指導と経営の間のジレンマ
2014/06/15 00:01:00 |
普段の診療より |
コメント:12件
昨日は、とある神経内科医のクリニックの、
先生が不在になるとの事で、ピンチヒッターとして、
その診療を代行する仕事をしていました。
小さな病院で働いた事は今までにもありますが、
クリニックでの診療経験は今回がはじめてです。
私も開業というスタイルには自由度があってあこがれを抱くので、
今回の経験を糧に将来の参考にしようと思い臨んだのですが、
これがまたものすごく忙しいのです。 普段私の自分の外来では、通常午前中に10〜20名程度の患者さんを診ていますが、
この日クリニックに訪れた患者さんは、午前中だけでなんと50名でした。
午前中に50名ともなると一人の診察にかけられる時間は、平均4〜5分といったところです。
そして、ほとんどの人が、前に出された薬をそのまま続けるという流れでした。
中にはメタボで肩こり、膝痛に悩んでいる人もいましたが、
糖質制限をしっかり指導している時間は到底なく、
せいぜい「夕食だけ炭水化物を抜くだけでも結構やせますよ。よかったらやってみて下さい。」と言うのが関の山でした。
またごはんはあまり食べていないと言うにも関わらず、ごはんを抜くという提案に拒否反応を示す患者さんも結構おられました。
この患者さんの数、開業医として極端に多い数ではないと思います。
開業医として経営を成立させるためには、おそらくこれくらいの患者数が必要になってくるのでしょう。
しかし食事指導のような時間のかかる医療行為は、
患者数が多くなればなるほど、何かを妥協していかなければならず、
指導の精度はどんどん低下してしまいます。
私はもし開業するなら、糖質制限と湿潤療法は絶対取り入れるつもりです。
けれどその開業医として成立するためにその精度を落とすことになってしまうようならば、私の本意ではありません。
どうやら普通に開業するようでは私の目標は達成できないようで、
何か一工夫が必要になります。
ある意味、非常に参考になる体験でした。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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たがしゅう先生独立開業計画
先生の独立開業案です。美容内科の自由診療にするのです。美容効果のある糖質制限やビタミンC点滴は、断糖精度やC濃度を高めれば、そのまま抗がん効果もあるらしいです。
ダイエット希望者の糖質制限プログラムは、腎機能やヘモグロビンA1Cを追えば糖尿病の食事指導にもなりそうです。
キレーな肌をキープのために、怪我で跡が残るような治し方したい人はいません。美容目的じゃなくても、誰だってそうだと思います。
ベースに美容診療(美女がいっぱい受診に来て、楽しい)ついでに口コミでがん患者さん、糖尿病患者さん、怪我の患者さんが来てくれる。
なんてのは、どうでしょう。
Re: たがしゅう先生独立開業計画
コメント頂き有難うございます.
> 美容内科の自由診療にするのです。
面白い.エリスさんならではの発想ですね.
美容領域は皮膚科や形成外科の先生の得意分野でしょうから,神経内科医が美容領域に手を出すのは前代未聞でしょうね.でも糖質制限の考え方があれば確かに張り合えるような気がします.
いずれにしても,そのくらい大胆な発想が必要になってくるように私も思います.
それは、先入観です。言い分あり。
二重まぶたや豊胸のオペじゃなくて、もっと自然な、内面や細胞や機能を元気にさせることで女性を美しくさせる分野のドクターを待っているんですよ。ビタミンC点滴なんかは、どんな有名な美容研究家でもできないこと。お医者さまだからできることは、たくさんあるんですよ。
これも、与太話のうちです、失礼しました。
Re: それは、先入観です。言い分あり。
コメント頂き有難うございます.
> 二重まぶたや豊胸のオペじゃなくて、もっと自然な、内面や細胞や機能を元気にさせることで女性を美しくさせる分野のドクターを待っているんですよ。
美は内面から作られると言いますものね.
精神面からもアプローチできると尚効果があるかもしれません.なかなか面白そうですね.
管理人のみ閲覧できます
No title
江部先生のblogから やってきました。
たがしゅう先生の発信する内容に非常に共感する者です。
独立開業計画 ぜひ 前向きに取り組んでいただきたいと切に願います。
その時、先生が必要とする者は、糖質制限を熟知した医療staffだと思います。食事指導は staffに任せればいいと思うのですが。結構居ますよ!糖質制限を実践し、その良さを知っている医療従事者って。私もその1人です(^^)
看護師ですが かれこれ5年 スーパー糖質制限実践し、その恩恵を全身で感じてます。元来痩せなのに糖代謝異常になってしまったための糖質制限食導入の経緯です。導入当初は 食べても食べても体重減少が止まらず このまま消えてなくなるのでは…との不安もありましたが なんとか下げ止まり、身長155 体重40㎏をかろうじてkeep状態です。焼肉三人前は食べ、 間食にはチーズやナッツをしきりに食べ… オリーブ油やえごま油を珈琲に混ぜては飲み…みたいなことをやってますが 体重が増えないのが悩みです。
ぜひ たがしゅう先生には 信念を貫いて頂きたいと願う者です。組織に負けないで欲しいです。
Re: No title
応援コメント頂き有難うございます.
初心を忘れず,目標に向かって着実に歩を進めていきたいと思います.
ときに,やせ体質の方は糖質制限でも標準体重化は難しいですね.
私の私見ですが,適度な断食を組み合わせて消化管の働きを円滑にする事が一つの秘訣ではないかと考えています.
2014年6月26日(木)の本ブログ記事
「やせ体質の人の断食の意義」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-315.html
も御参照下さい.
No title
体に任せるのがいいのではと勝手に思っています。
たがしゅう先生、体調が悪くなってから考えてもいいのかなと思うのですが、それって危険なのでしょうか?
間違っているかもしれませんが、体調に問題ない人がただ痩せているというだけで断食をするのは、体調が悪くなるリスクがあるような気がするのですが・・・
Re: No title
コメント頂き有難うございます.
私は糖質制限はヒトの健康を保つ共通原理だと考えています.
やせの人だけは特別に糖質制限をやらない方がよい,とは考えていません.
そして糖質制限の延長線上に,ケトン食,絶食療法があります.
それらはさらに高みを目指す人のための一手段です.健康であっても現状に悩んでおられるという方は,それを打開するための可能性を模索してもよいのではないかと思います.
確かに,やせ体質の人は,特に注意して取り組まなければならない事は事実です.しかし糖質制限も断食も強制されてやるものではなく,自分の意思でいくらでも中断する事ができるので,必要以上に恐れるものでもないのではないかと個人的には思っています.
No title
コメントありがとうございます。私の様に 痩せの糖質制限に 挑戦している人が他にもいらっしゃると言うことが励みになります。
当初 身長155 の 体重43~44㎏推移していた私でしたが、糖質制限をはじめて 一時 38㎏まで体重が落ち 危機感を覚えました。江部先生の教えの通りに 脂肪やたんぱく質を大量に食べ続けたのにも関わらず。
でも 不思議と ゲソゲソ感からは脱していたように感じています。体調も 良くなり 顔のゲッソリ感は 糖質制限を始める前よりも 良好だと感じています。髪質も艶々になったような気がしています。
たがしゅう先生へ
断食…興味はあります。一度は 体験してみてもいいかなと考えています。その先に また 糖質制限をはじめて 得られた不思議な世界が待っているのかなぁ~ と考えたりもします。
もし 実践できて その結果がどのようであったのか 報告させてください(^^)
断食について
たがしゅう先生にアドバイスを頂きたいです。
断食…調べると 断食後の回復食として お粥がでてくるわけですが 糖代謝異常の私は 回復食に何を食べたらよいのか さっぱりわからないのです。
突然 タンパクや脂肪を食べるのは消化器に負担をかけてしまうと思うのです。
豆乳…とかで スムージー的な飲み物?かなとか考えてみたり… 糖質の少ない回復食って…ん~
思いつかないです。例え一時的でも 米類は食べたくないのです。あたりまえですが血糖値が上がってしまうので。
もし可能であれば アドバイスをお願い致します。
Re: 断食について
御質問頂き有難うございます.
> 糖代謝異常の私は 回復食に何を食べたらよいのか さっぱりわからないのです。
> もし可能であれば アドバイスをお願い致します。
手っ取り早く変えるなら,お粥を豆腐に変えるのがいいでしょうね.また茶わん蒸しなどでもよいと思います.
ただ,私の経験上では,回復食を自力で成し遂げるのは結構難しいです.必要に応じて断食道場に参加するというのも一手だと思います(ただしその場合,お粥を食べる事になるでしょうけれど).
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