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漢方薬は薬ではない

category - 漢方のこと
2017/ 09/ 26
                 
西洋医学を学んできた医師にとって概して漢方の考え方はとっつきづらいものです。

地道に古典的な漢方のお作法を学んでいくのがいわゆる王道だと思いますが、

そのお作法に全く頼らずに科学的思考で漢方薬を捉え、西洋医学的な発想での漢方薬の処方術を推進している「サイエンス漢方処方研究会」という会があります。

実は私も漢方薬の科学的な側面に興味があり、その会に所属して漢方薬の謎を解き明かすために役立ちそうな情報を学んでいます。

その「サイエンス漢方処方研究会」の理事長が、北海道は日高郡新ひだか町の静仁会静内病院の院長、井斎偉矢(いさい ひでや)先生です。

先日、井斎先生の鹿児島講演会があり参加して参りました。
            

さすがサイエンス漢方処方研究会理事長だけあって、井斎先生の講演はいつもクリアカットで分かりやすいです。

脈診とか腹診といった東洋医学独特の診察法の話は一切出て来ないので、漢方になじみのない医師が聞いても分かりやすいのではないかと思います。

ただ実際に井斎先生の処方を真似ても、うまく行くときもあればいかないこともまあまああるので、

やはり人体はそう簡単にクリアカットにはいかないことを感じつつ、しかし一つの考え方として有用と捉えていつも興味深く井斎先生の話を聴講しています。

また井斎先生の話は本論だけでなく、時々こぼれてくるミニ情報も大変有意義で勉強させられます。

例えば以前当ブログで紹介した配糖体の薬効発現に資化菌という腸内細菌が関わっているという話も井斎先生から聞いたものです。

そんな中は今回の講演で井斎は「漢方薬は薬ではない」という驚くような事を述べられました。


どういうことかと言えば、ここでいう薬というのはいわゆる西洋薬のことをイメージするとわかりやすいですが、

薬とは確かな薬効成分があり、患者がどのような状態であってもその薬効を発揮することができるもの、と定義されます。

例えば降圧薬は血圧を下げる(正確には血圧を上げるシステムをブロックする)確固たる成分があり、

高血圧の人に使おうが、ショックの人に使おうが効き方の大小こそあれ、必ず血圧を下げる方向に働きかけます。

ところがこの定義に当てはめると漢方薬は薬ではなくなってしまうというのが井斎先生の主張です。

つまり漢方薬の場合は確かに薬効成分があるにはありますが、単一ではなく超複雑多成分系で、

麻黄という昇圧成分エフェドリンを含む生薬を含む漢方薬でも、ある時は発汗作用が出たり、またある時は咳止めとして作用したりします。

しかも使う人の状態によっては同じ漢方薬が真逆の作用をもたらすことがあるというのも漢方にまつわってはよく観察される事実です。

漢方薬はそれが能動的に身体に作用をもたらすというよりも、

漢方薬というトリガーをきっかけに身体がもともと備えている熱産生系や炎症・抗炎症システム、水分代謝や微小循環調整システムが適切に働くようにするものです。

それを漢方薬の複雑な成分が持つ薬効がそうした変化をもたらしていると考えてしまうと、

同じ成分が真逆の作用をもたらすという点の説明にどうしても矛盾が生じてきます。

どうやら漢方薬が効く理由には従来の薬理学では説明できない何か別の理由が潜んでいる可能性が考えられます。

その理由を考えるのに、少し参考になりそうな事を最近私は勉強し始めました。

ホメオパシーと呼ばれる代替医療です。読者の皆さん聞かれたことはございますでしょうか。

ともすればニセ科学と捉えられがちなホメオパシーなのですが、勉強してみるとこれまた非常に深い内容だと知りました。

まだ学び始めたばかりですが、次回はホメオパシーについて私が理解したことについて紹介したいと思います。


たがしゅう

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コメント

非公開コメント
        

こんにちは
飲む人によって、効き方、効く作用が違うという事ですね
ハーブティーや薬膳にも通ずる部分がある様な気がします

フラワーエッセンスを少しかじったことがあるのですけど
効き目が「?」でしたのでやめてしまいましたが・・

その時でさえホメオパシーについては
怪しいかも??という印象でしたので
先生が感心を寄せられたことに興味を覚えました^^
Re: こんにちは
みい さん

 コメント頂き有難うございます。

 ホメオパシーはちょっと聞いただけでは信じられない人がほとんどだと思います。特に科学的思考の強すぎる人にとってはまやかしと受け止められるレベルでしょう。

 しかし科学的にまだ解明されていない事は確かにあって、理論ではなく事実を重視するスタンスで見れば、非常に興味深く学ぶ価値があるように私には思えます。

 2016年9月27日(火)の本ブログ記事
 「やわらかい心で世界を捉える」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-732.html
 も御参照下さい。
No title
作家の遠藤周作氏はご自身が大病された経験から西洋医療に対して不信感をいだかれたことがあり、漢方やホメオパシーにも関心をもっていたようです。16年前の遠藤氏の著書を読むと西洋医学だけでなく漢方やホメオパシーも西洋医学と共に活用すべきだと書かれていました。大学の医学部に漢方の講座がないのはおかしい、と書かれています。医療関係者でない遠藤氏がご自身の療養経験からそう思われたのでしょう。
5%
いつも興味深い記事をありがとうございます。

「従来の薬理学では説明できない何か別の理由」
「ニセ科学と捉えられがちなホメオパシー」

ずいぶん前に読んだ本に、
宇宙を含めた全ての謎を100%とすると、
人類が分かっている部分(科学)は、約5%。
人類にとって、約95%は未知。
(私の記憶が間違ってたらすみません。)

人類の最先端科学の知識が5%なので
今は、説明出来ないことが多かったり、
ホメオパシーがニセ科学だと言われても、
今は、しょうがないです。

5%の知識が増えていけば、
いずれは、解明されると信じています。
ただ、命が持ちません・・・(残念)

「量子」の世界が分かれば、
より好奇心が満たされる気がします。



Re: No title
ココア さん

コメント頂き有難うございます。

> 16年前の遠藤氏の著書を読むと西洋医学だけでなく漢方やホメオパシーも西洋医学と共に活用すべきだと書かれていました。

ホメオパシーの中では、いわゆる西洋医学のアプローチはアロパシー(異種療法)と呼ばれています。
それに対してホメオパシー(同種療法)です。ホメオパシーについて学ぶと西洋医学がいかに一面的にしか人体を捉えていないかがよく見えてきます。また漢方の未解明メカニズムとホメオパシーに共通する部分があるように思えます。両者をバランスよく理解すべきという御意見はまさにその通りだと私は思います。
Re: 5%
Etsuko さん

コメント頂き有難うございます。

私も量子とか素粒子の世界にホメオパシーの謎を解き明かす鍵が眠っているように思います。
それが理解できようとできまいと、ホメオパシーで良くなるという現実がある以上、ホメオパシーを否定する事はできないと私は考えています。