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どんなウイルスも姿形を容易に変化させられる

category - ワクチン熟考
2020/ 06/ 10
                 
前回に引き続きワクチンで唯一根絶されたとされるウイルス感染症「天然痘」について考えます。

「天然痘ウイルス」というのは動物に感染症を起こすウイルスの中で最も大きくて、二本鎖DNAの安定した構造を持っていて、

なおかつ一般的なウイルスが自身の増殖のために必要な酵素などのシステムを利用するために宿主細胞の核内に移行する必要があるのに対して、

「天然痘ウイルス」は珍しく、細胞質内で増殖することができるという特徴がありました。

私は「ウイルスとは動植物細胞の複製エラー」という考えを持っていますが、その考えに立てば「天然痘ウイルス」はエラーの具合が比較的少ないウイルスだと言えそうです。

こうした「天然痘ウイルス」の持つ構造の安定性が、適合するワクチンを開発することへとつながったと考えると、このウイルスのみがワクチンで根絶できた理由として納得がいくような気もします。

ところがそう考えると一つ、矛盾が生じるのです。
            

「天然痘ウイルス」が属する同じ「ポックスウイルス科」の別のウイルスが起こす病気に「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)」という病気があります。

これは通称「水いぼ」と呼ばれ、皮膚に複数の水ぶくれをきたすことが特徴とされる病気です。

小児に多く起こりますが、基礎疾患があるなど免疫力低下が示唆される成人や高齢者にも発症する場合があります。

「伝染性軟属腫」を起こす「伝染性軟属腫ウイルス」、感染経路は接触感染がメインで、プールなど水を通じて感染することもよく知られています。

治療法は抗ウイルス薬は開発されていませんが、多くの場合は自然治癒します。ただ何もしなければ半年〜2年くらい症状が持続すると言われています。

ですが外見上目立ちますし、皮膚の水ぶくれの中にはウイルスが潜み感染性もあるので、基本的には水ぶくれをレーザーで焼いたり、ピンセットで水ぶくれをつまんで除去したり外科的対症療法が治療の中心となります。

ちなみに内科的にはなぜかヨクイニンというハト麦の一部が薬としてよく効きます。

さて、この「伝染性軟属腫」ですが、私は2点疑問があります。

1つは、この病気に対するワクチンがないことについてです。「天然痘ウイルス」とほぼ同じ特徴を持つウイルスなのに、なぜワクチンが予防に活用されていないのか、です。

ワクチンが開発されない理由としては、インフルエンザウイルスやコロナウイルスといったRNAウイルスを中心として、

ウイルスの不安定性が背景にあって、しょっちゅう遺伝子変異を起こすためにターゲットとなる抗原を一つに決められないという問題がありますが、

「ポックスウイルス科」に関しては少なくともその問題はないわけです。なにせワクチンとして大成功を収めた天然痘ウイルスがあるわけですから、

しかし現実には「伝染性軟属腫」に対するワクチンはありません。開発されているという話も聞きません。

「自然治癒するから臨床的に予防意義が少ないからそもそもワクチンが開発されない」という意見もあるかもしれませんが、それは無理があると私は思います。

なぜならば「伝染性軟属腫」は小児科領域における高頻度疾患です。兵庫県のとある調査では、全国で年間100万人が伝染性軟属腫で医療機関を受診するというデータもあります。

それだけ多く発症し、感染性も強いウイルス感染症なのであれば「天然痘」のように根絶を目指す意義はあるし、製薬会社にとって収益化できるワクチンの開発ターゲットとしても申し分ないのではないかと思います。

なのに、なぜワクチンは開発されず、開発しようともされていないのでしょうか。

もう1つの疑問は、この病気の診断法についてです。

この「伝染性軟属腫」、見た目にわかりやすいので診断は「臨床的な外観に基づく」とされています。

水イボの成分を摂りだして、検査室で分析して「伝染性軟属腫ウイルス」の存在を確かめるといったプロセスは特になく、

要するに、見た目だけでこれは「伝染性軟属腫(ウイルス)」だろうと判断されているということです。

このエビデンスが重視される世の中で、非常にアナログ的というか適当という印象の否めない診断プロセスとなっているように私には思えます。

なぜこのような診断体制になっているのでしょうか。なぜ本当に「伝染性軟属腫ウイルス」によるものか確認されないのでしょうか。

これら2つの疑問を通じて私の頭に思い浮かぶ仮説が一つあります。

それは「天然痘ウイルス」は「伝染性軟属腫ウイルス」として今でも生き延びていて、実は「天然痘」はワクチンで根絶などされていないのではないか、というものです。

この仮説には当然異論もあるでしょう。だって、「天然痘」はもっと重症化する致死率20〜50%の病気じゃないかと、

何も治療しなくても自然治癒するような「伝染性軟属腫」とは病気の特徴が全く違うじゃないか、という意見もあるのではないかと思います。

しかし水ぶくれを複数作るという特徴は似ています。そして重症化するかどうかの要因がウイルス側にあるのではなく、宿主側にあるのだとすればどうでしょう。

事実、「伝染性軟属腫」は例えば大勢のこどもが感染者と同じプールにいたらその場の全員が百発百中で感染するわけではなく、かかる子とかからない子が出てきます。

これはウイルス側の要因ではなく、宿主側の要因がどうかによって感染の成立具合が影響を受けている傍証になると思います。新型コロナウイルス騒動でも同じ構造があります。

そして成人に関して言えば、「伝染性軟属腫」に感染する人はアトピー性皮膚炎やHIV感染症などの免疫が低下しているとされる状態で感染することが知られています。これも新型コロナウイルス感染症と同じ傾向です。

そして現在の食環境・衛生環境・生活環境とジェンナーが活躍していた19世紀の環境とでは、後者の方が劣悪であろうことは想像に難くありません。

そうなると、宿主の状態が悪い場合に起こった水ぶくれ症候群は「天然痘」と、宿主の状態が比較的よい場合に起こった水ぶくれ症候群は「伝染性軟属腫」と認識されているだけで、

実際には「天然痘」と「伝染性軟属腫」を起こすきっかけとなっているウイルスはもしかしたら同じウイルスなのではないかという考えが出てきます。

そうなると、「天然痘は未だに根絶されていない」ということになり、唯一ワクチンで根絶されたという話も立ち消えて、

人類が克服できたウイルス感染症は何一つ存在していないという話に変わることになります。

実はこの方が自然なことだと私は考えています。ワクチンが本当によいのであれば、これだけ医学が進歩して未だに天然痘だけしか根絶できていないのはやっぱり不自然でしょう。

実はこの仮説を支持する情報はもう1つ、前回の記事に書かれています。

それは天然痘ワクチンの創始者であるエドワード・ジェンナーが当初天然痘治療に用いた牛痘という牛の病気を起こす「牛痘ウイルス」というのは、

同じポックスウイルス科でありながら、天然痘に対する交差反応をまるで示さないということ、

そして、実際にジェンナーが編み出した「種痘(牛痘にかかった患者の膿を皮膚に接触させる予防接種行為)」の実質的効果をもたらしているとされる「ワクシニアウイルス」というものは、

安定性が高いと思われた二本鎖DNAウイルスにおいても牛痘ウイルスと別のポックスウイルス科のウイルス(おそらくは馬痘ウイルス)と自然に遺伝子組み換えを起こしてできたものだとされているということです。

ジェンナーの時代は遺伝子組み換えを人為的に行えたはずもありませんから、そんな組み換え現象は自然界でもRNAウイルスのみならず、二本鎖DNAウイルスであってもそれなりに結構起こっていることが示唆されます。

それであれば、ジェンナー時代の天然痘ウイルスが、今は自然界での遺伝子組み換え現象を経て、「伝染性軟属腫ウイルス」として姿形を変えて現在まで引き継がれているという可能性は十分にあると思います。


おそらく天然痘ワクチンを打って、天然痘ウイルスに対する抗体が作られるという現象自体はあるのでしょう。

ジェンナーが種痘を行った8歳の少年は一時的なアレルギー反応が出たのみで、その後「天然痘」にかからなくなったという当時流行がある中で偉業とも言えることが丸ごと嘘だということは流石に考えにくいです。

ただワクチン問題で難しいのは、もしもその子がワクチンを打たない場合にどういう結果をたどったかというのが誰にも証明できないということです。

もしかしたらその少年はジェンナーに種痘されなくてもその後元気に過ごせていた可能性は否定できないはずです。

そうするとワクチンを打って得られた抗体のもたらす免疫の効果が実質どれくらいかというのはきっと誰にもわからないでしょう。

一方で現代に受け継がれた「種痘」、「天然痘ワクチン」は「天然痘」を予防するどころか近代になって重大な副作用をもたらしていたという歴史的な事実もあります。

とりわけ「種痘後脳炎」と呼ばれる状態は重篤で、罹患者のほとんどはワクチンを打った乳幼児で脳の正常な機能は失われてしまい重い障害を起こすとされています。

1940年代にこの「種痘後脳炎」が広く知られるようになり、当時強制接種であった「種痘」がその後の被害者による損害賠償事件へ発展した後に1976年に完全に廃止となるというワクチン史上に刻まれた負の歴史も確かにあるわけです。

少なくとも、皆がせっせとワクチンを打ったおかげで円満に根絶へと導くことができた優秀な薬、というようなことでは決してなかったということは言えるはずです。

ワクチンには確かにメリットもあるかもしれませんが、無視できない大きなデメリットも確実に存在します。

新型コロナウイルス感染症についてもワクチンを待望視する声が多く聞かれますが、その風潮には私は待ったをかけたいと思います。

そしておそらくはワクチンというものは、デメリットの方が大きいかもしれないと思える理由に到達しつつあります。

次回はその辺りについて私なりの見解を語ってみたいと思います。


たがしゅう

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コメント

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読み応えのある記事をありがとうございます。
天然痘ウィルスは「伝染性軟属腫ウイルス」に形を変えて引き継がれているのではないかという大胆な仮説は大変興味深く読ませて頂きました。
次回の記事にも期待しております。
こういう説を唱えると各方面からの風当たりが強くなるかと思いますが、めげずに今後も論理的な考証を続けて頂きたいと思います。
Re: 読み応えのある記事をありがとうございます。
KAZ さん

 コメント頂き有難うございます。

> こういう説を唱えると各方面からの風当たりが強くなるかと思いますが、めげずに今後も論理的な考証を続けて頂きたいと思います。

 有難うございます。フリーの立場が故にできることなのだろうと思っています。
 利益相反が絡んでくるとそれがなかなか難しくなってくることも理解できます。私はフリーで自由に考えるスタンスが性に合っていそうです。