脳腸相関について学ぶ
2014/03/19 00:01:00 |
漢方のこと |
コメント:9件
先日とある漢方の勉強会に参加してきました。
その時の勉強会のテーマは「脳腸相関」というものでした。
脳と腸には相関があるという事は経験的にもよくわかっていました。
例えば試験の前などで緊張するとお腹を下すというような現象です。
このように不安が原因となって下痢になったり便秘になったりする状態を、医学的には「過敏性腸症候群」と言います。
この「過敏性腸症候群」の存在そのものが、脳と腸に相関があるという事をよく表していると思います。
しかし脳腸相関の話はそれだけに留まりません。 というのは腸からのシグナルによって脳機能が劇的に変化するという現象が解明されてきています。
すなわち、「脳から腸へ」と「腸から脳へ」と互いに影響しあうということです。
上述の勉強会では過敏性腸症候群を中心に「脳腸相関」についての様々な事柄が紹介されていました。
例えば、視床下部で放出されるCRH(corticotropin-releasing hormon)というホルモンが心理社会的ストレスによる過敏性腸症候群の発症に関与しているということ、
感染性腸炎にかかった後に過敏性腸症候群を発症する事から、脳腸相関に腸内細菌が関わっていること(脳-腸-細菌相関)が示唆されているということ、
過敏性腸症候群は大腸の「微小炎症」という概念に落ち着きつつあり、これが絶食療法によって改善するということ、
そして六君子湯という漢方薬が機能性ディスペプシアに、大建中湯が過敏性腸症候群に対して脳腸相関を適応方向に導くということなどを学びました。
なお、過敏性腸症候群は機能性ディスペプシアを高率に合併するそうですが、
それ以外にも胃食道逆流症、機能性直腸肛門痛、線維筋痛症、顎関節症、うつ病、不安障害、身体表現性障害なども高率に合併します。
この事実も脳と腸が関連している事をよく表していると思います。
またよく考えれば、私自身糖質制限食がうつ病を改善するという実体験を持っていますし、
糖質の過剰摂取によって、糖質依存症が引き起こされることも突き詰めれば「脳腸相関」です。
糖質制限実践者は「脳腸相関」を強く実感しますね。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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これが裏付けかも?!
スーパー糖質制限連続記録をとるようになって、私の「身体表現性障害」の症状の一つ「おなかをこわす」というのが起きなくなりました。
他の症状も同様に、滅多に見られなくなりました。
スーパー糖質制限レベルの低糖質状態を連続していることで、私の「身体表現性障害」の発症が抑えられるという根拠が「腸脳相関」の中に見つかるかも…という気がしています。
私にも大変に参考になる記事を、ありがとうございます!
腸内環境に関することは難しくて、とっつきにくいと感じていましたが、取り組み甲斐が見えてきました。
感謝致します!m(^^)m
腸脳相関
腸には独自の神経系統があること、脳や自律神経の状態が腸に、そして腸の状態が脳に大きな影響を与えていことなどの裏付けがどんどん増えているようです。
このような理論づけによってこれまでわからなかった食事療法や漢方の効果の根拠が徐々に明確になってきていますね。
それから人と共生している腸内細菌も腸の働きだけでなく脳の働きや免疫系などに様々な働きをしているようです。栄養成分だけに注目するのではなく腸内細菌への影響まで含めた食事療法の工夫が今後大事になりそうです。
No title
他の臓器と比べると消化器官というのは物凄くダイレクトに痛みを発しますよね。口腔、歯、咽頭、食道から直腸にいたるまで。
異物を粉々に砕いて吸収して余計な分は排泄するという、生命の本質とも言うべきことをやってるわけですから当然のような気もします。変な物を食べた場合、死に繋がるわけですから脳も敏感にならざるおえませんよね。
また認知症の祖母を見てると、完全に自分の好きなものを食べる生活パターンに支配されているのがわかります。白米、醤油、漬物、お菓子、糖質が9割以上でしょうか、どうにも成らないことですが、元来元気で快活な人だっただけに残念です。肉や卵を勧めても箸を付けないのはすでに腸内環境が蛋白質や脂肪を消化吸収できなくなっていて不快感を覚えるからかもしれません。
腸内細菌
ところで、どこにいけば先生の診療を受けられるのだろうか…?とブログを読ませていただきながら??の毎日です。 情報が溢れる現在、糖質制限に出会ってから、患者の痛みに向き合うドクターや治療家の存在を知るにつけ、かえって困っている自分がいます。今も原因不明の時々出現する両手の痺れと手の赤みに悩まされていて、どうしたらいいのか…と悩んでおります。糖質制限から痺れはあり得るのだろか?脂質の摂りすぎと脳への影響からなのだろうか?とか…。
本日の話題にはついつい回らない頭でコメントを書かせていただきました。腸内細菌の話は、糖質制限を始めてからたどり着いた新たな刺激だからです。 糖質制限を知ってから、理解の及ばない食生活で健やかに生活されている方がいることを知り、行き着く先が腸内細菌なのかな…と回らない頭で勝手な思いをめぐらせています。
今日の夏井先生のホームページで 「ダイオウグソクムシ」について、の記事を読んだ時には思わず「うん、うん」とうなずいてしまいました。なんだが映画を見ているような気持ちになりながらも、人はいかに腸内細菌に好かれるように生きていくのが健康の秘訣なのかな…と。もちろん糖質を控えながらの食生活習慣が前提ですが。
たがしゅう先生のブログを励みに、心で感じた事、体感した事を、身近な人に伝えるための考える力に変えていくエネルギーに変えて行くぞ!!と、けど、空回りな毎日ですが、頑張ります。
Re: これが裏付けかも?!
コメント頂き有難うございます.
腸内細菌は本当に奥深いです.私もまだまだ理解しきれません.
しかし腸を整える事が脳にも影響を与えるという事は実感しています.今後私もいろいろ試行錯誤してみたいと思います.
Re: 腸脳相関
コメント頂き有難うございます.
> 人と共生している腸内細菌も腸の働きだけでなく脳の働きや免疫系などに様々な働きをしているようです。栄養成分だけに注目するのではなく腸内細菌への影響まで含めた食事療法の工夫が今後大事になりそうです。
その通りですね.
カロリー理論で説明できない現象がみられるのも,脳と腸の間に腸内細菌が介在している事が大きな理由だと思います.
Re: No title
コメント頂き有難うございます.
> 他の臓器と比べると消化器官というのは物凄くダイレクトに痛みを発しますよね。
確かにそういう側面はあるかもしれませんね.
若くて健康な人であっても痛みを生じる場合は,消化管の関係が多いような気も致します.痛みは異常を知らせる危険信号でもあるわけですから,毎日様々な食べ物とやりとりする消化管においては過敏に反応してしまうのかもしれませんね.
Re: 腸内細菌
コメント頂き有難うございます.
私は今の立場では糖質制限を実施している医療機関として公表できません.申し訳ございません.ただいずれ好機が来れば公表したいと考えています.
もしお近くで糖質制限に理解のある医療機関をお探しの場合は以下のサイトも御参照下さい.
http://lowcarb.merrily.biz/medical
No title
「眠れない。眠れなければ明日の仕事に差し障る。だから眠らねば・・・」と思うと益々眠れなくなっていました。
「便秘は困る。苦しい。何とかせねば・・・」と思うと便秘が酷くなっていました。
糖質制限によって睡眠障害という長年の悩みが解消しました。その結果、毎日快便です。ストレス皆無だった若い頃に戻ったような体調です。
自身の身体をもって「脳腸相関」が理解できました。
糖質制限を知るきっかけとなった夏井先生、現在の自身の健康、そして正しい事を自ら考え実行する後押しをしてくださったたがしゅう先生に対して感謝しています。
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