情報を咀嚼する
2017/09/22 00:00:01 |
読者の方からの御投稿 |
コメント:4件
ブログ読者のだいきち さんから示唆に富むコメントを頂きました。
(以下、だいきち さんコメントより一部抜粋)
健康な人々にとっては、現代医学は常に進歩の一途を邁進しているような印象を抱いていると思うのです。
何故なら、世間(特にメディア)では最新医療であたかも「大病が完全に治った」かのような、側面の良い面ばかりを誇張して報道する特性があり、視聴者は鵜呑みにしてしまう傾向があります。
実際、私の親もそのような報道を「すごいね~技術はどんどん進歩して安心だね」と笑みを湛えて拝聴しています。
「治る」というインパクトが視聴者に受けるので、プラス面を誇張するという手法をよくとるのがテレビというものです。
実は、最新医療でもっても救われず亡くなっている方々のほうが更に多いという暗い事実にはほとんど触れずに。
まだまだメディアリテラシーが進んでいるとは言えません。
(抜粋、ここまで)
私も、国民の健康観や医療に対するイメージがマスコミに操作されている部分は大きいと考えます。
「自分で考える力」を十分に身につけていない人は、マスコミの作る流れに容易に扇動されてしまうのです。 テレビそのものが受け身的な思考を助長している側面もあると思います。
新聞やインターネット、あるいは書籍などから能動的に情報収集する事に比べれば、
それはテレビの前の座っているだけで情報が向こうから飛び込んでくる方が楽です。
しかも偉い立場の人間がもっともらしい事を言ってくるわけなので、何も考えていなければ疑う余地もありません。
その結果、大多数の国民に植え付けられた医療に対するイメージは、
「医学の進歩により様々な病気が治療できるようになってきている」というものです。
それはある意味では正しい所もあるのですが、情報として非常に一面的だという事を理解しておく必要があります。
感染症は抗生物質の登場により治療できるようになりました。
救命救急の分野では挿管、人工呼吸器、除細動器、エピネフリン、ステロイドなどの医療機器や薬剤の発展により防ぎうる死を防げるようにもなりました。
だけれど医療が進歩しても高血圧の原因の多くは現代医療の中で謎のままです。
抗生剤はあっても、感染を防ぐ術を私達はまだ持っていません。
ステロイドで病勢はコントロールできても、ステロイドが不要な状態まで戻す術を現代医学は持っていません。
それなのに「医学は進歩している」というイメージだけが広められてしまっているのです。
かたや現代医療の闇といった類のニュースがマスコミをにぎわすこともあります。
がん難民とかポリファーマシーの問題は表立って議論されるようになってきましたが、
それとて、従来治療を否定するものでなく、むしろ従来医療ありきの報道がほとんどです。
がん難民をいかにして標準治療のレールに乗せるべきか、必要不可欠な西洋薬をいかに減らすか、
というように「進歩した医学」に基づいた議論がマスコミの中で展開され、決して根本が否定されることはありません。
そのため、各種の代替医療は基本的に異端視されます。
しかしもしも実際は現代医学は進歩していなくて、本当に進歩しているのは代替療法の方であればどうでしょうか。
マスコミから一方的に浴びせかけられる情報は良きにつけ悪しきにつけ特定の価値観から発せられる極めて一面的な情報に過ぎないという事を理解しておく必要があります。
平たく言えばテレビの情報を鵜呑みにしないということになりますが、これは何もテレビに限った話ではありません。
新聞で得る情報、ネットで得る情報、人から聞いた話、勉強して自ら習得した知識、これらいずれも一面的な情報だということです。
情報を多面的にするには自分の頭の中で再構築する必要があります。
誰かの頭で多面化した情報は所詮、自分にとってはその誰かの価値観を通じてみることになる一面的な情報です。
多種多様な情報を自分で咀嚼していくより他にないのだと私は思います。
覚醒剤使用の疑いでさんざん叩かれた芸能人、強姦致傷容疑いで逮捕された有名人、
その後不起訴になったという情報は、騒ぎになった時と同密度で我々のお茶の間に届けられているでしょうか。
あるいは最近話題になる事が多い芸能人の不倫報道についてはどうでしょうか。
当事者にしかわからない事情にはお構いなく、報道の自由と称して「不倫は悪」という一面的な価値観からの情報が日々シャワーのように私達のお茶の間に届けられ続けています。
それらをどう考えるか、そこから学ぶべき情報の本質は何なのか、
誰かが教えてくれるのではなく、自分の頭で考えるより他にはないのだと私は思います。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
ありがとうございます
私は元テレビマンでした。
長年テレビ番組を制作した経験から、テレビの裏側の酸いも甘いもを少なくとも一般の方々よりは知っているつもりです。
若手のころに先輩方からは「美しいものはより美しく、汚いものはより汚く描け」とよく教えられました。
そして「視聴者にインパクトを与える為ならば多少の誇張は許される、いやそうでないと番組として成立しないのだ」と自分の良心に苛まれながら仕事をしていた頃を思い出しました。
情報が溢れかえり何が正しいのかわからなく右往左往している間に、気が付けば新たな情報にかき消されてしまうこの世の中。
糖質制限はかき消されていませんね。
いつから糖質制限が始まったのかは承知していませんが、他の情報に比べ長いのは確かです。
草の根のように地道に広がっているのは、気配でわかります。
近所の医師が糖質制限していると最近知りました。笑)
先生の糖質制限・ストレスマネジメントのダブルスタンスが日本の医療のスタンダードになる日もそう遠くないような気がします。
ご活躍期待しています。
Re: ありがとうございます
コメント頂き有難うございます。
テレビ業界の内側から非常に示唆に富む内容でした。
> 「美しいものはより美しく、汚いものはより汚く描け」
> 「視聴者にインパクトを与える為ならば多少の誇張は許される、いやそうでないと番組として成立しないのだ」
そのことが頭にあってテレビを見ると、また感じ方が変わってくるように思います。
与えられた情報を鵜呑みにせず、自分の頭で考え直す情報の咀嚼力がこれからの時代を生きていくのに大事な力となるように思います。
情報は難しい
視聴率や飽きさせないことがメインになっているので
後で見てがっかりきます。
マスコミの特にテレビ番組(NHKでさえ)情報はどこまで信じたらいいのか、特に医療番組には戸惑ってしまいます。
自分で考えたらいいというけれど、
科学や理系の素養のない一般の人間は
判断しかねます。
糖質制限でさえ、一部の医師は大反対、無理解でしょう。
○○権威の教授が太鼓判でいえば
「ふ~~ん、そうなんかな、、、???
ためしてみようか、、、」のスタンスになります。
本でも「疑いながら」読んでいます。(笑)
国内の情報だけでは
偏るので
海外、英米圏そして欧州圏のも
参考にしています。
Re: 情報は難しい
コメント頂き有難うございます。
情報の良し悪しを判断するのに基礎知識は不可欠です。
それを得るには「素人だからわからない」という境地から脱すること、
素人であろうとなかろうと知ろうとする努力を怠らないことだと私は思います。
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