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脂肪が悪いというデータのトリック

category - よくないと思うこと
2019/ 10/ 10
                 
動物性食品の飽和脂肪酸が動脈硬化に良くないとする説は昔から根強く広まっていますし、

そういうデータを示唆する疫学研究も一部あったりして、積極的に脂質を摂ることに対して不安を覚える方、

もしくは「だから脂質を摂りすぎてはいけない」という指導を積極的に行っている医師も見受けられると思いますが、

その話には実は大きなトリックがあることを知っておいた方がよいと思います。

それは、動物性脂肪を摂りすぎるとよくないという話の裏には「炭水化物を十分摂取した状況において」という条件がつく、ということです。
            

なぜそうだと言い切れるかというのは、現実に起こっている事実を注意深く観察すればわかります。

例えば糖質制限状態にある人は、コレステロールが高いとされる卵を1日5〜10個食べていてもコレステロールは上昇しないということは稀ならず観察されます。

そのことは私自身が過去に行った卵10個を食べて中性脂肪がどう変化するかを6時間追いかけて調べた実験でも、中性脂肪が上がっていかないことからもうかがい知ることができます。

要するに少なくとも糖質制限状態において食べた脂質がそのまま血液中の脂質として増加するという単純な構造に身体はなっていないということです。

なぜそうなのかと言いますと、血液中にそれ以上脂質を溶け込ませることができない限界、「飽和状態」というものがあるからです。

「飽和状態」になると、いくら外から脂質を摂取したところでそれ以上脂質が溶け込むことができないのです。だからコレステロールの高い食品をたくさん食べても額面通りコレステロールが上がらないのはそういう理屈です。

ところがこの状況に対してさらに脂肪を取り込ませることができるようにする方法が一つだけあります。

それが炭水化物を一緒に摂取すること、ひいてはインスリンを分泌させることです。

インスリンが作用すると血中のブドウ糖が細胞内に取り込まれると共に、ブドウ糖が脂肪に変換され脂肪細胞内に取り込まれるという現象が起こります。

さらにはインスリンが作用すると脂肪細胞内の脂肪の分解。血中への脂肪の放出が抑えられ、一方で脂肪はエネルギーとして利用され続け、血液中の脂肪が徐々に減っていく状況になります。

そうすると血液中はまた脂肪が溶け込むスペースが出来て、さらに脂肪を吸収する事ができ、さらには糖が吸収され続ける限り、脂肪が入る余地は作られ続けることになり、

結果的には脂肪を摂り過ぎて本来は溶け込めない脂質が限界以上に取り込めるようになってしまう、というわけです。


その目で世の中にはびこる脂質が悪いというデータを眺めると、炭水化物摂取とセットとなっているものか、

もしくはマウスやラットなど食性が炭水化物摂取に最適化している動物で高脂肪食を食べさせて代謝を破綻させたデータばかりだということに気付きます。

このことに気付いていれば、多数ある脂肪が悪いという趣旨の論文を根拠に「脂肪悪玉説」を主張する人達の言葉を疑うことができます。

もっと言えば、糖質制限状態で高脂質食を食べたらどういう変化が起こるかを自分の身体で体験しておくとよいでしょう。

それで高脂質食で体調がよいことが確認できた人は、どれだけ偉い人が「脂質が悪い」と言った所で、それは自分に当てはまらない話だと直観的に理解できますし、

あとは、なぜ自分と主張が違うのかという事についてゆっくりと考えていけばよいだけです。

科学的に確かだとされる研究データだとしても、そこにはいろいろな解釈が挟まる余地があるので、むやみには信じない方がよいです。

それよりも自分の身に起こる事実を重視して思考すること、体調をバロメータにする事が自分にとって確かなことではないでしょうか。

もっともらしい言葉に踊らされることのないように、自分の頭で考えることを私は強くおすすめします。


たがしゅう

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コメント

非公開コメント
        

ここの部分が・・・
たがしゅうさん、こんにちは。

「脂肪悪玉説」を信じている人には、何をどう説明しても情報が上書きされないような気がしています。

只、今回のご解説の

>インスリンが作用すると血中のブドウ>糖が細胞内に取り込まれると共に、ブ>ドウ糖が脂肪に変換され脂肪細胞内に>取り込まれるという現象が起こりま
>す。
>そうすると血液中にまた脂肪が溶け込>むスペースが出来て、さらに脂肪を吸>収する事ができ、さらには糖が吸収さ>れ続ける限り、脂肪が入る余地は作ら>れ続けることになり、

この部分は、私のような素人にはすんなり理解できません。

血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれても、また、それが脂肪に変換され脂肪細胞内に取り込まれたとしても、血液中の脂質の飽和状態が変わらなければ、「脂肪が溶け込むスペース」は生まれないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

或いは別のプロセスの説明が抜けているのでしょうか?
追加でご解説いただければ有難いです。

Re: ここの部分が・・・
あきにゃん さん

 御質問頂き有難うございます。

> 血液中のブドウ糖が細胞に取り込まれても、また、それが脂肪に変換され脂肪細胞内に取り込まれたとしても、血液中の脂質の飽和状態が変わらなければ、「脂肪が溶け込むスペース」は生まれないのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?

 御指摘有難うございます。
 確かにあいまいで説明が足りない部分がございました。

 生体内では血液中の中性脂肪がグリセロールと脂肪酸に分解され、うち脂肪酸が細胞のエネルギーとして常時利用され続けています。しかし血中の中性脂肪が一定となるように脂肪細胞中の分解され、血液中に中性脂肪が供給されて一定の中性脂肪量を保つように調整されています。

 インスリンはこの脂肪細胞からの血中への中性脂肪放出を抑制しますので、結果的に血液中に脂肪を取り込むスペースができるということになります。従って本文表現も少し不適切なので修正しておきたいと思います。
脂肪と炭水化物の同時摂取
脂肪悪玉説については、たがしゅう先生のおっしゃるように、炭水化物との同時摂取が最悪な事は、糖質制限をすればよくわかります。私は高脂肪食(65〜70%)ですが体重は当初より7kg減量し、維持していますし、検査結果においても異常はありません。

ただ、世の中には低糖質でも脂肪の悪影響を唱える論文が目に着きます。
しかしながら、「低糖質」の概念が、糖質制限実践者とは全く異なり、炭水化物40%は立派な低糖質だと論文は謳っており、2000kcalとすると200gの糖質量になりますから、全く参考になりません。
糖質10%前後での脂質の影響を調査した研究はないのでしょうか。
Re: 脂肪と炭水化物の同時摂取
西村典彦 さん

コメント頂き有難うございます。
御指摘のように低糖質論文の低糖質度も半端なものが多いですね。
それでいて死亡率が高まるなどという結論めいた論文が一人歩きしていたりするので始末に負えません。

> 糖質10%前後での脂質の影響を調査した研究はないのでしょうか。

あるとしたら古典的ケトン食(脂質80-90%)の論文がありますが、
古典的ケトン食は最近はあまり行われなくなってきているのと、小児の難治性てんかんに2年間を目安に期間限定で用いることが多いので、なかなか長期の安全性を評価しきれていません。
ただ、古典的ケトン食ではタンパク質量まで少なくなるためか、低身長の副作用が報告されていて、のべつ幕なしに高脂質にすることに対する警告的な現象も検討されています。自然界にもともと存在する食品を食べている限りは極端な高脂質にはならず、高脂質にすればまず高タンパク質にもなるので、ここでも自然重視型のスタイルの大切さをうかがい知ることができます。
Effects of Step-Wise Increases in Dietary Carbohydrate on Circulating Saturated Fatty Acids and Palmitoleic Acid in Adults with Metabolic Syndrome
 飽和脂肪酸を多く摂取しても糖質50g以下で血中飽和脂肪酸はもっとも減少するという結果です。西村さんの参考になれば。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4240601/

これに引き続き
http://www.nibiohn.go.jp/eiken/linkdediet/news/FMPro%3F-db=NEWS.fp5&-Format=detail.htm&kibanID=67417&-lay=lay&-Find.html
Re: Effects of Step-Wise Increases in Dietary Carbohydrate on Circulating Saturated Fatty Acids and Palmitoleic Acid in Adults with Metabolic Syndrome
aiko koyama さん

情報を頂き有難うございます。参考になります。