根本原因への対処を他人はしてくれない
2018/04/02 00:00:01 |
普段の診療より |
コメント:6件
診療をしているとたまに、3か月に1回くらいの頻度で通院している患者さんを診る機会があります。
そういう患者さんは、高血圧症とか脂質異常症とか高尿酸血症とか、いわゆる生活習慣病の薬をもらうことが受診の目的で、
余計なことはいいからとにかく薬を出してもらえればそれでいいという雰囲気を醸し出しておられる方が多いです。
一方でそういう患者さんに限って過体重であったり、肩こりが慢性化していたり、
是正すべき生活習慣があるので、根本的に治療するためには生活指導が欠かせないという場合も結構あります。
ただそういう患者さんに対して、私が生活習慣の是正のため糖質制限指導をするかというと、
以前はしていた時期もありますが、今は何も言わずに患者さんが望むがままに薬を処方しています。 もしも、ただ薬を出してほしいだけが希望の患者さんを引き留めて糖質制限指導をしようものなら、
今までの経験上、高い確率で患者さんに嫌な想いをさせるだけで医師患者関係が悪化するからです。
「いかに身体によいと思うことであっても、本人が心地よいと感じないことは決して指導してはならない」、快を重視するBOOCS法の原則の一つです。
相手に不快を与える糖質制限指導をするくらいなら、本人が快だと感じている薬を素直に処方する方がまだ良いというわけです。
病気と向き合おうとしていないそんな患者さん達を正直残念だとは思います。
しかし、厳しいことを言うようですが、それはその人が選んだ人生の選択であり、他人の私がどうこう言える話ではないのです。
ここに「主体的医療」の重要性をまさに感じることができます。
先日は病気が末期になって初めて病気と向き合うのではなく、最初から最期まで病気を見つめて自分を振り返るべきだと述べましたが、
ただ薬をもらって何も生活習慣改善行動を起こさないこうした患者さんの行動も、がんが早期発見された時だけ手術で切除してもらうよう病院に依頼する行動も、
本質的には同じ病気と向き合わない、病気を見つめようとしない行動だと私は思います。
西洋薬が行っていることは何なのか、手術が行っていることは何なのか、その本質を考えてみてほしいと思います。
多くの西洋薬が行っていることは根本原因を放置したまま当座の問題を先延ばしにする行為です。
手術とは目の前にある病気という存在を根本原因を放置したまま臓器を欠損させることで問題を見えなくさせる行為です。
根本的な原因を放置したまま問題を先延ばし見えなくなる先に行き着くところを想像してみれば、
そこに明るい未来は待ち構えていないということは想像に難くないのではないでしょうか。
自分を見つめ直す道を選ぶのか、自分をごまかし続ける道を選ぶのか、
決めるのは所詮他人の医師ではありません。
決められるのは自分自身しかいないのです。
私はその事を伝えられる人に伝え続けていきたいと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
薬だけほしいか、何か指導もしてほしい
患者さんいるでしょうし、見極めが難しいかもしれないですね。
先生も大変だろうなと感じました。
糖質制限できてないので、先生のブログよんでそろそろやってみようとおもいました。ありがとうございます🌟
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
自分の頭で考えて、自分の人生を選んで頂ければと思います。
No title
主体性の不足または欠如です。
他ならぬ自分の人生なのに、頑として自分を変えようとしない。自分はそこを動かずに他人を動かすことで都合よく解決しようとする。誰でも無意識にやってしまう姿勢です。
他人が(たとえ家族でも)自分を幸せにしてくれる道理はないと思います。そういう表現は感謝や謙虚さの示し方、哲学であって受動的人生の結果ではないと思います。
医療にしても医療関係者は確かに専門の知識や技術を修めているはずですが、あくまでも患者自身が主体的かつ積極的に対処することが本来的で全うな姿勢だと思います。
びっくりするほど多量の薬を毎日飲んでいる人ほど、薬をもらってるから、医者がそうしろというから、それで良くならないのは仕方ない、そんなことを判で押したように繰り返しています。
私の非常に近しい周りでも、なかなか自分の人生と向き合おうとしない人々が多いです。権威を疑わないというよりも私には主体性の放棄に見えます。
自分自身を見つめるということはある意味ではとても苦しいことですので、拒否する気持ちは痛いほどわかります。私自身もことあるごとに嫌なことから逃げ出しています^^;
しかし事実を正面から認めて受け入れない限り、正しいまたはあるべきすがたに効率よく向かうことは非常に困難なことだと思うのです。
小手先や表面にこだわるのではなく、本当の意味で自分の人生を生きるということは、まずは自分自身を正面から見つめて受け止めることからではないかと考えています。
本当に幸せになりたいなら、です。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 権威を疑わないというよりも私には主体性の放棄に見えます。
> 本当の意味で自分の人生を生きるということは、まずは自分自身を正面から見つめて受け止めることからではないかと考えています。
> 本当に幸せになりたいなら、です。
まさに、私もねけさんと同意見です。
多くの方は社会生活の中でいつの間にか植え付けられた固定観念のせいで、自分は見つめ直さないけれど幸せにはなりたいという本質的には共存が難しい思考パターンに陥ってしまっているように私には思います。
一方で今のままの社会環境では主体性をしっかりと持っていても健康管理を維持していくのが難しい世の中です。様々な従来の常識に基づく健康情報(例:がんは怖い、認知症は治らない…など)に惑わされて終始一貫して主体性を貫くことにも勇気が要ります。
だからこそ新しい医療常識をもとに主体的な患者さんが自分らしくいられる事をサポートできる医療機関と患者さんとをつなぐ新たなシステムを作る必要があると私は考えています。一方で主体的ではない患者さんは今まで通り従来医療のレールに乗るという形にすればお互いが共存できる可能性も見えてくるのではないかと思っています。
No title
自分の病気を見つめることが出来ないで、多剤服用の魔のスパイラルに入ってしまうのも、《その方の人生である》と思うのではありますが……
その為に、どれだけの税金が使われているのか と思うと複雑です。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
そうですね。正直私もそう思います。
たとえ今世では無理だとしても来世での幸せを願うという大きな愛でどんな人でも温かく見守れる心、
自分のお金はなくてもいいから、たとえそれが誤った方向に使われていたとしても大きな愛で許していられる心、
そういう心持でいることができれば悟りの境地なのでしょうけれど、なかなか凡人には到達しがたい領域です。悩みもがきながら世の中が良くなる方向へ一歩ずつ歩みを進めていくより他にないのかもしれません。
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