死因はミスリードできる

2023/09/13 19:20:00 | がんに関すること | コメント:0件

コロナ前までは死亡が関わる統計は流石にごまかしが効かないだろうという認識でおりましたが、コロナ禍でPCR検査が大注目され、しかも「直接的な原因の如何に関わらず死亡時コロナのPCR検査が陽性であればコロナ死亡とカウントする」という暫定ルールが厚生労働省から言い渡されるようになって以降、その認識が大きく変えられる事態となりました。つまり死亡統計でさえ誤魔化されるデータになってしまったということです。例えばこ...続きを読む

がんを「災害」とみなすか、「自分自身」とみなすか

2023/08/24 13:00:00 | がんに関すること | コメント:0件

上図は有名な「ルピンの壺」と呼ばれる多義図形です。1915年にデンマークの心理学者、エドガー・ルピンによって考案されたそうです。この図形は黒い部分に注目すれば壺に見えるし、白い部分に注目すれば向かい合う2人の横顔に見えると思います。この2つの視点、仮に「どちらが真実か」と問われれば、どちらも真実だということを理解するのは容易だと思います。ですがそれはあくまでも2つの視点があることをフラットに見られる立場...続きを読む

がんの組織型から今細胞がどんな段階にいるかを推定する

2023/07/06 12:50:00 | がんに関すること | コメント:0件

ホジキン病への考察からがんを起点とした病気の理解の幅が広がっています。この病気について改めて見直していく過程で、新たな気づきが得られたり、自分の考えが補強されていく事実を確かめられたりしてきているので、くどいようですが、もうしばらくホジキン病からの考察を続けてみます。私が基本を見直すときには、医学生時代に頼りにしていた参考書を使っています。STEP内科〈2〉感染症・血液 (STEP Series) 単行本 – 1998/11/1...続きを読む

がん標準治療抵抗性は細胞が必死に環境へ適応しようとしていることの裏返し

2023/06/14 18:00:01 | がんに関すること | コメント:1件

「糖質制限ががんに効く」と「抗がん剤・放射線療法ががんに効く」の本質的な違いについて考え続けています。ここまでのおさらいを軽くしておきましょう。人間を構成する最小単位である細胞は、生きていく中での環境変化に対して環境適応を起こします。その環境適応のパターンには大きく2つがあり、①細胞増殖性の環境適応と②細胞死抵抗性に分類することができます。世間的には前者は良性腫瘍(化)、後者は悪性腫瘍(化)と認識さ...続きを読む

ホジキン病から考える抗がん剤の効きやすさの本質

2023/05/25 17:50:00 | がんに関すること | コメント:0件

前回に引き続き、悪性リンパ腫の中の特殊型「ホジキン病」についてさらに考えを深めていきます。ホジキン病というのは悪性リンパ腫の中で数%程度を占めるタイプで、急速に進展する反面、抗がん剤や放射線療法が著効し、予後は良好、すなわち治療後の状態が安定しやすいという特徴があると言われています。ちなみにホジキンという言葉はこの状態を発見した19世紀前半に活躍したイギリスの病理学者ホジキン博士から来ています。なぜ...続きを読む