2020年05月

        

寄生虫とウイルスに共通点はあるのか

category - ウイルス再考
2020/ 05/ 29
                 
新型コロナウイルス感染症の治療薬候補として、

抗寄生虫薬(駆虫薬、寄生虫感染症治療薬)の「イベルメクチン」が効果があるかもしれないという情報があります。

例えば、試験管内で新型コロナウイルスの48時間における増殖活性を5000分の1に減らしたというデータをオーストラリアのモナッシュ大学の研究チームが報告しています。

このイベルメクチンという薬、2015年ノーベル医学生理学賞を受賞された化学者の大村智先生が開発に関わったということでも有名な薬ですが、

もともとは放線菌Streptomyces avermitilisの発酵産物から単離された活性の高い広域 スペクトル抗寄生虫薬アベルメクチン類を元に作られた薬であるようです。

そのイベルメクチン、熱帯地方の風土病オンコセルカ症(河川盲目症)およびリンパ系フィラリア症、あるいはそれまで治療薬のなかった疥癬症や沖縄地方や東南アジアの風土病である糞線虫症の治療薬として世界中で年間3億人以上の人々に投与されて治療効果をもたらし、なおかつさしたる副作用が報告されていない、しかも1回だけ飲めば効くというものすごく優秀な薬です。

それ故、今この新型コロナウイルス感染症に対する治療薬として応用されることに期待が寄せられています。
            
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「外因」を主とする現代医療と「内因」を主とする主体的医療

category - 読者の方からの御投稿
2020/ 05/ 28
                 
ブログ読者のタヌパパさんよりコメントを頂きました。タヌパパさん、有難うございます。

> 個々人のストレスに注目する考え方は、免疫学的なアプローチと共通すると考えてよいでしょうか。
> 先生の考え方に強く共感しますが、一方で「主体的に考えること」が「強いストレスになる」方々が、特に日本では多数派と思われるので、何か手詰まりな感覚が消えません
> ストレスと共存しつつ、体温を高める等で免疫力を高めることも現実的には多くの人を救う手立てだとも思います。(対処療法で根本を残す方法だとは理解していますが。)



これは大変重要なご指摘だと思います。

ストレスマネジメントは確かに免疫力を整える理論的な根拠が存在するアプローチ法ですが、

結局私の主体的医療を実践しようにも、「主体的に考えること自体にストレスを感じる人」がほとんどなのだから、

いくらそのアプローチが正しかろうと、それはどこまで行っても手詰まりであって、

それならばストレスを前提とした対症療法の究極系を極めて、主体的に動くことにストレスを感じる人達も助けられるような医療を発展させるのもよいのではないか、というご指摘だと思います。
            
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こどもの自然免疫を乱すもの

category - ウイルス再考
2020/ 05/ 25
                 
前回、欧米を中心に発生する小児の新型コロナウイルス感染症に関連すると見られる重度の血管炎症候群と、

それに類似する川崎病との関連、そこには自然免疫システムの不具合が背景にあり対応するウイルスの感染を契機に、

自己にて炎症システムを制御できなくなるという過剰適応が病態に深く関わっているのではないかという考察を行いました。

近年、この欧米での新型コロナウイルス関連の川崎病様の血管炎症候群のことは、「小児発症性多系統炎症症候群(PMIS;Paediatric multisystem inflammatory syndrome)」という新しい疾患概念で捉えられ始めているようです。

このPMISにしても、日本人の小児に多いとされる川崎病にしても、

そのような自然免疫システム異常を背景に、新型コロナウイルスに限らない別の何らかの外来抗原によって、

持続的に異物排除反応が誤って駆動され続けているという可能性が十分に考えられるわけですが、

そうするとこれは以前の記事でも触れた「自己炎症性疾患」の範疇に入ってくるように私には思えます。
            
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川崎病は対応するウイルスによって自己免疫システムが過剰駆動された状態か

category - ウイルス再考
2020/ 05/ 22
                 
高齢者を中心に重症化例が観察される新型コロナウイルス感染症ですが、

欧米では小児での新型コロナウイルス感染例も観察されており、その特徴が日本人の小児に多い「川崎病」と酷似しているという情報があります。

一方で日本では新型コロナウイルスの感染例はごく少数で、川崎病の症状を呈したものは今のところ一例も報告されていません(2020年5月21日現在)。

この欧米と日本における奇妙なすれ違いは、偶然とは私には思えません。何か関連がありそうな気がしています。

しかも川崎病には今日本人の新型コロナウイルス感染症の重症化を防いでいるのではないかと話題となっているBCGワクチンの接種痕が発赤するという特徴まであります。

私自身はBCGワクチンが新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐとは考えていないということは以前にも記事にしましたが、この特徴自体は興味深くそこから何か考えられそうにも思います。

本日は川崎病と新型コロナウイルス感染症の関わりについて私なりに考察してみたいと思います。
            
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空気感染しない理由が説明できない

category - ウイルス再考
2020/ 05/ 21
                 
新型コロナウイルス感染症は今のところ空気感染はせず、接触感染、飛沫感染が主な感染経路だと言われています。

接触感染は直接ウイルスと触れることによって起こる感染様式、飛沫感染はしゃべったり、くしゃみをしたりすることで飛ぶ微小な水しぶきを介してウイルスが伝わるという感染様式です。

飛沫の定義としてはだいたい直径5μm以上の水滴のことを指すようで、それくらいの大きさがあればしゃべるくらいの刺激では理論上2m以上は飛ばないだろうということで、

今約2mのソーシャルディスタンスを確保しようという話が急速に言われるようになってきているというわけです。

一方で5μm以下の水滴のことを「飛沫核」と呼び、このくらいの小ささであれば、空気中に放散された後も空気中を浮遊して2m以上の距離を移動しうるということで、

この飛沫核となっても病原性を保ち、2m以上の距離離れていてもヒトからヒトへの感染を成立させる感染形式のことを「空気感染(飛沫核感染)」と呼びます。
            
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