2021年01月
ステロイドと抗IL-6抗体の本質的な違い
category - ウイルス再考
2021/
01/
17「サイトカインストーム」と呼ばれる免疫の暴走が主病態と言われる新型コロナウイルス感染症の重症型に対して、
確たる効果が証明されていないにも関わらず何故か承認された「レムデシビル」と、
人体の主要な抗ストレスホルモンであるステロイドの一種「デキサメタゾン」が、2021年1月17日現在国内で治療薬として承認されている薬となります。
それに加えて今、間質性肺炎をきたすサイトカインストームの中で主要な役割を果たしている「IL-6(インターロイキン6)」と呼ばれるサイトカインを特異的にブロックする「抗IL-6抗体」という薬が、
サイトカインストームの抑制に有効かもしれないということで新たに注目されてきています。
具体的な一般名(化合物名)で言えば「トシリスマブ」、商品名では「アクテムラ」という薬です。
一般的には2008年から国内で適応承認が通った関節リウマチに対してよく使われていて、歴史をさかのぼれば2005年にキャッスルマン病というリンパ増殖性疾患で用いられ始めた薬です。
確たる効果が証明されていないにも関わらず何故か承認された「レムデシビル」と、
人体の主要な抗ストレスホルモンであるステロイドの一種「デキサメタゾン」が、2021年1月17日現在国内で治療薬として承認されている薬となります。
それに加えて今、間質性肺炎をきたすサイトカインストームの中で主要な役割を果たしている「IL-6(インターロイキン6)」と呼ばれるサイトカインを特異的にブロックする「抗IL-6抗体」という薬が、
サイトカインストームの抑制に有効かもしれないということで新たに注目されてきています。
具体的な一般名(化合物名)で言えば「トシリスマブ」、商品名では「アクテムラ」という薬です。
一般的には2008年から国内で適応承認が通った関節リウマチに対してよく使われていて、歴史をさかのぼれば2005年にキャッスルマン病というリンパ増殖性疾患で用いられ始めた薬です。
がん免疫療法は不完全な全細胞攻撃
category - がんに関すること
2021/
01/
15前回、「免疫チェックポイント阻害剤」という「がん免疫療法」と呼ばれるカテゴリーの治療について私なりに考察を致しました。
その結果を一言でまとめるならば、「免疫チェックポイント阻害剤は過剰自己攻撃反応を促進する薬」であって、
その効果の延長戦上に間質性肺炎、自己免疫疾患、サイトカインストームといった免疫の暴走状態があるという見解をお示ししました。
実はこの「がん免疫療法」のカテゴリーに入る治療は「免疫チェックポイント阻害剤」だけではありません。
もう一つ、これは以前も当ブログで取り上げたことがある「CAR-T療法」を含む「エフェクターT細胞療法」という治療があります。
「エフェクターT細胞」とは、がん細胞を直接攻撃し破壊したり増殖を抑制したりする免疫細胞の総称です。
具体的には細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、γδT細胞、NK細胞、NKT細胞などの細胞群を指しています。
その結果を一言でまとめるならば、「免疫チェックポイント阻害剤は過剰自己攻撃反応を促進する薬」であって、
その効果の延長戦上に間質性肺炎、自己免疫疾患、サイトカインストームといった免疫の暴走状態があるという見解をお示ししました。
実はこの「がん免疫療法」のカテゴリーに入る治療は「免疫チェックポイント阻害剤」だけではありません。
もう一つ、これは以前も当ブログで取り上げたことがある「CAR-T療法」を含む「エフェクターT細胞療法」という治療があります。
「エフェクターT細胞」とは、がん細胞を直接攻撃し破壊したり増殖を抑制したりする免疫細胞の総称です。
具体的には細胞傷害性T細胞、ヘルパーT細胞、γδT細胞、NK細胞、NKT細胞などの細胞群を指しています。
- 関連記事
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- がん免疫療法は不完全な全細胞攻撃 (2021/01/15)
免疫チェックポイント阻害剤は「自己」を過剰に攻撃させる薬
category - 読者の方からの御投稿
2021/
01/
14ブログ読者のりんぼうさんからの「免疫チェックポイント阻害剤の重大な副作用に間質性肺炎がある」という御指摘を踏まえまして、
今回は「免疫チェックポイント阻害剤と間質性肺炎の関係」について考察してみたいと思います。
その前にまず「間質性肺炎」を切り口にして得られたここまでの私の考察をまとめておきます。
サイトカインストームと呼ばれる免疫システムの暴走現象が引き起こされるまでには次のような流れがあります。
①アレルギー:免疫が過剰に他者を攻撃(少量のステロイドで制御可)
②自己免疫疾患:免疫が過剰に他者を攻撃し過ぎて自己の一部を攻撃(大量のステロイドで制御可)
③サイトカインストーム:免疫が他者も自己もすべてを攻撃しブレーキが効かない(大量のステロイドでも制御困難)
「間質性肺炎」というのはこのいずれのステージでも起こりうる現象ですが、どの段階で起こるかに応じて、「過敏性肺臓炎(※①の要素が強い)」とか「SARS(重症急性呼吸器症候群)(※③の要素が強い)」などと呼び名が変わってくるということに注意が必要です。
今回は「免疫チェックポイント阻害剤と間質性肺炎の関係」について考察してみたいと思います。
その前にまず「間質性肺炎」を切り口にして得られたここまでの私の考察をまとめておきます。
サイトカインストームと呼ばれる免疫システムの暴走現象が引き起こされるまでには次のような流れがあります。
①アレルギー:免疫が過剰に他者を攻撃(少量のステロイドで制御可)
②自己免疫疾患:免疫が過剰に他者を攻撃し過ぎて自己の一部を攻撃(大量のステロイドで制御可)
③サイトカインストーム:免疫が他者も自己もすべてを攻撃しブレーキが効かない(大量のステロイドでも制御困難)
「間質性肺炎」というのはこのいずれのステージでも起こりうる現象ですが、どの段階で起こるかに応じて、「過敏性肺臓炎(※①の要素が強い)」とか「SARS(重症急性呼吸器症候群)(※③の要素が強い)」などと呼び名が変わってくるということに注意が必要です。
何が「自己」を「他者」だと誤認させているのか
category - ウイルス再考
2021/
01/
10コロナの後遺症にも絡んでいる「間質性肺炎」という状態についてさらに考察を深めます。
前回の考察をおさらいしますと、「間質性肺炎」とは「他者攻撃体制が過剰に働いている状態であり、細胞レベルでみるとリンパ球系細胞の過剰活性化である」ということです。
で、その「間質性肺炎」を起こす背景には「アレルギー」のように「他者」に対して過剰に「他者攻撃体制が過剰に働いている状態」と、
「膠原病」のように「自己」に対して「他者」と誤認してしまい「他者攻撃体制が過剰に働いている状態」の、大きく二つのパターンがあることを見てきたと思います。
今回はまず、その現象を「CD4/CD8比」という切り口で考察していきたいと思います。
CDというのは「Cluster of Differentiation(分化抗原群)」の略で、もともとは白血球の表面に存在する抗原に対して、モノクローナル抗体という一つの分子に特異的に結合する抗体で識別されたものをナンバリングするために名付けたグループ番号のようなものです。
つまりCD4も、CD8も白血球の表面にある抗原の1つに過ぎませんが、4番目に発見されたのでCD4、8番目に発見されたのでCD8と名付けられているに過ぎません。
ですが、このCD4とCD8は今回の話を理解する上で重要なキーワードなので、改めて説明しておきたいと思います。
前回の考察をおさらいしますと、「間質性肺炎」とは「他者攻撃体制が過剰に働いている状態であり、細胞レベルでみるとリンパ球系細胞の過剰活性化である」ということです。
で、その「間質性肺炎」を起こす背景には「アレルギー」のように「他者」に対して過剰に「他者攻撃体制が過剰に働いている状態」と、
「膠原病」のように「自己」に対して「他者」と誤認してしまい「他者攻撃体制が過剰に働いている状態」の、大きく二つのパターンがあることを見てきたと思います。
今回はまず、その現象を「CD4/CD8比」という切り口で考察していきたいと思います。
CDというのは「Cluster of Differentiation(分化抗原群)」の略で、もともとは白血球の表面に存在する抗原に対して、モノクローナル抗体という一つの分子に特異的に結合する抗体で識別されたものをナンバリングするために名付けたグループ番号のようなものです。
つまりCD4も、CD8も白血球の表面にある抗原の1つに過ぎませんが、4番目に発見されたのでCD4、8番目に発見されたのでCD8と名付けられているに過ぎません。
ですが、このCD4とCD8は今回の話を理解する上で重要なキーワードなので、改めて説明しておきたいと思います。
間質性肺炎から考える「アレルギー」と「自己免疫」の関係性
category - ウイルス再考
2021/
01/
09新型コロナウイルス感染症の重症化例の主病態の「間質性肺炎」についてですが、
以前私は「間質性肺炎は内側からしか起こせない」という内容のブログ記事を書きました。
「ウイルス感染症は自己システムのオーバーヒート状態」だという考えに至った背景には、
この主たる感染経路が飛沫であり、大多数の患者で呼吸器を中心に炎症を起こす病態であるにも関わらず、その炎症の主座が外表に近い肺胞ではなく、内部の間質となっているということも大きな根拠となっています。
今回はその「間質性肺炎」を切り口にして、もう少し考察を深めてみます。
「間質性肺炎」の原因は大きく、「①特発性(原因不明)」、「②膠原病性(関節リウマチ、多発性筋炎/皮膚筋炎、サルコイドーシスなど)」、「③その他(薬剤、カビ・羽毛・石材・アスベスト・超硬合金などの吸入)」の3パターンに分けられています。
このうち大多数の「間質性肺炎」は「①特発性」とされ、「特発性間質性肺炎」は厚生労働省の指定難病となっています。
以前私は「間質性肺炎は内側からしか起こせない」という内容のブログ記事を書きました。
「ウイルス感染症は自己システムのオーバーヒート状態」だという考えに至った背景には、
この主たる感染経路が飛沫であり、大多数の患者で呼吸器を中心に炎症を起こす病態であるにも関わらず、その炎症の主座が外表に近い肺胞ではなく、内部の間質となっているということも大きな根拠となっています。
今回はその「間質性肺炎」を切り口にして、もう少し考察を深めてみます。
「間質性肺炎」の原因は大きく、「①特発性(原因不明)」、「②膠原病性(関節リウマチ、多発性筋炎/皮膚筋炎、サルコイドーシスなど)」、「③その他(薬剤、カビ・羽毛・石材・アスベスト・超硬合金などの吸入)」の3パターンに分けられています。
このうち大多数の「間質性肺炎」は「①特発性」とされ、「特発性間質性肺炎」は厚生労働省の指定難病となっています。