はるか昔に長生きしていた人々
2015/05/28 08:00:00 |
漢方のこと |
コメント:12件
医療の発達とともに、食品の流通、衛生面での向上などを経て、
今現代に生きている我々は、人類史上最高の長寿を経験していると考えられています。
当ブログでも以前、昔の人の寿命について調べた事がありますが、
明治時代まで遡ると平均寿命は40代前半であったと書物には示されています。
それを江戸時代以前に遡ろうとすると正確な記載はなかったりするのですが、
ものの本によれば、江戸時代のお寺の宗門改張データでは35歳前後、一方で人骨から類推した数値で20.3歳などとばらつきがあります。
縄文時代に至っては人骨で類推すると14.6歳という数値が導き出されています。
ただこの類推はあくまで「平均寿命」であり、当時は乳幼児期で死亡した人もたくさんいるであろうという事で平均寿命がぐっと下げられている側面もあると思います。
とはいえ私たちの頭の中には「昔に遡れば遡るほど平均寿命が短かった」という感覚があると思います。
確かに、明治時代まで、せいぜい江戸時代くらいまでは書物にも記録されているので、その傾向は間違いなくあると言っていいとは思います。
しかしそれ以前の平均寿命というのはなんとなくぼんやりしています。はたして昔の人の平均寿命は40歳よりも短かったのでしょうか。
そこで舞台を中国に移すと、まったく別の側面が見えてきます。
私は漢方を勉強しているのですが、学んでいるとたまにとても興味深い話が飛び込んできます。
というのも日本最古の歴史書は古事記ですが、これが記されたのは西暦712年。日本で書物で確認できる歴史はここまでです。
一方で中国はもっと昔まで書物を遡ることができます。その中で今回取り上げるのは、「黄帝内経(こうていだいけい)」という中国最古の医学書です。
黄帝内経が記されたのはなんと紀元前221年~202年、前漢の時代、すなわち今から2000年以上前の話です。
黄帝内経とは、「黄帝」という神話伝説上の中国の開祖、「岐伯(きはく)」という天文学、社会学、運命学などに長けた名学者とのやり取りを文章化したものだとされています。
その中に二人のこんなやり取りがあります。
黄帝「最近の若者はどうしてこうも弱くなったのであろうか。昔の者は100歳までしっかり生きたのに最近は50歳くらいで病気になっているではないか」
岐伯「それは美酒、美食におぼれ、運動不足のうえに精を消耗しているからなのです。」
「昔の者は100歳まで生きていた」とは驚きです。100歳まで生きる人は今でも相当な長寿です。
当然ながら当時には現代医療は存在しません。抗生物質もなければ点滴もない、人工呼吸器もなければ、心電図モニタリングなどできるわけがありません。あった医療といえば漢方くらいのものです。
それなのに100歳まで生きたなんて本当でしょうか。それだけ聞けば「何を戯言を」と思われる方も多いかもしれません。
しかし、もう一つこのブログでも以前に取り上げた「辟穀」という考え方があります。
穀物を避けるという意味を持つ「辟穀」、これは神仙術といって不老不死を目指すために伝えられた方法の一つであり、まさに今で言う糖質制限です。
そして辟穀が書物で確認できるのは「荘子」の紀元前400年~300年の時代、漢の時代にはこの考え方は完成されていたとされているそうです。
そうなると、当時は糖質制限をベースに現代医療なしのハンデを乗り越えて本当に100歳まで生きていた人がいたのかもしれないという考えもあながち間違っていないように思います。
というか、ハンデというよりも現代医療を使わなくても本来はそこまで長生きできるのではないか、という風にも思えてきます。
この話は現代医療の存在に対する強烈なアンチテーゼになるのではないでしょうか。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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どちらを選ばれますか?
いつも、ブログを楽しみにしています。
私は、糖尿病と診断されて、
糖質制限を3ヶ月して10キロ体重減らし、
HbA1cや血糖値や脂肪肝の肝臓の数値が
正常になったものの、その後1ヶ月、
停滞期になっている54歳の男です。
現在は、BMI指数 25.5ぐらいです。
笑い話のようなことですが、
たがしゅう先生ならどちらを選択するか
お教え下さい。
昨夜の夜中、寝苦しくて喉が渇き、
冷蔵庫を覗くと、冷えていたのは、
『ヘルシア緑茶』と『クリアアサヒ 糖質0ビール』
私は、迷わず『ヘルシア緑茶』を選んで、
飲みほした後に、ラベルと見てみると、
なんと、炭水化物3.9g入っており、
よくよく見ると。環状オリゴ糖が入っていました。
知らなかった…。
私の選択理由は、カロリーでした。
カロリーなら
『ヘルシア緑茶』14kcal
『クリアアサヒ 糖質0ビール』136 kcal
夜中だし、今停滞中なので、お茶を選んだのに…。
糖質が入っていたとは…。
たがしゅう先生なら、どちらを選んで飲まれますか?
Re: どちらを選ばれますか?
御質問頂き有難うございます。
> 『ヘルシア緑茶』と『クリアアサヒ 糖質0ビール』
> たがしゅう先生なら、どちらを選んで飲まれますか?
その二択なら、私は『ヘルシア緑茶』ですね。
なぜならオリゴ糖は水溶性食物繊維とならんで腸内細菌の安定化に寄与しますし、血糖値の上昇も単糖類に比べたら少し緩やかで許容範囲だと思うからです。
あと私はアルコールに対する嗜好性が低い方なので。・・・参考になりますかね?(^^;)
どちらを選ばれますか?
早速のお返事をありがとうございます。
軽い内容で申し訳ありません。
(^^ゞ
私は、糖尿病から糖質制限を始めた者なので、
この4ヶ月間は、けっこう、調味料等にも、
気を使ってきたもので…。
お茶だと安心して飲んだのに、
炭水化物3.9gも入っているとは…。
少々、ショックだったので、
質問をさせて頂きました。
先生の選択で、なんだか、
ホッとしました。
ありがとうございました。
お忙しい中、更新して下さりありがとうございます。
今日のお話、とても興味深く面白かったです!
人間は本来、かなり長生きできる動物なのかもしれないのですね〜。
長生きしたいと言う願望はそれほどありませんが、糖質制限を続けていれば健康で明るい未来がきっとあるに違いないと希望が持てました。
たがしゅう先生、ありがとうございました。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
ヒトはいつか死にますが、その死の瞬間までできるだけ健康でいられるに越した事はないですね。そんな人類共通の願いを先人も長年模索してきたということではないかと思います。
辟穀は要するに断食なのでは?
現在も高野山や比叡山での荒行での断食・断水に見られるように、一種の神秘体験を得られるべく行うショック療法のようなものだと思うのですが。
Re: 辟穀は要するに断食なのでは?
コメント頂き有難うございます。
> 「辟穀」というのは、神仙とならんとする人がする修行法で、要するに五穀断ち/十穀断ちなのでは無いでしょうか?
糖質制限の延長線上に断食があるというのが私の考え方です。いずれもケトーシスという共通点があるからです。
医療技術のない昔でも、おそらくそういう事は体感的にわかっていたのでしょうね。
No title
ご存知かと思いますが、ブヨという虫がいまして、こいつに噛まれるとめちゃくちゃ痒いし捻挫なみに腫れ上がる。蚊が1とすると10以上。
昨日久々にやられたんですが、全然腫れない上に痒くならないんですね。なぜかと考えると糖質制限しかない。ってことは他の有毒生物にも同じことは言えるんじゃないか?寄生虫や感染症に対しても有効なんではないか?そんなことを考えました。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
興味深い体験報告ですね。糖質制限で代謝が良くなり毒を無毒化する働きも高まるということなのでしょうか。面白いです。
No title
人の寿命は、以外と長いのかも知れませんね。
糖質オフをすると、100歳以上生きるかも知れません。
いかに充実した人生を、送るかてすね。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
当たり前のようですが、身体に有害なものをいかに取り入れないようにするかが、健康長寿の秘訣ではないかと私は考えています。
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