盲信せず考え続ける
2014/03/06 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:14件
世の中には傍から見ていて完璧に見える人がいます。
世界的な大富豪、才色兼備の研究者、偉大な記録を打ちたて続けるスポーツ選手なども然りです。
あるいは糖質制限の世界でパイオニアとして走り続ける偉大な先生方もそれぞれが完璧な存在に思えます。
しかし、たとえどんなに完璧な人であっても、人間というのは誤るものです。
これが「ヒューマンエラー」という考え方です。
ヒューマンエラーというのは、基本的には ゼロにする事はできませんが、減らすことは可能です。
「自分で考える力」を鍛える際に、このヒューマンエラーの事を認識しておく事は重要だと思います。
ゼロにはできなくとも、ヒューマンエラーを減らす工夫はいろいろあります。
例えば、ギロチン式の紙の大型裁断機では、「誤って指を切る」というヒューマンエラーが起こり得ます。
そこで、それぞれ離れた位置にある2つのボタンを同時に押さなければ、ギロチン刃は作動しないというシステムにします。
すると両手が刃の近くにいない状態でしか刃が動かないので、手の切断の事故が成立しなくなるというわけです。
これはモノやシステムでヒューマンエラーを減らす工夫の例ですが、
ビトの側でヒューマンエラーを減らすコツとしては、まずは「ヒューマンエラーがあるというのを知る」ということです。
つまり、たとえ完璧に見える人であっても、「その人の言っている事ならば間違いない」と考えるのはリスクのある行為だという事知っておかなければなりません。
勿論、信じた相手が正しい事をしていれば、結果的にリスクは少なくなるのかもしれませんが、
それでも盲信することはよくありません。
ヒューマンエラーを最小限にするには、人は間違えるという事を踏まえつつ、適宜軌道修正を図っていくことです。即ち考え続ける姿勢です。
さもなくば、もしも信じた相手が間違っていた場合、それは盲信していた自分が悪いのであって何も文句は言えないと私は思います。それは従来の治療法であろうと、糖質制限であろうと同じことです。
でも未熟な自分はそうは言ってもエラい人のいうことを聞いていた方がいい、と思われるかもしれませんが、
矛盾するようですが、最初はそれでいいと思います。
その点を考えるのにもう一つ、「守破離(しゅはり)」という考え方があります。
守破離というのは、日本での茶道、武道、芸術等における師弟関係のあり方の一つです。
まずは師匠に言われたこと、型を「守る」ところから修行が始まります。
その後、その型を自分と照らし合わせて研究することにより、自分に合った、より良いと思われる型をつくることにより既存の型を「破る」のです。
そして最終的には師匠の型、そして自分自身が造り出した型の上に立脚した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から自由になり、型から「離れ」て自在になることができる、というわけです。
決められたルールや先輩の言う事に従うのは、
あくまで自分が一人で考えられるようになるまでの一時的な時間であるべきです。
世の中ではガイドラインやエビデンスに基づく医療が重視され、
それを守る事が最もリスクの低い安全な治療だと盲信している医師が多いです。
しかしそれでは本当の意味で患者さんを守ることはできません。
だから私は今日も考え続けます。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
未だ途中の私
何か、仏教用語のようにも聞こえますね。
学業でも最初は学ぶ・・まねぶ・・まねる
から始めよといいますね。
当方、糖質制限については、まだまだ、真似ている段階。
自分や家族で、試行錯誤しています。
ただ専門の創傷治療に関しては、だいぶ、「離」のところまで来ているような気がしました。
講演を頼まれても、快く引き受けることができます。
でも、きっと、そのことに満足してはいけないのだろうなあと自戒の気持ちも生まれました。
常に疑わないと・・・
自分が正しいと思ってやっているキズの治療を疑うというのも、難しいですが、でも疑ってかかると、もしかして、もっとよいアイディアが浮かぶかもしれませんものね。
気を引き締めていきます!
ありがとうございました。
Re: 未だ途中の私
コメント頂き有難うございます。
私自身は、湿潤療法が「守」、糖質制限が「破」といった状況かと自己分析します。
本当に「破」「離」ができるかどうかは別として、いつまでも「守」のままではいけないという心構えが大事なのではないかと思います。
WHOが糖質制限を推進?
先ほどラジオのニュースで、WHOが1日の糖分の摂取量をカロリーの5%未満に抑えるべきだという指針を公表したと報じられていました。
砂糖に換算すると、ティースプーン6杯、25gまでに抑えるようにという内容だったと思います。
思わぬところから、糖質制限が波及していきそうです。
Re: WHOが糖質制限を推進?
情報を頂き有難うございます。
> WHOが1日の糖分の摂取量をカロリーの5%未満に抑えるべきだという指針を公表したと報じられていました。
> 砂糖に換算すると、ティースプーン6杯、25gまでに抑えるようにという内容だったと思います。
そうですか。本当なら好ましい流れです。
ただ総カロリーの5%未満となると古典的ケトン食並の強い糖質制限ですので、
もしかしたらその糖分の中に「炭水化物の中の糖分」は含まれていない話かもしれません。いずれにしても注意深く見守りたいと思います。
チェックが必要ですね
おっしゃるとおりだと思います。自分自身何もチェックせずに盲進するのは危険ですね。特に体に関することはそう思います。エビデンスは大切だと思いますが(素人考えですが)人間の機能は非常に複雑なのでそのエビデンスの傾向が自分に完全に当てはまるとは限りませんから合う、合わないという部分はありますね。こういう現象面と理論的なアプローチを考えて対処するのが良いと思います。
WHOの発表
http://www.japan-who.or.jp/event/2014/AUTO_UPDATE/1403-2.html
英語原文
http://www.who.int/mediacentre/news/notes/2014/consultation-sugar-guideline/en/
"sugar"すなわち”砂糖”の摂取量を、総カロリーの10%から5%に下げるよう、ガイドライン変更を検討中
このガイドライン草案に対するパブリックコメントを募集しているわけです
心配
何年か前、WHOで同じような(sugarの摂取を減らしましょう)という勧告が出され、その責任者の首が飛んだ、という事がありました。
米国砂糖協会のロビー活動の凄さは「砂糖の歴史」に詳しく書かれております。
http://www.amazon.co.jp/%E7%A0%82%E7%B3%96%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2-%E3%82%A8%E3%83%AA%E3%82%B6%E3%83%99%E3%82%B9-%E3%82%A2%E3%83%9C%E3%83%83%E3%83%88/dp/4309225446
Re: チェックが必要ですね
コメント頂き有難うございます.
> 現象面と理論的なアプローチを考えて対処するのが良いと思います。
おっしゃる通りですね.
今より良い状態を求めるならエビデンス外のものに対しても真摯に向き合う必要があると思います.
Re: WHOの発表
情報を頂き有難うございます.
> "sugar"すなわち”砂糖”の摂取量を、総カロリーの10%から5%に下げるよう、ガイドライン変更を検討中
やはり糖質そのものではありませんでしたね.
砂糖だけに注目して炭水化物の糖質に対して無介入なら,5%も10%も五十歩百歩ですね.
Re: 心配
コメント頂き有難うございます.
世の中が変わるのを待つのは効率が悪そうですね.私たちから変わっていきましょう.
Re: WHOの発表
私のような医療と関わっていない一般人には、「糖質」「糖類」「糖分」という同じような単語の区別がつきにくいです。
さらに炭水化物と言われても、そこに糖質を含んでいるなんて、1年前までは、知りませんでした。
この辺りの言葉の違いも、砂糖は体に良くなさそうだけど、米は健康に良さそうというイメージが出来上がっている理由なのかもしれませんね。
Re: Re: WHOの発表
コメント頂き有難うございます.
> 炭水化物と言われても、そこに糖質を含んでいるなんて、1年前までは、知りませんでした。
現状では多くの人がその事実を知りません.残念ながら医療従事者でさえそうであり,あくまで「糖質と言えば甘いもの」という認識です.
まずはその事実を一人一人へ確実に伝えていきたいと思っています.
糖質制限食における守破離
>本当に「破」「離」ができるかどうかは別として、いつまでも「守」のままではいけないという心構えが大事なのではないかと思います。
たがしゅう先生は 湿潤療法が「守」、糖質制限が「破」と自己分析されていますが、糖質制限食においてもでもすでに「守破離」を行っているのでは
ないかと感じています
新しいことを取り入れる姿勢の中には、自分の考えも常に批判するという姿勢が含まれいるので「ある理論が絶対的に正しい」とするのではなく
「よりより理論に進化させていく」意気込みをたがしゅう先生のブログから感じています。
糖質制限食を実行した方の中には「具合が悪くなった」「自分には合わない」と感じている方も確かにいるようです。
特に 糖質制限食開始前の「腸の状態」などが結果を複雑にしているようです
私自身は 「守」から少し「破」に入りかかったところと自己分析していますが 迷いは深く「離」にはまだほど遠そうです。
Re: 糖質制限食における守破離
コメント頂き有難うございます.
> たがしゅう先生は 湿潤療法が「守」、糖質制限が「破」と自己分析されていますが、糖質制限食においてもでもすでに「守破離」を行っているのではないかと感じています
恐縮です.私はまだまだ未熟者ですので,これから頑張っていきます.
> 「よりより理論に進化させていく」意気込みをたがしゅう先生のブログから感じています。
糖質制限を続けるにつれて,糖質制限だけでは100点にならないという事を知ることになっています.
おっしゃるように糖質制限の理論をさらに高めていく必要性を私は感じています.
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