脂肪と糖を両方落としてはいけない
2014/08/30 00:01:00 |
糖質制限 |
コメント:4件
糖質には中毒性があります。
数々の患者さんに糖質制限を勧めてきて、
多くの方がその実践に踏み切れず、糖質の誘惑に負け続けている現状がある事を知りました。
一方、世の中には脂肪悪玉説がはびこっており、
脂肪に中毒性があるという考えの方が広く受け入れられています。
しかし、脂肪を主たるエネルギー源とするケトン食の実践者達は、
中毒性に負けるどころか上手に食欲をコントロールする事ができています。 脂肪に中毒性がある、という誤解をあたかも真実のように広めた真犯人は、実は一緒に食べていた糖質の方だったのです。
このトリックには世界の名だたる研究者達も引っかかっており、
常識の壁の根深さを痛感させられます。
しかし、事実を冷静に見つめれば、高度な医学知識を持たなくとも、
中毒性が強いのが糖質なのか、脂質なのかは容易に判断できると思います。
ところで、最近糖がよくないという知識が広まってきたからか、
「余分な糖と脂肪を落とす」という宣伝文句で売られる健康茶が注目されるようになってきました。
確かに糖質と脂質の組み合わせは最悪です。
糖質と脂質を一緒に摂取すると、糖質によって分泌促進されたインスリンによって、
代謝は脂肪をため込む方へと切り替わり、折角のエネルギー源である脂肪を使わせること無く体に脂肪が蓄積されてしまいます。
またこの時に過剰に脂肪が取り込まれることで、脂質バランスが大きく乱されます。
なおかつ、糖質の中毒性によってやみつきになり、さらに脂肪を取り込む流れを助長してしまうのです。
だから、脂肪と糖の両方を減らそうという発想が出てくるのはよくわかるのですが、
減らすべきは両方ではなく糖質だけでいいのです。
なぜならば中毒性が強いのは糖質の方であり、
脂質だけを摂取していれば適量貯蔵され、適量エネルギーとして利用する本来の働きが駆動されるからです。
ケトン食を通じてこうした事実を眺めていると、
脂質こそがヒトの基本的なエネルギー源であると考えざるを得ません。
その事に気が付かれず、糖と脂肪を一緒に落としましょうという謳い文句が受け入れられるのは、
脂肪悪玉説が世の中に根深く根付いている証拠の一つだと思います。
脂質はとても大事ですが、
糖質と一緒に摂ることで折角の脂質の良さが台無しになります。
制限すべきはあくまで糖質だという事を見失わないようにしたいですね。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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脂肪悪玉説
お久ぶりです。
糖質制限を知ると、ケトン食(脂肪の代謝・遺伝子発現促進等々)、断食(遺伝子発現促進・内因性アミノ酸産生)という流れはごく自然な流れだと思います。私がそうでした(笑)。
ケトジェニックな人たちにとって、脂肪の摂取に関しては悩ましい問題です。
脂肪悪玉説については、頭ごなしに否定をするのは如何なものか?と常日頃思っております。
たんぱく質は20種のアミノ酸で構成されておりますが、脂質に関しては桁外れに多い脂肪酸(内因性も含めて)で構成されています。同じ原子数でも脂肪酸の構造が違うだけでその代謝・作用が違っているというようなこともあります。例えば単鎖脂肪酸の3ヒドロキシ酪酸もDタイプの構造とLタイプの構造ではその作用はまるっきし違うようです。
脂肪酸の代謝に関する研究が遅れているのはこういった複雑性にあるのではないかとおもいます。
>世の中には脂肪悪玉説がはびこっており
脂肪悪玉説を否定する場合、脂肪の質についても記述するのが寛容かと思います。
脂肪悪玉説にも一理あるとおもいます。なぜなら悪玉脂肪酸(大量のリノール酸・トランス脂肪酸・酸化度の高い脂肪酸は悪玉です)もあるし上質な必須の脂肪酸もあるわけで、誤解を招く恐れもあると考えております。
確かに飽和脂肪酸の摂り過ぎで動脈硬化のリスクが高まるという報告は多数ありますが、同じ飽和脂肪酸の動物の脂は安全という脂質栄養学会の報告があり、動物の脂の大量摂取ではそのリスクに変化はない、という報告を基にしています。
やはり脂肪酸分子の構造の違いによるものと考えた方がいいかもしれませんね。
山口まことさんのブログで
いつもためになるお話をありがとうございます。
糖尿病は心の病気です。
というタイトルのブログをご存知でしょうか。
私は愛読者なのですが、例えば8月29日の記事など、とてもたがしゅう先生と通ずるところが多く、是非ご紹介させていただきたくなりました。
Re: 脂肪悪玉説
コメント頂き有難うございます.
> 脂肪悪玉説にも一理あるとおもいます。
そうですね.脂質の質に関わる話は複雑です.
もともとトランス脂肪酸が生まれた背景にも「飽和脂肪酸が悪である」という従来の理論が関わっていたと聞いています.
しかし今やその「飽和脂肪酸が悪である」という大前提が崩れてきているわけです.
100点を目指せばキリがありませんが,個人的には枝葉末節にとらわれ過ぎない方がよいと考えています.
大雑把にみれば,もともと自然界に存在する脂質を適量とるくらいのスタンスでよいのではないかと私は思います.
Re: 山口まことさんのブログで
情報頂き有難うございます.
> 糖尿病は心の病気です。
> というタイトルのブログをご存知でしょうか。
存じ上げませんでしたが,趣旨には同意します.
血糖の乱高下はドーパミンやセロトニンといった神経伝達物質の乱高下を起こし,精神機能にも影響を与えるからです.
ただ検索してみたら山口まことさんのHPへとつながりましたが,残念ながらパスワード制限があり閲覧する事はできませんでした.
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