定型的言説を疑ってみる

2022/11/17 12:10:00 | がんに関すること | コメント:5件

がんは今や生涯で2人に1人の人がなる病気だと言われています。50%の確率だと言われたら、それはもう自分がなるものという前提で考えておいた方が得策でしょう。ただ完全に50%のくじを引いて当たる確率と同じような構造ではありません。まず年齢とともにがんの確率が高くなっていくということがありますし、タバコをはじめとしてがんになりやすい生活習慣というのもどうやらあるように言われています。そうすると自分の努力次第で50...続きを読む

額面通りに受け取ると危うい医学論文

2022/10/27 11:20:00 | がんに関すること | コメント:0件

前回記事に対して読者の方から「Overall survival(OS:全生存期間)は死因の種類を問わず、観察期間中の全ての死亡を含むという定義なので実測生存率と同じ意味だ」とのご指摘を頂きました。つまり生存曲線で縦軸が「OS」となっているものは、「他病死」で打ち切り例が生じてグラフの形が変形する可能性はないという主張になるのではないかと思います。確かにOSの定義を確認しますと、「死因の如何を問わない」と書かれていますし...続きを読む

実測生存率と補正生存率の差が生み出すもの

2022/10/26 17:00:00 | がんに関すること | コメント:0件

ブログ読者の方より先日取り上げたがん患者さんの生存率についての記事について、ある指摘がございました。私はカプランマイヤー法で表示される生存率(生存曲線)には、何らかの原因によって調査が中断する「打ち切り例」の存在によって修飾され、中でも「上に凸」という形の不自然な生存曲線を描くためには、グラフ最初の時期の生存率がなるべく100%に近づくようになることが最重要で、そのためにこの時期に蓄積した打ち切り例と...続きを読む

「早期がんは手術すれば完治する」は本当か

2022/10/20 06:00:00 | がんに関すること | コメント:2件

前回はステージⅣのがんの生存曲線が事実と乖離している例を紹介しましたが、いわゆる早期がんと位置付けられるステージⅠのがんのデータにも実はトリックがあることに気づきましたので共有します。例えばこちらは2004年の胃がん治療ガイドラインに書かれていた胃がんのステージ別生存曲線です。(画像はこちらのサイトより引用)現時点での最新の胃癌治療ガイドラインは2021年出版の第6版ですが、調べる限りなぜかステージ別の生存...続きを読む

本当は有害な標準治療が過大評価され続けてしまう仕組み

2022/10/19 14:45:00 | がんに関すること | コメント:0件

以前当ブログで検証した「上に凸のグラフの比較は事実と逆の結果を表しているかもしれない」という話を踏まえて、世の中のがん医療の正当性を訴える医学論文を一つひとつ見ていくと、現代のがん医療がいかに事実とは異なるデータを基にして展開されているかということに気づいてしまいます。コロナ禍でも、専門家の非常に著しい医学論文絶対主義の危うさが露呈する形となりましたが、実はコロナ前からもずっと医学の専門家達は医学...続きを読む