特異的な治療を提供し、

一般の医者がとうてい気づくことができない病気の原因を理詰めで見つけ出すという意味で、ものすごく頭のいい人達が勢揃いしているというイメージがありました。

なかでもメディアでもしばしば取り上げられる神戸大学病院感染症内科学教授の岩田健太郎先生の影響力は大きくて、私も研修医時代に岩田先生がケアネットTVという医療専門番組で披露された講義を大変参考にしていた時代がありました。この先生はすごいなと心底思ったものです。

ところが今私は感染症学自体を抜本的に見直す思考に至り、その目で「感染症専門医」を眺めたときに、この優秀に見えた集団の裏の側面が見えてくるようになりました。

つまり「常識を疑うという行為から最も離れた立場にいる人達」という見方です。
            
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コルヒチンがなぜコロナに効くのか

category - 素朴な疑問
2021/ 06/ 04
                 
少し話題としては下火になった感がありますが、コロナの治療薬として一見ウイルスと関係ない薬が候補に挙がる話が時々出てきます。

イベルメクチンはその一例ですが、なぜ抗寄生虫薬(駆虫薬)であるイベルメクチンがウイルス感染症であるコロナに対して効くのかというメカニズムについて、

以前、自分なりに考察してみましたが、残念ながら納得のいく結論は得られませんでした。

最近、東京都医師会がまとめた資料によれば、イベルメクチンは様々なウイルス蛋白が、人間の細胞にある核内への運搬蛋白との結合を阻害する作用を持ち、それによって自然免疫が高まることをメカニズムの一端に挙げています。

ただ、この「様々な」ウイルスのタンパク質との結合を防ぐという辺り、イベルメクチンがやっていることはウイルス、寄生虫、人間に共通する何らかの構造に作用している可能性があがってくるようにも思えますし、

イベルメクチンの副作用に好酸球増多も挙げられています。寄生虫感染自体でも好酸球は増多しますが、

好酸球は好中球の働きが苦しい時の増援部隊」という私の考えに基づけば、好酸球増多をもたらすイベルメクチンは何らかの理由で好中球の働きに負荷をかけている可能性を考えることができます。

それは炎症を応援する側面もあるし、サイトカインストームを悪化させる側面もあるので、確かにウイルス感染症の早期に使えばメリットのありうる薬なのかもしれませんが、進行期に使えばかえって悪化させる可能性もあるように思います。従って私はイベルメクチンのコロナへの応用は慎重派です。

そうした考察の流れを受けて、今回はもう一つウイルスとは関係なさそうだけれど、なぜかコロナに効くのではないかとささやかれている別の薬を取り上げてみたいと思います。それは「コルヒチン」です。
            
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「治る」とはどういう状態か

category - 素朴な疑問
2021/ 06/ 03
                 
馬を水辺につれていけても水を飲ませることはできない」という言葉があります。

「本人にその気がなければ、いくら周りが環境を整えたとしても、やれることには限りがある」という意味で

「主体的医療」の普及を目指す私が、常に心の中に留めている言葉でもあります。

患者さんの希望は多くの場合「病気を治したい」で」、医師の仕事の目的も「病気を治す」ということで両者の利害は一致しているはずです。

言わば、「水を飲みたいと思っている馬を、水辺に連れて行くことが医師の仕事」という構造を示していて、そこには何の障壁もないスムーズな関係となっているように思えます。疑問の挟む余地はなさそうに思えます。

それなのに実際にはなぜ終末期においては医師の治そうとする行為が、患者の治りたいという希望を叶えられず、むしろ害をもたらす結果へとつながってしまうのでしょうか。

本日は「治る」とは本質的にどういうことなのか、について考え直してみたいと思います。
            
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