ビタミンもオートファジーできるか

2016/12/17 00:00:01 | ふと思った事 | コメント:2件

栄養学の教科書のどれを読んでみてもビタミンは必須という事が前提で文章が書かれていますが、

はたしてそれは本当の事だろうか、という点についてもう少し深く掘り下げてみようと思います。

ビタミンの定義は、「生物の生存・生育に微量に必要な栄養素のうち、炭水化物・タンパク質・脂質以外の有機化合物の総称」とあります。

有機化合物というのは炭素(C)を含む化合物の事をそう呼びますので、

炭素を含むけど炭水化物でもタンパク質でも脂質でもないというものを「ビタミン」と名付けようという事でビタミンかどうかが決まっています。

一方で先日紹介した本の中で、当初はビタミンと名付けていたけど詳しく調べたら実はアミノ酸だったというケースが紹介されていました。

しかもそんな例が1例や2例ではなく、ビタミンと思ったら実はビタミンでなかったというケースは結構たくさんあって、専門家の中でもビタミンか否かの判定は結構難しいという事が想定されます。

そのように判定の難しい恣意的な分類を、生体は細かく区別しているのでしょうか。 何が言いたいのかといいますと、「ビタミンもオートファジーできるのではないか」という事です。

そもそもビタミンという言葉の語源は、「vital(生命に必要な)」+「amine(アミノ基を持つ物質)」ですが、後にアミノ基を持っていなくてもビタミンに入る物質が発見されたので「vitamine」から「vitamin」と表記が変更になったとされています。

ビタミンB4として発見されたけど、実はアルギニンだったという話も踏まえると、ビタミンとタンパク質の構成要素であるアミノ酸の境界は私達が考えるほど厳密な差異はないのではなかという気がするのです。

オートファジーはタンパク質の分解・再利用システムだと認識されていますが、はたして生体が「これはタンパク質じゃなくてビタミンだからオートファジーしなくていい」などという判断をしているのだろうかとも思います。

だから生体が危機に瀕した時に無駄なエネルギーを遣わずに必要不可欠な物質だけを回収し再利用するシステムがオートファジーだとするならば、

ビタミンだとかタンパクだとか言っている場合でなく、必要なものは何でも再利用しているはずじゃないかと思うわけです。

これは何もビタミンとオートファジーの研究があるわけではないので、あくまで私の仮説に過ぎません。

しかし根拠となる状況証拠はあります。私は以前8日間の絶食を施行し、自分の血液データを事細かく調べたことがあります

ビタミンCは一般的に測定できないのでわかりませんでしたが、ビタミンB群はある程度測定可能です。その中でビタミンB12が絶食により減るどころか急上昇するという現象が見受けられたのです(絶食前568pg/mL→6日絶食後1790pg/mL)。

ただビタミンB12は数年分は肝臓などに貯蔵されているものなので、それが放出されていると考えればあり得ない話ではないですが、

ビタミンB1に関しては6日間の絶食前後で横ばいで推移していました(絶食前27ng/mL→6日間絶食後26ng/mL)。

何も食べていないのに貯蔵できないはずの水溶性ビタミンであるビタミンB1が減らずに横ばいで推移しているというのはどういう事か、ということです。

今までは絶食による未知のメカニズムがある、くらいにしか思っていませんでしたが、

今にして思えば、もしかしたらビタミンもオートファジーされていたのではないかと考えれば私の中で非常に腑に落ちます。

逆に言えばオートファジーが働かない状況、すなわちインスリンが分泌されるような状況ではビタミンは再利用されず枯渇していくという話にもつながります。

先日夏井先生からもビタミンC欠乏の壊血病は、糖質過剰摂取と連動しているのではないかとの見解がございましたが、

ビタミンB1欠乏についても同じようなことが言えるのではないでしょうか。少なくとも私は8日間の断食で脚気症状は全く自覚しないということを自身の身体で確認しています。

それに私の場合はたかだか8日間ですが、世の中には30日絶食で過ごした人や、6年以上食べていないという人まで存在します。

それをただ単にウソだと信用しなければこの話はそこまでですが、もしもそれが本当ならこの現象をどう説明できるのか、

一概に自分の理屈に合わない現象を否定せず、その問題と向き合い続ける姿勢が大事だと思います。


たがしゅう
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コメント

体のすごさ

2016/12/17(土) 22:41:01 | URL | だいきち #-
いつも不躾な質問にも快く返答いただきありがとうございます。テレビ番組で腑に落ちない点があり、是非先生にご意見を伺わせていただけますか。

某番組で最新ガン免疫治療というテーマで「免疫チェックポイント阻害剤」というものが紹介されました。
これまでの免疫療法は免疫細胞の攻撃力を高める、いわばアクセルをかける働きが中心だったが、この阻害剤では免疫細胞にかけられた「ブレーキを外す」作用でガン細胞を叩く作用機序。効果があるのは、2割程度の患者さんで、副作用もある云々・・・。
ところが「ガンが克服される日も近い」というトーンで締めくくられていました・・・。

私の感想は、「最新とはいえ、結局は抗がん剤と似たような狙いじゃないか」とがっかり。
体がガンに犯されるほど免疫が落ちた原因を棚に上げて「体がガンに犯されているからと、ガンを叩く薬を体に投入する」治療を模索する限り、ガンは克服できないと思います。
それを、あたかも「ガンはいずれ特効薬が開発される!」という無責任な期待を抱かせる内容の番組に辟易します。

そこで今回の「ビタミンもオートファジーされていたのではないか」という考え。
体は、体の主の無意識化で、あらゆる作用機序を駆使して生命維持機能を発動させて健やかに保とうとしている。しかし、主が自ら不自然な食生活や不健康な思考を取り入れているばかりに、病を引き寄せてしまう。それでも体は健気にも奥ゆかしくもその不自然な状況に対応しようと頑張る。

体が愛おしくてたまりません。

病に見舞われた時こそ、体の健気さに感謝することが一番の治療法ではないかと思うのです。
いつかガンの特効薬は登場するのでしょうか?
そろそろ、人々は外に助けを求めるより、内に答えを見つける事にシフトしていくべきだと思うのです。
愚痴っぽくなってしまい申し訳ありません。

Re: 体のすごさ

2016/12/18(日) 08:01:09 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。

 「免疫チェックポイント阻害剤」は従来のがん医療パラダイムの中での新しい薬ですね。
 まつわる情報を見ていて、「ガンが克服される日も近い」とは私には到底思えません。超高額費用も理解に苦しみます。

> 病に見舞われた時こそ、体の健気さに感謝することが一番の治療法ではないかと思うのです。
> そろそろ、人々は外に助けを求めるより、内に答えを見つける事にシフトしていくべきだと思うのです。


 同意見です。
 特効薬が現れるのを待っているようなメンタリティでは、残念ながらいつまでたっても病は克服できないと私は思います。

 2016年9月4日(日)の本ブログ記事
 「難病を克服するメンタリティ」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-721.html
 も御参照下さい。

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