内因性と外因性の違い
2014/05/26 00:01:00 |
ふと思った事 |
コメント:12件
よく「コラーゲンは肌にいい」と言って,
コラーゲンの多く含まれる食品やサプリメントを摂ろうとする人がいますが,
食べたものコラーゲンがそのまま体の中に取り込まれるという仕組みに人体はなっていません.
コラーゲンを含めた身体を構成するタンパク質というのは,
突き詰めれば全て最小構成単位であるアミノ酸の集合体です.
私たちはタンパク質を外部から摂取した時に,
消化されて一旦すべてアミノ酸に分解されてしまうのです. そして分解されたアミノ酸を元に,必要な場所に必要なタンパク質を作り出すよう自分の身体が判断しているわけです.
だから,摂ったコラーゲンがそのままコラーゲンに変わる保証はどこにもないのです.
このように古いものを壊し,新しいものへ入れ替えるという,いわゆる「新陳代謝」が,
私達の身体の中では常に行われているので,
外から摂ったものが,そのまま体に取り込まれる,という発想は誤っています.
そういう視点に立った時に,
もう一つ考えるべき事は,近年話題になっている「AGE(Advanced Glycation End Product(終末糖化産物)」についてです.
血糖値が上昇し続けることで,タンパク質が糖化していき,不可逆的な変化をきたしたものがAGEであり,
生体の老化,糖尿病合併症の病態にも深く関わっている事が注目されている物質です.
ちなみに糖尿病の診断に用いられるHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)も,
別名を「糖化ヘモグロビン」といい,糖化を受けたタンパク質の一種であり,かつAGEに向かう途中経過と言えるでしょう.
これが一度不可逆的変化であるAGEまで行ってしまうと負の遺産として改善不能となってしまうので,
何とかヘモグロビンエーワンシーの時点で元に戻したいものです.
さて,そんなAGEですが,
老化の元になるからAGEが多く含まれる食品を避けましょうという論調を聞くことがあります.
また調理方法によってもAGEの産生量が異なり,油料理で多くなるから油を控えましょうという意見です.
しかし,先ほど申し上げたように,
食べたAGEがそのまま体のAGEに変化するわけではありません.
AGEとて元がタンパク質である事には変わりなく、
摂取すれば最小構成単位であるアミノ酸に分解されてしまいます。
だから外因性のAGEを、いたずらに怖れる必要はないと私は考えます。
問題なのは外因性のAGEではなく,
内因性のAGEを産生してしまう環境そのものだと思います.
せっかく外因性のAGEを制限していても,内因性AGEを作り出す環境があるようだと何の意味も成しません.
そして内因性のAGEを産生させないための最も効率的な方法が糖質制限です.
外因性の問題と内因性の問題を,
ごちゃごちゃにしては本質を見失ってしまいます.
本当にすべきことは何なのかを自分の頭で考えて,
不要な怖れを抱かないようにしたいものです.
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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No title
Re: No title
率直な御意見を頂き有難うございます。
AGEについては不明な部分も多いので、確かに断定的な物言いは避けるべきですね。
しかし肉を含む糖質制限によって改善していく体調をみていると、やはり外因性AGEと内因性AGEは同一に語れないのではないかというのが現時点での私の考えです。
美容関係での情報
美容関係の情報では、口から食べるAGEの90%以上は排泄される、という話です。(何の根拠になる文献もないですが)
美容女子は、経口AGEより糖質摂取での糖化のほうがこわいです。
Re: 美容関係での情報
情報を頂き有難うございます。
> 美容関係の情報では、口から食べるAGEの90%以上は排泄される、という話です。(何の根拠になる文献もないですが)
排泄されるか、再利用されるかの違いはありますが、どちらかと言えば私の見解に違い考え方ですね。
暫定的結論
となみに、今週の女性自身にAGE牧田クリニックの牧田先生がコメントしています。牧田先生によれば、体内でのAGE発生を抑えるには糖質の量を減らすべきだと。
経口AGEはほとんど排出されるというエリスさんの情報が正しいならば、経口AGEよりも血糖値を下げてAGEの体内生成を防ぐほうが効果的ということになります。
つまりAGEゼロの白米とAGEたっぷりの唐揚げどちらをとるかというとむしろ唐揚げのほうということになります。
もちろん、鳥の水炊きがありばそちらのほうがいいに越したことはありません。
ころころ考えが変わってすみません
またAGE研究者の永井氏によると
https://takeda-kenko.jp/yakuhou/backnumber/pdf/vol475_01.pdf
グルコースによるAGE生成はゆっくりとすすむのに対してケトン体経由の場合は激烈に反応がすすむようです。
糖質制限は、血糖値コントロールには有用ですが、アンチエイジングの手段として長期的に実践するには危険ではないでしょうか?
Re: ころころ考えが変わってすみません
コメント頂き有難うございます。
ケトン体でAGE(終末糖化産物)を作ろうとすれば、ケトン体高値とグルコース(血糖)高値が共存する環境を作る必要があります。
しかし基本的にケトン体が上昇する状況ではグルコースは抑えられ、グルコースが上昇する状況ではケトン体が抑えられるというように両者はシーソーのような関係にあります。
例外的にケトン体とグルコースが両方上昇する状況があるとすれば、1型糖尿病やペットボトル症候群のようにインスリンの絶対的欠乏状態がある時です。その時はケトン体が代謝されず、その後を追いかける形でグルコースが急上昇し、「ケトアシドーシス」と呼ばれる危険な状態が起こります。そうなって初めてケトン体存在下で糖化が起こりうる状況が生まれます。
従って、通常の糖質制限やケトン食、絶食の状況下ではグルコースは必要最小限の量まで抑えられているので糖化という現象そのものが起こりにくいと思います。研究者の方がおっしゃっているのは、実験室で作り出したケトン体とグルコースが両方上昇するという特殊環境において導かれた話ではないかと思います。
訂正です
http://healthcorrelator.blogspot.jp/2010/03/ketosis-methylglyoxal-and-accelerated_14.html
メチルグリオキサールは解糖系から産生されるものであり、ケトン体とは無関係である。
ただし、グルコースのAGE産生は思ったほど激しくありません。グルコースはエネルギー源として使われることが優先されるからです。またケトン体はCElというAGEを生み出します。
現状では、高血糖とケトン体両者の危険性の可能性を踏まえて、ケトーシスにならない程度の糖質制限(山田先生が推奨なさっている緩やかの糖質制限)がベストなのではないかと考えています。
Re: 訂正です
コメント頂き有難うございます。
HSGさんの御見解を私は否定しません。各自が御自由に判断すべきと思います。
ただ科学を過信し過ぎて、全てのデータを無条件に受け入れる、あるいはまだ科学で証明されていない問題を保留のままにして理解しようとすると、往々にしてどっちつかずな結論に落ち着きがちです。「緩やかな糖質制限食」のスタンスはその最たるものだと私は思っています。
私は科学的なデータ以上に、現実で起こっている事を重視します。
糖質をゼロに近づける事で、肌のツヤが良くなったり、体調が整ったり、疲れにくくなったり、
しかもそれがたまたまでなく、実践者の中でかなり再現性が高い現象だという現実を踏まえれば、
その事実に反する科学的データの方には、何かしらの誤解や見落としがあるという風に私は考えます。
コラーゲン
そう考えると、
コラーゲンを多量摂取すると肌のツヤが良くなるという現象も説明がつきます。
Re: コラーゲン
コメント頂き有難うございます。
私は材料の問題と代謝環境の問題と両方あると思います。
断食して肌がツヤツヤになる人もいらっしゃるからです。
2017年5月30日(火)の本ブログ記事
「材料と環境整備」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-981.html
も御参照下さい。
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