サル痘から考える天然痘ワクチンの有効性の矛盾

2022/05/25 16:45:00 | ウイルス再考 | コメント:4件

「サル痘」という、また聞きなれない感染症が欧米で広がってきていると話題になっています。

私は医者ですが、正直「サル痘」なんて病気を聞いたことがありませんでした。

聞いたことがないので、当然自分で診断したことはありませんし、周りの医者が診断しているのも見たことがありません。もっと言えば、医師国家試験でも問われた記憶はありません。

ですが、一応1970年にザイール(コンゴ共和国)で初報告されていて、私が医者になった時にはすでに認知されていた感染症であったようです。

どうやら天然痘に似ている病気のようです。コロナの2類相当やら5類への変更などの話題を時々聞きますが、この「サル痘」は感染症法上の「4類」感染症に分類される病気だそうです。

実は「4類」感染症には「狂犬病」をはじめとして致死率が高いとされる病気もあるのですが、大まかな特徴としては「人畜共通感染症(Zoonosis)」というカテゴリーに入る感染症が多く含まれています。

つまり、「4類」感染症というのは、これを引き起こす病原体が普段は動物の中に定着しているけれども、人間が動物と密接な交流をしない限りは感染することがないし、ヒトからヒトへ感染することもまずないレアな感染症だということです。

「サル痘」も人畜共通感染症と考えられており、その名の通り普段はサルに感染しているウイルスが原因なのかと思いきや、どの野生動物を自然宿主としているのかについてはまだ詳しいことはわかっていないのだそうです。 私はかねてより、天然痘だけがワクチンで唯一撲滅された病気だという情報に強い違和感を感じていました

ワクチンが有効だというのなら、なぜ天然痘の撲滅から40年も経つのに、他のどの病気もどれ一つとして撲滅されていないのでしょうか。

全員がワクチンを打たないからだと思われるかもしれませんが、それならなぜ天然痘だけは撲滅できたのでしょうか

実は「ワクチンで天然痘が撲滅された」という情報が誤解で、本当は「ワクチンで天然痘は撲滅されていない(撲滅されたように見えているだけ)」で、ワクチンでは感染症は撲滅できないと考えた方が現実をうまく説明できるのではないかと、

今回の「サル痘」も「実はワクチンで天然痘は撲滅されていない」という私の仮説の説得力を増す情報だと私は受け止めています。


論理的にいきましょう。

まず今回の「サル痘」報道で専門家の主な主張は次の通りです。

・今まであまり注目されなかった「サル痘」の患者が増加傾向である
・これは天然痘が撲滅されて、天然痘ワクチンを打つ人がいなくなったことが関係しているかもしれない
・「サル痘」は天然痘と臨床症状からの区別は困難だが、致死率は「天然痘」に比べてかなり低い
・天然痘ワクチンは「サル痘」にも有効である(※筆者コメント:→だから天然痘ワクチンをみんな打ちましょう?)



ちなみに「サル痘」の診断方法については国立感染症研究所のホームページでこう書かれています。

診断においては、皮膚病変が類似する水痘、そしてサル痘以外のオルソポックスウイルス感染症である天然痘(自然界には存在しない)、牛痘(主に欧州から中央アジアに存在)、そして野生に分布するワクチニアウイルス感染症(インド、南アメリカに存在)との鑑別が重要である。

水疱擦過物の塗沫(Tzanck smear)、水疱内容物、痂皮、血液が検査材料となりうる。電子顕微鏡によるウイルス粒子の確認、蛍光抗体法によるウイルス抗原の検出、抗ウイルス抗体の検出等が可能であるが、オルソポックスウイルス属の他のウイルスとの判別は不可能である。

そこでサル痘の特異的診断法は上記の水疱内容物や痂皮などを検体として用いた遺伝子検査やウイルス分離による。遺伝子検査はサル痘ウイルス遺伝子に特異的なPCRによる診断を行う。サル痘が疑われた場合は、最寄りの保健所を経由して国立感染症研究所での検査を実施する。



サル痘は「天然痘」ウイルスや「水痘」ウイルスと同じポックスウイルス科の、オルソポックスウイルス属に所属するウイルスによって引き起こされます。ポックスウイルス科のウイルスは二本鎖DNAウイルスで、コロナのようなRNAウイルスに比べて安定性が高いと言われています。

見た目では水痘(水ぼうそう)や天然痘と区別はできませんし、抗原検査・抗体検査ではオルソポックスウイルス属の他のウイルスと区別できないので、「サル痘」だと確定診断するためには皆様ご存知のPCR検査に頼るしかないということです。コロナの教訓を踏まえますと、個人的にはこの時点で不穏な空気を感じます。


さて、ここまで情報を確認した上で、まず「天然痘は天然痘ワクチンで撲滅できていて、サル痘にも天然痘ワクチンは有効であるにも関わらず、なぜサル痘は撲滅されていないのか」という疑問から考えてみましょう。

これは「人間に天然痘ワクチンを打っても、サル痘ウイルスは人間以外の野生動物の中で生き延びているから」ということで説明可能かもしれません。この説明に大きな矛盾はありません。

では次にこの説明を踏まえて「人間以外の野生動物の中でサル痘ウイルスが生き延びていても、人間にさえ天然痘ワクチンを打っておけば、サル痘に感染しなくても済むから、天然痘ワクチンを打ってサル痘を予防しましょう」という専門家からの推奨がありうえると思います。

しかし、すでに天然痘が撲滅されるほどのワクチン接種を人類は経験しています。そこは達成できたのに、今「サル痘」の患者さんが出てきているということは、人間だけに天然痘ワクチンを打っても「サル痘」は撲滅できないということになります。

「サル痘」が撲滅できないのであれば、少なくとも社会のために「サル痘」ウイルスの撲滅を目指して打つという観点はなしになります。となるとあとは個人にとって「天然痘」ワクチンを打つメリットがあるかどうかという話になると思います。

以前当ブログでも触れましたように、まず「天然痘」ワクチンはその副反応の強さで一躍有名になったコロナワクチン以上に心筋炎のリスクが高いワクチンです。なので個人にとって明白なデメリットがあるということになります。

問題はそのデメリットを超えて「天然痘ワクチン」を打つことのメリットがあるかどうかです。専門家は「天然痘ワクチンはサル痘にも有効だ」と言っています。その理由は「天然痘ワクチンが天然痘ウイルスを撲滅できたのだから、同じポックスウイルス科の「サル痘」にも同様の効果が期待できるから」というものではないかと思います。逆にそれ以外に「天然痘ワクチンがサル痘にも有効である」と言い切れる理由があれば教えてもらいたいです。いわゆるエビデンス(医学論文)も「サル痘」に関してはまだほとんどないと思います。

ところが「天然痘」「サル痘」と同じポックスウイルス科に属する「伝染性軟属腫」ウイルスは「天然痘」が撲滅された以後も全く撲滅されていません。

統計的にどのくらいの患者数がいるかを確かめることはできませんでしたが、小児科領域で「水いぼ」が非常にありふれた高頻度疾患であることは統計で確認するまでもなく周知の事実です。

こう考えると、「天然痘ワクチンがサル痘にも有効である」という情報もがぜん怪しくなってくるわけです。


一方で「天然痘ウイルスはヒトのみを自然宿主にしている」ということが天然痘のみがワクチンで予防することができた大きな理由として挙げられています。

つまり天然痘ウイルスは、「サル痘」のように他の野生動物の中でウイルスが生き延びているということはなく、ヒトの中でしか生きられないウイルスであると、だから天然痘ワクチンは天然痘を撲滅することができるのだ、というのです。

しかしヒトのみを自然宿主にするという条件で言えば、ウイルスの科は異なりますが、ポックスウイルスと同じ二本鎖DNAウイルスの「ヘルペスウイルス科」に属する「水痘」ウイルスも実は同じ条件です。

「水痘」に関しては、2012年に日本小児科学会にて1〜2歳児への「水痘ワクチン」の2回接種が推奨されるようになり、2014年10月から「水痘ワクチン」は「定期接種(強制ではないものの誰もが受けるべき予防接種として勧められ費用負担が全額公費でまかなわれるもの)」と位置付けられることになりました。

その「水痘ワクチン」の定期接種により「水痘」患者数は少なくとも統計上激減していますが、ゼロにはなっていません。「ヒトのみを自然宿主とする」という条件も、ウイルスに対する特異的なワクチンがあるという条件も、そのワクチンを大勢の人に打ったという条件も「天然痘」と同じであるにも関わらず、「水痘ワクチン」は「水痘」を撲滅できていない、のです。それなのに、なぜ「天然痘ワクチン」は「天然痘」を撲滅できたと言い切れるのでしょうか。

「天然痘」の症状を呈している患者がいないから「天然痘」は撲滅された?でも「天然痘」と似た症状の「サル痘」や「水痘」の人は今でもいるのですよ。本当は撲滅されていない「天然痘」を「サル痘」や「水痘」と誤認してしまっている可能性はないと言い切れますでしょうか?

PCR検査で「サル痘」だと確認されたのならばそれが「天然痘」であるはずがない?コロナで散々見てきましたように、PCR検査は遺伝子のごく一部だけをみる検査です。同じポックスウイルス科であれば共通した部分を見ている可能性はあるのではないでしょうか。それにPCR検査が陽性であっても検査を陽性にしたウイルスが症状の原因とは限りません。そこにたまたまPCR検査が陽性となるウイルスがただいるだけという可能性だってあるわけです。

少なくとも「天然痘を撲滅できたからといってそのワクチンが他のポックスウイルス科のウイルスを撲滅できるとは限らない」ということは言えると思いますし、もっと言えば「水痘に対する水痘ワクチンのようにターゲットを似たウイルスに対してではなく、ダイレクトにそのウイルスに設定していても、ワクチンが天然痘のように感染症を撲滅させるほどのインパクトをもたらすとは限らない」ということも言えるでしょう。

そうなると、「天然痘ワクチン」は必ずしも撲滅の必須条件とはならない「ヒトのみが自然宿主」「直接的にターゲット設定された特異的ワクチンがある」「(全員ではないものの)多くの人が接種を受けた」という3つの条件があって、どういうわけかわからないけれどターゲットとなる感染症を撲滅することができた唯一のワクチンだということになってしまいます。これだけが撲滅を達成したという事実が誤解だったと考えるのは陰謀でも何でもない、随分確からしい論だと私は考えていますが、いかがでしょうか。

そもそも「ヒトのみを自然宿主にする」という設定自体も矛盾があるのです。なぜならば自然宿主というのはそこにウイルスがいても害をもたらすことなく共存できるからこそ、「自然宿主」と呼ばれるものです。

なぜヒトの中でしか生きられないウイルスが、ヒトを重症化・死亡に導いてしまうのでしょうか。もしそうならそんなウイルスはワクチンを打つまでもなくとっくに絶滅していないと話が合いません。なぜならば感染している生物が生きていないとウイルス自体も生きることができないからです。

そうなるとヒトのみが自然宿主で、かつ重症化・死亡を引き起こすウイルスがそれでも生き延びることができる理由は一つしか思い浮かびません。それはコロナと同様に「重症化・死亡が引き起こされる人はごく一部で、実は大半は無症状感染者である」という仮説です。

しかしそう考えると同時に、「天然痘ワクチンが天然痘を撲滅した」という話の説得力が小さくなってきます。なぜならば無症状の人の中にも天然痘ウイルスがいる可能性が否定できず、誰もそれを調べていないからです。

もしも大半が無症状感染者なのだとすれば、天然痘ウイルスの感染によって重症化するかどうかは、ウイルスそのものの問題ではなく、感染された宿主側の何らかの要因によるものだという話にもなってきます。この辺りは今のコロナにおける話と構造がそっくりです。


…ややこしくなってきました。ここまでの話をまとめます。

・ワクチンで予防できるのは単一の病原体に対してだけで、類似の病原体による感染症は防げない
・ワクチンがどれだけ有効でも、他の動物を介してウイルスは生き延びる可能性があるので撲滅はできない
・ワクチンで撲滅できるとすれば、ヒトのみが自然宿主だという不自然な条件の時のみであるが、大半の感染者は無症状である状況でしかその条件は成立し得ない
・故に天然痘ワクチンで天然痘を撲滅できたという解釈は非常に疑わしい



では、天然痘ワクチンが天然痘を撲滅していないと仮定すれば、どのようなストーリーが考えられるでしょうか。

まず天然痘が撲滅したように思えた現象は戦後の経済成長に伴い、上下水道の整備による衛生環境の改善(異物との接触機会の減少)と食の欧米化に伴う栄養状態の改善(異物除去システムの安定化)が主要な因子として考えられます。

ワクチンに関してはおそらくこうです。異物との強制接触によって不完全な免疫が誘導され、特定の抗原に対してだけ抗体が誘導されるという仕組みは確かにあるのでしょう。これは子供の頃に一度かかった感染症に2回目はかかりにくくなるということが戦後間もない時期は割と一般的だったという情報とも一致します。

ただ自然感染で誘導される抗体パターンとワクチン接種で誘導される抗体パターンには違いがあり、ワクチンの場合、短期的には強力な獲得免疫が誘導されるけれど、一般的に長持ちしないのだと思われます。

おそらくこの不自然に持ち上げられた時期の有効性でもって、医学論文の世界では「ワクチンは有効」というエビデンスは大量生産され続けてしまっているものと思われます。実際、コロナワクチンでもそうだったと思います。

一方で何度も風邪を引く人もいる事実などから、自然感染で誘導された獲得免疫がそれだけで万全だと言えるようなものでもなく、その獲得免疫が良い状態を維持できるかどうかについては宿主側の要因も関わってくるということも言えると思います。

そう考えますと、ワクチンを受ける側の人間に多様性がある以上、ワクチンによって等しく病原体とその病原体による感染症を撲滅できるような免疫を安定的に賦活するような出来事は、たとえ短期間であっても難しいということになります。

従って、「天然痘の撲滅」や「集団免疫の達成」などといったワクチンの完全性ありきで認識されている事象は、別の理由で起こっている現象を誤認している可能性が高くなります。

「天然痘の撲滅」は、天然痘の全盛期ほどの重症化症例が、衛生環境や栄養状態の改善によって認められなくなった、認められたとしてもそれは天然痘とは別の原因だとPCR検査の不完全性によって誤認してしまっていて、あたかも撲滅したかのように見えていただけで、天然痘ウイルス自体もDNAウイルスであるが故に緩やかな変異を繰り返しながら生き延びてきたという可能性があります。

「集団免疫」の達成に関しても、衛生環境や栄養状態の改善が手伝って、標的とする感染症の患者数が減っただけだということと、もう一つは季節変動で波が下がったタイミングを「集団免疫が達成された」と誤認してしまっていた可能性もあると思います。

このように考えた方が、現実に起こっている事象を矛盾なくスムーズに説明できると私は考える次第です。

逆に言えば「ワクチンは効く」という前提、あるいは「マスクは効く」という前提もそうだと思いますが、この前提が見直せない限りは、現実に起こっている出来事との矛盾を解消すべく、どんどんつぎはぎだらけの説明が繰り返されていき、その説明にどんどん無理が出てくるということを示していると思います。

もう感染症専門医で活躍されている医師の皆さんにとってはにわかに受け入れ難い事実かもしれません。

でもせめてこれから感染症専門医を目指すという若手医師の皆さんはよく考えた方がいいと思います。

皆さんが真剣に学ぼうとされているのはひょっとしたら大前提が間違っていたかもしれない中で構築されている学問分野です。

それでもここを目指すならば、批判的思考を持って大改革を辞さない覚悟で臨まれることを私はおすすめします。

いや、大前提が間違っていたのは、感染症学に限らないようにも思います。

おそらく医学の大きな勘違いは、残念ながら今に始まった話ではないように感じています。

糖尿病診療しかり熱傷診療しかりがん診療しかり……、これだけ問題が重なるのはおそらく偶然ではありません。

私が専門としている脳神経内科の領域さえ例外ではないと思っています。

その辺りについてもまた別の機会に語れればと思います。


たがしゅう
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コメント

結局、終わらない。。。

2022/05/26(木) 09:05:00 | URL | neko #-
コロナが落ち着いてきたと思ったら今度はサル痘ですか。日本ではあまりまだ話題になっていないようですが、欧州のテレビではコロナの時のように早速恐怖を煽っているようで、義母は「怖い、怖い」状態だそうです。
お医者さんではないですが、こちらのブログでも色々説明されているのでもし参考になれば。
https://indeep.jp/monkeypox-virus-floats-as-aerosol/

結局、サル痘でも今後、ワクチン半強制、ロックダウンにもっていきたいのでしょうか。今年の後半はコロナも復活してダブルになったりして。

前提を盲信して疑わない怖さ。さらに日本の場合は国民の真面目な性格が災いして専門家や”先生”を盲信してしまう。彼らが間違えた前提を信じていたら、もうこれは新興宗教と同じですよね。国をあげて間違った方向に進んでしまいます。一方、「炭水化物を悪いと信じているなんて新興宗教みたい」と言う人も多く、科学不在ですね。

Re: 結局、終わらない。。。

2022/05/26(木) 10:39:28 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
neko さん

 情報及びコメント頂き有難うございます。

>日本の場合は国民の真面目な性格が災いして専門家や”先生”を盲信してしまう。彼らが間違えた前提を信じていたら、もうこれは新興宗教と同じですよね。国をあげて間違った方向に進んでしまいます。一方、「炭水化物を悪いと信じているなんて新興宗教みたい」と言う人も多く、科学不在ですね。

 科学がいかに信頼に足るものであったとしても、それを扱う人間が合理的になりきれないので、
 結局、科学によって安定的な世界が訪れることはきっとこれから先ずっと来ないのだろうと見通しています。
 コロナ禍までは非常に論理的だと思っていた人が、少なくとも自分の視点で見て明らかにバランスを書いた方向へ論を進めていく現実を目の当たりにしてその思いを強くしました。

 完全に論理的で正しい行動をとり続けることができる人なんていやしない、
 いや、そもそも正しい行動なんて人間の数だけあって、その多声性の中でそれでもなんとかうまくやっていく道筋を変わりゆく世界の中で常に探し続けていくより他にはないのだと現時点では思っています。

2022/05/28(土) 09:33:31 | URL | neko #-
>科学がいかに信頼に足るものであったとしても、それを扱う人間が合理的になりきれないので、

どういうことなんでしょうね。私などは高校の科学のテストで7点(100点満点)をとった超科学苦手人間ですが、それでも「糖質は血糖値をあげるので糖尿病患者に悪い」ぐらいの簡単な理論は理解できます、笑。

>完全に論理的で正しい行動をとり続けることができる人なんていやしない、

それはそうなのですが、「完全に善良な人はいない」けれど、かなり善良な人もいれば、善良であろうともしない人もいる。知的であろうとする、論理的であろうとする、正しい行動をとろうとする、批判的精神を持とうとする、相手の気持ちを理解しようとする、こういったことは本人の努力でかなり改善できるものだと私は思ってます。

Re: タイトルなし

2022/06/02(木) 10:15:16 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
neko さん

 コメント頂き有難うございます。
 そこは「人は見たいものしかみない」の格言のように、理屈ではなくその説明が自分にとって都合が良い解釈であるかどうかが、その説明が受け入れられるかどうかに関わってくる、ということではないかと思っています。 

> 「完全に善良な人はいない」けれど、かなり善良な人もいれば、善良であろうともしない人もいる。知的であろうとする、論理的であろうとする、正しい行動をとろうとする、批判的精神を持とうとする、相手の気持ちを理解しようとする、こういったことは本人の努力でかなり改善できるものだと私は思ってます。

 おっしゃることはとても理解できるのですが、私はそれとは少し違う意見を持っています。
 まず人によって何を善と捉えるかにはバリエーションがあります。その人そのものによって決まるバリエーションというよりはその人が生きてきた時代、生育環境、周囲の人間関係、文化的価値観などが複雑に関わりあってその人にとっての「善」が決まっていると思っています。そのように人それぞれの中で出来上がっていく「善」には大多数の方が共感できるものと、大多数の人が共感できない少数派の「善」があると思っています。私の個人的な印象では8:2のイメージです。その2割の「善」は8割の大多数の人にとっては「悪」と思えるようなものかもしれませんが、2割の当事者にとってみれば立派な「善」ではないだろうかと思うのです。つまり、世の中は全て人それぞれの「善」が混ざり合って構成されていくということです。「善」は強力な行動意欲となりますので、「善」の感覚が近ければ、確かに努力によって行動修正できうると思います。ただ「善」の感覚が根本的に異なる相手へはおそらくどれだけ言ってものれんに腕押しのような気がします。相手も相手なりの「善」で強力に突き動かされて生きているのであり、世の中はそういう人とも合わさって社会が構成されているという見方ができると私は考えています。

 そうなるとその共感しにくい相手の「善」の中の「共感できる」部分に注目して、「善の感覚が違うという前提で、それでも一緒にうまくやっていく」という発想が大事になってくると私は思います。一方でこれほど「言うは易し、行うは難し」なこともないとも思っています。

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