風邪を治そうとする力

2014/01/14 00:01:00 | ふと思った事 | コメント:11件

糖質制限をしていると全体的に体調がよくなるので、

風邪を引きにくくなる傾向があると思います。

しかし絶対的なものではなく、私の場合は糖質制限をしていても風邪を引いてしまったことがあります

ただ、風邪を引いてからの経過はこれまで経験した風邪といくつかの点で違います。

一つは、風邪の症状が軽くて済むようになること、

もう一つは、食欲はあまり落ちないということです。

総じて身体の免疫能、すなわち治す力が正常に働いているような印象を受けます。

本日は、風邪を通じてヒトの身体がもともと備えている「治ろうとする力」について考えてみます。 風邪の定義については過去記事をご覧頂くとして、風邪というのは結構あいまいさを含む概念です。

しかも風邪のようにみえて実は風邪じゃないということも往々にしてあるので注意が必要です。



このDVDは医療関係者向け(特に医師向け)ですが、よくまとまっていてわかりやすいです。

ここではいわゆる「のどかぜ」、すなわちのどがイガイガして鼻水が出て、しばらくして喉が痛くなって熱っぽくなり身体がだるくなり、さらに咳・痰などが出て1~2週間くらいで治るもの、について考えてみます。

まず咳・のど・鼻水などの症状についてですが、

糖質制限をしていてもそれらの症状は出るには出るのですが、主観的には程度はやや軽くなります。

風邪はウイルスなどによって起こった「炎症」が症状の原因ですので、

身体はそれを修復するために治すシステムを総動員します。白血球動員、抗体産生、抗炎症物質(脂質メディエーター、ステロイドホルモンなど)、そしてよく話題に上るコレステロールもこの時に活躍します。

急性炎症でも慢性炎症でも駆動させるシステムは基本的には一緒です。

これらのシステムをうまく回すための原材料及び潤滑油に当たるのが、脂質であり蛋白質です。

糖質制限をするとその脂質と蛋白質の摂取量が相対的に増えますので、

糖質制限中に風邪を引いても症状が軽くてすむというのは理にかなっているわけです。

ただ一般的には風邪を引くと食欲が落ちるので、脂質や蛋白質を摂ろうとしても摂れないと思われるかもしれませんが、

糖質制限をしているとこういう場合も食欲があまり落ちません。私の場合、むしろ食欲が亢進さえしています。

これは体がへばる前に必要な栄養を確保せよ、という身体からのメッセージなのかもしれません。

まさに「治ろうとする力」が全面的に出てきていますね。

逆に、風邪の時に炭水化物を食べる場合を考えてみます。

よく「風邪で食欲がない時にはおかゆさん」などと一般的には炭水化物を勧められると思いますが、

糖質を摂取するとすぐにエネルギーに変換されますがエネルギーが切れるのも早いです。

しかも糖質の影響がある間は脂肪は蓄積する方に系が働くので、炎症を抑えるのに必要な脂質を使いにくくなります。

つまり、一見おかゆを食べてよくなっているようになるのは付け焼刃的な効果しかなく、

全体でみた時には風邪を治すのを遅らせてしまっている可能性があると思います。

過去に栄養が悪い状態で風邪がこじれて髄膜炎になってしまった患者さんの例も私は経験しています。

風邪のような臨時の事態に対しては身体の治ろうとする力がきちんと使えるよう備えておくことが大事です。

そのために不可欠なのが脂質・蛋白質を中心とした栄養だと私は思います。


たがしゅう
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コメント

寒波襲来ですね

2014/01/14(火) 07:10:35 | URL | わんわんこと長谷川 #n.5uQ5aw
 東京も寒い日々が続いています。
欧米も記録的な寒波のようです・・・
 風邪・インフルエンザ。これからですね。

>風邪のような臨時の事態に対しては身体の治ろうとする力がきちんと使えるよう備えておくことが大事です。
そのために不可欠なのが脂質・蛋白質を中心とした栄養だと私は思います。

大柳珠美管理栄養士さんのブログにも、同様のことが記事になっていました。
 ビタミンCが、特に効果あるようです・・・

肉・魚・卵ですね。

Re: 寒波襲来ですね

2014/01/14(火) 07:48:37 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
わんわん さん

 コメント頂き有難うございます。

 私の場合は糖質制限をしていても風邪をひくことあるようです。皆様も身体を御自愛下さい。

私の経験

2014/01/14(火) 07:56:19 | URL | エリス #-
おはようございます。
私も今年は今のとこ風邪もひかずで幸いなんですが、私は風邪をひくと食欲が落ちて食べられなくなります。
経験から、無理に食べてもろくなことがない。食べるとよけいダルイ、疲れる、風邪の治りも遅いという気がします。

だから、風邪をひくと水分(お茶やポカリスエット)くらいしかとらずに過ごします。体重は減りますが一時的です。
 
風邪の時、食べないという選択ってどうなのでしょうか?

No title

2014/01/14(火) 09:35:23 | URL | スマイル #-
たがしゅう先生おはようございます。
「風邪を引いても軽くてすむ」そのままです。
 お正月に帰省した息子が風邪をひきました。自己流の葛根湯を飲みなおすという技ですっきりするまで3日かかりました。次に昼飯抜き、つまみにチョコアーモンドが欠かせない夫にうつりました。医者はかからず3日かかりました。そして昨夜から私が鼻水が出ます。その前にのどがイガイガしていましたから、おそらく風邪です。念のため今朝の犬の散歩はお休みしました。今、先生のブログを読んでいたら、鼻水が止まっているのに気付きました。おそらく風邪は治りかけています。
 恐るべき糖質制限パワーを感じています。いろんな人に勧めたいのですが、家族からでさえ、すでに変人扱いされている私は、一人健康で長生きして証明するしか方法はなさそうです。
 さあ、今日も一日自分のために明るくいきたいと思います。

Re: 私の経験

2014/01/14(火) 10:47:16 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
エリス さん

 コメント頂き有難うございます。

> 風邪の時、食べないという選択ってどうなのでしょうか?

 私の考えですが、基本的には食欲の赴くままでいいと思います。

 食欲のない時は、それこそそれまでに蓄えていたエネルギーを利用して事態を収集しようと体が働きかけますので、食べたくない時には無理に食べなくてよいと思います。

 そして炎症が収まり、食欲が出てくれば再び食べ始めるというふうにすればよいです。

 私の場合は、その食欲が減る期間がやけに短かった(ほとんどないに近い)印象でした。

Re: No title

2014/01/14(火) 10:50:23 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
スマイル さん

 コメントを頂き有難うございます。

> 恐るべき糖質制限パワーを感じています。いろんな人に勧めたいのですが、家族からでさえ、すでに変人扱いされている私は、一人健康で長生きして証明するしか方法はなさそうです。

 私も同じ想いです。

 最初の頃は「こんなに良い治療を何でわかってもらえないんだ」と苛立っていた時もありましたが、

 今はあせらずわかる人にだけ着実に伝えていけばいいとじっくり構えるようにしています。

理解です。

2014/01/14(火) 17:42:16 | URL | エリス #-
こんにちは。
教えていただいて、ありがとうございました。
自分の身体の要求、不要求に従えばよいのですね。よくわかりました。それならできます。

2014/01/15(水) 09:53:30 | URL | つぶゆめ #-
おはようございます。
1日遅れのコメントで失礼致します。

ちょうど今風邪気味で、先生が記事にしてらっしゃるような感じなのです*

二日前に喉の痛み、くしゃみ鼻水の症状がでました。
いつもならば1週間近く喉の痛みが長引くことが多いのですが
翌日にはかなり回復しておりました。

しかも私の場合、体温が低めで熱が出にくい体質でしたが今回はすぐに微熱が出て翌日には下がりかなり回復している。

という今までとは違った身体の反応がありました。

でも糖質制限していても昔は大豆やこんにゃく、お魚が中心でした。お肉、脂質は避けていました。その頃は今のような回復力はありませんでした。

最近お肉脂質も積極的に摂るようになり
結果回復力が上がり、驚きました。

私より風邪をよくひいていた主人は寒くなってから、まだ1度もひいておりません(^^)

Re: タイトルなし

2014/01/15(水) 13:48:20 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
つぶゆめ さん

貴重な経験を教えて頂き有難うございます。

こうした経験をすると今まで避けていた肉や脂質の重要性を肌で感じることができますよね。

No title

2014/01/15(水) 22:35:33 | URL | SLEEP #mQop/nM.
たがしゅうさん

糖質制限は日常の不快な症状をコントロールするのが本当の利点という気がしてきました。くしゃみ、咳、ゲップやしゃっくり、手足の冷えや不眠など。ウィルスや細菌に強くなり体の回復力が強くなるのは当然かもしれません。

昨日は十時間ほど休憩なし飯抜きでしたが、その後も何の疲れもありませんでした。前の日から換算すると20時間ほど絶食に近いのですから、よほどの痩せ型でもなければ朝も昼も必要ないんでしょうね。さすがに間が持たないので何かを食べますが。

Re: No title

2014/01/16(木) 06:08:30 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
SLEEP さん

 コメント頂き有難うございます。

> 糖質制限は日常の不快な症状をコントロールするのが本当の利点という気がしてきました。くしゃみ、咳、ゲップやしゃっくり、手足の冷えや不眠など。ウィルスや細菌に強くなり体の回復力が強くなるのは当然かもしれません。

 同意です。

 糖質制限が単なる糖尿病治療でなく、ヒトの本来あるべき姿に戻す作業である可能性をうかがい知ることができます。

 だから糖質制限していれば基本的に食欲の赴くままでよいのだと思っています。

 振り返ると私の場合、高糖質食時代はもう呑酸がみられるくらい食べているのに、まだ食欲が満たされずに食べてしまっていることもしばしばありました。満腹中枢が破綻してしまっていたのでしょうね。

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