家族の基盤となる共同体感覚

2018/01/11 00:00:01 | 動物から学ぶこと | コメント:0件

結婚の話題を取り上げたので、この流れで「家族」というものについても考えてみます。

たまたま立ち寄った本屋で目にした雑誌、日経ビジネスの特集が『「家族」を考える~つながりの再構築』でした。

今家族を構成する人数は昔と比べて大きく減少してきています。

特集によれば高度経済成長期の頃に比べ同居率は5割から1割へ、出生率は半減近い水準まで急低下し、

残った家族も一人で閉じこもったまま孤立する人が多いといった状況にあるようです。

私自身も成人して独り立ちして、昔と比べて家族と過ごす時間が圧倒的に減っている事を思うと他人事ではありません。

そんな家族について「動物から学ぶ」という趣旨の記事が書かれていたので紹介したいと思います。

(以下、引用)

動物から考える
「家族」はなぜ壊れたか


人間が「家族」を失いかけている中で、

動物は今日も子を育て、集団生活を送り続けている。

動物学の権威たちは、そのプリズムを通して、人間社会の病理を読み解い、「再生」への道を示す。

「家族が身体的なつながりを根拠にして出来上がっていることを、僕はゴリラから学びました。

ゴリラは言葉を使うわけではないのに、10頭前後の群れが1つの生き物のように動きます。

僕はこれを『共鳴集団』と呼んでいて、現代で言えばスポーツのチームであり、『家族』なんです。

スポーツでは言葉ではなく身体でつながり合って連携して動ける。

家族も言葉を必要としないくらい、それぞれの身体の個性を分かりあっていて、まとまることを喜びとします。」

京都大学総長で霊長類学者の山極寿一は、ゴリラやチンパンジーといった霊長類の生態を研究する過程で、動物と人間の「家族の起源」を解き明かしてきた。

(中略)

「家族」という視点だけで見れば、ゴリラは人間社会に近いようにも映る。

だが、決定的な違いがある。

「ゴリラは数日間でも集団(家族)を離れると、二度と元に戻れません。

しかし、人間は家族の外に共同体があり、緩やかにつながっています。この二層構造は人間だけに見られる特徴です。」

(中略)

「人間は食物をとって運び、あるいは自分達で生産して、みんなで集まって食べます。

この『共食』によって家族と共同体という二重構造が成立したわけです。

そして、他の家族と一緒に子育てすることにとって共同体が強くなっていく

こうした子育てをコストとして考えたら、見返りを要求することになってしまいます。現代はまさにそういう流れになってきていますね。

でも、共同の子育てというのは本来、楽しいものであり、むしろ得なことなんです。」

(引用、ここまで)


現代は都市文明が発達し、社会システムをうまく利用する事で、一人でも生きていきやすい環境が整いました。

その一方で家族とのつながりが希薄になってしまってきたわけですが、それでは家族を規定するものとは一体何なのか。

血縁とか一緒に過ごした時間とかが頭に思い浮かびますが、動物の在り方から考えるとそうした事は必ずしも重要ではなく、

最も大切なことは、「共同体感覚なのではないでしょうか。アドラー心理学にも出てくる言葉です。

結婚し家族になると子育てにお金がかかる。それならば、独身のままでいた方がリスクが低いから家族は要らない、など、

そんな事を考えているのはおそらく人間くらいのものなのだろうと思います。

家族とは信頼できるグループであり、それを構築するために大事なことは共同作業、共鳴感覚です。

そして、それらを得るための最も効率的かつ喜びを感じる手段が子育てだということです。

動物達はそのことが本能的によくわかっているからこそ、「家族」を形成し続けているのではないかと思います。

そうは言っても、人間社会で家族を作り、子育てするのには実際問題お金がかかるじゃないかと、

いう意見に対してはっとさせられる記事がその後にも書かれていましたので、

次回はその事について紹介させて頂きたいと思います。


たがしゅう
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