「自然免疫は弱い」という言説の決定的な矛盾

2023/11/24 15:00:00 | よくないと思うこと | コメント:0件

週1回発行している私のメールマガジン「前提を見直すことの大切さ」について触れました。

もしも前提が間違っていることに気づかないままでいると、その前提で進めば進むほど構造が歪んで取り返しのつかない事態へと発展してしまうからです。

前提を見直すことが一番難しいのは誰かということになれば、おそらく専門家なのではないかと私は思います。

先日も糖尿病専門医が「糖質制限食は危険である」という前提を見直すことができないことに触れたばかりですが、

コロナ禍で考えれば、もっとも前提を見直すことが難しい立場にいるのが、感染症専門医の方々ではないかと思います。

素直に現実を見つめれば、コロナワクチンがコロナ抑制に寄与したとは到底思えない状況です。

コロナが流行した2020年からではなく、ワクチンが開始した2021年から超過死亡が増え続け、2022年にはコロナでも高齢化でも説明できない原因不明の戦後最大の10数万人の超過死亡の激増をはじめとして、

全国民80%以上のコロナワクチン2回接種完了で集団免疫が獲得できなかったこと、ワクチンについての厚労省の副反応検討部会で報告に挙がった接種後死亡事例の99%以上がγ判定(因果関係不明)と判定されていること、

5類に移行してマスクしない人も半分くらいになってきたのに、コロナが今までよりも流行していない件、3年間ほぼ撲滅状態だったインフルエンザがなぜか再び流行り出してきたことなど、

前提を見直す必要がありそうなおかしなことが、これでもかというくらいに起こり続けています。 それなのに感染症専門医は誰一人として今までのやり方を見直す方に舵を切っていません。

もしかしたらワクチンが実は大きな害をもたらしていたのではないかと前提を見直すことができれば、

そしてそれを認めて、謝罪することができれば、少なくともその感染症専門医へ評価は変わり、医療への信頼を取り戻す第一歩になる可能性が高いと思うわけですが、

たとえどれだけ矛盾に満ちたことが起こっていても、前提を見直すことのない状況が続いてしまっていると思います。

それどころか現状を正当化するような無理のある言説を流布し続けてしまっているような状況です。



ワクチンを学び直す (光文社新書) 新書 – 2023/10/18
岩田 健太郎 (著)


当ブログでも何度も取り上げている感染症専門医の岩田健太郎先生です。

奇しくも新著のタイトルは「ワクチンを学び直す」となっているにも関わらず、内容はほぼワクチン礼賛するものとなっています。

どれだけ大きな矛盾が起こっていたとしても、感染症専門医がその矛盾を直視しようとはしないのは、

もはや医療全体の構造の問題なので、岩田先生の発言の問題点を指摘し続けるのも気が引けるところもあるのですが、

感染症専門医として積極的に情報を発信されている象徴的な存在ですし、

間違っているものは間違っていると指摘する価値はあるし、見直してもらう必要もありますし、

たとえ岩田先生が見直しができなかったとしても、これを読む人が感染症専門医という存在を考え直すきっかけになればと思いますので、

私がこの新著を読んでおかしいと思ったところを指摘しておこうと思います。

とは言え、ワクチンが良いか悪いかという話になると、どうしても水掛け論になってしまいますし、いくらでも逃げ文句の言いようがあると思いますので、

今回の私の指摘は1点に絞ってみようと思います。

(以下、p78-79より引用)

(前略)

mRNAワクチンは、特定の微生物に対する免疫(獲得免疫といいます)だけでなく、

すべての微生物に対する弱い免疫も刺激することが分かっています。これを「生まれつきの免疫(innate immunity)」といいます。

日本ではなぜか「自然免疫」という間違った訳語を用いているために、いろいろ誤解を生んでいます。あるいは、名前を悪用されています。

自然免疫っていうと、なんか、人造じゃないというか、ナチュラル、オーガニック、地球に優しい、環境フレンドリー、といったイメージが醸し出されるじゃないですか。

関係ないんです。生まれつきある、弱い、でも汎用性の高い免疫が「innate immunity」で、特定の病原体への曝露で後から(生まれつきではなく)強められるのが「獲得免疫(acquired immunity)」です。

ワクチンは後者の獲得免疫をもたらします。

だから、獲得免疫(acquired immunity)と「innate immunity」とでどっちが強くて、どっちが重要かといえば、これは圧倒的に獲得免疫のほうが強くて重要です。

でも、いわゆる反ワクチンの人の一部は、こういう「自然免疫」という言葉のイメージを悪用して、

「ワクチンを打たなくても、自然免疫があるから大丈夫」「ワクチンの人工的な免疫じゃなく、ナチュラルで優しい(?)自然免疫」といった、ワクチンに対する対抗概念としての自然免疫、みたいなストーリーを作りがちです。

まあ、実際には前述の通り、mRNAワクチンは「innate immunity」も強くするんですけれど(引用文献)。

「自然免疫」、マジで改称してほしいわあ。

(引用、ここまで)



自然免疫という用語の英語の本来の意味とか、「反ワクチン」という言葉をはじめとした人を小馬鹿にするような表現などの問題についてはこの際置いておきます。

1点私がこの岩田先生の解説で大きな矛盾があると感じるのは、「自然免疫が弱く、獲得免疫が強い」という部分です。

しかも獲得免疫の方が、自然免疫よりも「圧倒的に強い」とまで表現されています。

今までではこの仮説がまかり通っていたことは事実です。ところが、今やこの前提を疑わざるを得ない事実が発生しています。

思い出してほしいのは、コロナ禍を通じて一切ワクチンを打つことができなかった6ヶ月未満の乳児の死亡率です。

定義上は1歳未満のこどものことを「乳児」と言いますが、生後6ヶ月以上の乳児は一応ワクチンを接種することが可能でした。

しかし6ヶ月未満の乳児はどう頑張ってもワクチンを打つことができない状況にありました。

ただ一般的に6ヶ月未満の乳児の免疫は、通常母親から血液を通じて受けた抗体が移行しているのでさまざまな病原体から守られていると言われています。

ところが今回の新型コロナ(SARS-CoV-2)は人類が初めて経験するウイルスだったはずなので、母親から受け継いだ抗体であってもカバーすることができなかった病原体であったはずです。

ということは、6ヶ月未満の乳児はほぼ自然免疫だけで新型コロナに対抗しなければならない状況であったはずです。

ワクチンは打てる年齢ではないし、母親から受け継いだ抗体も役に立たないし、生まれて6ヶ月までしか経過していないので、当然獲得免疫は鍛えられていないからです。

もしも自然免疫が弱いのであれば、6ヶ月未満の赤ちゃんが新型コロナに感染したら、皆立ち所にやられていないと説明がつきません。

しかし実際はどうでしたか。

統計情報を確認すると、2020年の乳児数は840,835人、2021年の乳児数は811,622人で、合わせて1,652,457人です。2022年以降は本記事執筆時点でまだ書かれていなかったのでひとまずこの2年分で考えます。

で、2020年と2021年の2年間で乳児で死亡した例はどのくらいかを調べようとしたのですが、

調べ方が足りないのかもしれませんが、2020年〜2021年の2年間の10歳未満のこどもの死亡しか調べられなかったのでそれを示しますが、なんと0名です。

乳児どころか、10歳まで範囲を広げても2021年までは10歳未満のこどもはコロナで誰も死亡していなかったというのです。

もっと言えば、5歳〜11歳のこどもへのコロナワクチン接種が開始となったのは2022年2月からで、6ヶ月以上〜5歳のこどもへのコロナワクチン接種が開始されたのは2022年10月からです。

つまり2021年までの間は、10歳未満のこども達は誰もコロナワクチンを打てていなかったわけです。それでもコロナで死亡した人は誰一人いなかったというのです。

それなのに自然免疫が弱いと、本当に言い切れますか?

江戸時代の乳児死亡率は確かにかなり高かったかもしれません。自然免疫が弱いという理論が生まれる背景にはそういう事実も関係しているかもしれませんが、

それは自然免疫が弱いせいではなくて、たとえば栄養状態が悪かったせいだという可能性も十分あるのではないでしょうか。

ちなみに2022年以降で10歳未満のコロナ死亡者は少数ながら出ています。

2022年3月2日−3月8日の週に初めての10歳未満のこどもの死亡者が1名出たのを皮切りに、5類以降前の2023年4月25日までデータ集計されていますが、累計17名の10歳未満のこどもの死亡者が出ています。

偶然か否か、ワクチン接種後より初めての死亡者が出て、それまでずっとゼロだった10歳未満のこどものコロナ死亡者が、時間と共に数が積み重なり続けてきています。

これは本当にコロナ死だと言えるのでしょうか。この現象さえコロナワクチンによって免疫が過剰駆動された結果、亡くなってしまったケースをPCR検査陽性だけを理由にコロナ死だと誤認されている可能性が否定できません。


つまり、事実に即して考えれば、自然免疫は弱いのではなく、

「栄養状態をはじめとして、こどもにとって自然な環境が保たれていれば、自然免疫は未知の病原体にも適応可能なほど強い」と考え直すのが妥当ではないか、ということです。

もしこれ以外に2021年までの間、コロナによる乳児死亡率がゼロであった理由を論理的に説明できる人がいれば、是非とも教えてもらいたいです。

もっと言えば、「コロナワクチン接種による獲得免疫の取得は、本来であれば十分強力であるはずの自然免疫を撹乱させ、最悪の場合死へ至らしめるものである」と考え直す必要もあると思っています。

この見直しは感染症専門医にとって、最も難しい作業であろうことは想像に難くありません。

私で言えば、「糖質制限食の実践によって次々と死亡者が増えているということを認めなさい」と言われるのと同じくらい難しい作業だろうと思います。

ただ糖質制限食で言うならば、実践するかどうかを決断するのは自分自身ですし、おかしいと思ったらやめるタイミングはいくらでもあるわけです。

だから私は常に糖質制限食を実践するかどうかは主体的に判断するように訴え続けています。

でもワクチン接種はそうはいきません。勿論、実践するかどうか決めるのは自分自身という点は構造的には同じはずですが、

糖質制限食とは比べ物にならないほど、ワクチンを接種する方向へ強力な社会的圧力がかけられ続けていたことを忘れてはなりません。

しかもワクチン接種後に見直すとしても、打ってしまったものを打たなかったことにはできません。

でもいくら見直しが難しいのだとしても、間違っているものは間違っていると思います。

これ以上被害や歪みを拡大させないためにも、この矛盾や間違いを放置すべきではないと私は思います。


たがしゅう
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