栄養バランスの概念を変える

2014/02/24 00:01:00 | ふと思った事 | コメント:8件

2013年12月4日、和食がユネスコの無形文化遺産に登録されました。

和食の特徴を簡単に言うと、ごはんを中心に野菜などの副菜、汁ものを添えた、いわゆる「一汁三菜」方式で、その特徴は低脂質・高蛋白食にあるとされています。

そしてあまり強調されませんが、高炭水化物であることが和食の最大の特徴と言えましょう。

和食が世界に誇る健康食として手放しで絶賛されている昨今ですが、糖質制限の理論を学ぶとそこに疑問を感じざるを得なくなります.

その事を考える上で「正しい栄養バランスとは何か?」という事を見直さなければなりません。

私が考える栄養バランスは「基本エネルギーとして脂質、身体の材料として蛋白質、この二大栄養素が得に重要、次にそれらを補うようにミネラル、ビタミンが必要で、そして糖質は少なければ少ないほどよい」というものです。 そういう目で見ると和食がとんでもなくバランスの悪い食事に思えてきます。

例えば,不健康のイメージがある即席ラーメンと白米の栄養素を比べてみます。

順に、精白米160g、即席中華麺90g
エネルギー(kcal)570 401
水分(g)24.8, 1.8
蛋白質(g)9.8, 9.1
脂質(g)1.4, 15.0
炭水化物(g)123.4, 57.2
ナトリウム(mg)2, 2250
カリウム(㎎)141, 234
カルシウム(㎎)8, 387
マグネシウム(mg)37, 26
リン(㎎)150, 99
鉄(㎎)1.3, 0.9
亜鉛(㎎)2.2, 0.5
銅(㎎)0.35, 0.12
βカロテン当量(μg)0, 0
ビタミンA(μgRE)0, 0
ビタミンD(μg)0.0, 0.0
ビタミンE(㎎)0.2, 2.8
ビタミンK(μg)0, 1
ビタミンB1(㎎)0.13, 1.31
ビタミンB2(㎎)0.03, 1.50
ナイアシン(㎎)1.9, 0.9
ビタミンB6(㎎)0.19, 0.05
ビタミンB12(μg)0.0, 0.0
葉酸(μg)19, 11
パントテン酸(㎎)1.06, 0.37
ビタミンC(㎎)0, 0
飽和脂肪酸(g)0.46, 6.58
n-3系不飽和脂肪酸(g)0.02, 0.05
n-6系不飽和脂肪酸(g)0.48, 1.97
コレステロール(㎎)0, 6
食物繊維(総量)(g)0.8, 2.3
食塩相当量(g)0.0, 5.8

こうしてみると白米は炭水化物の多さは申し分ありませんが,

ナトリウム,カリウム,カルシウムなどの主要ミネラルの量やビタミン量も全体的に即席麺に劣っています.

そして私が基本的エネルギー源と考える脂質がほとんどありません.

即席麺自体も塩分が非常に高かったり,炭水化物も白米ほどではないですがやはり高かったりと,欠点の多い食品ですが,

白米はそれにも増して栄養バランスが悪いように思えます.

一方,肉,卵,チーズの栄養をみてみます.上記と同様のエネルギーで比較します.

順に、豚バラ肉(中型種100g)、鶏卵300g、カマンベールチーズ120g  
エネルギー(kcal)434, 453, 372
水分(g)45.8, 228.3, 62.2
蛋白質(g)13.4, 36.9, 22.9
脂質(g)40.1, 30.9, 29.6
炭水化物(g)0.0, 0.9, 1.1
ナトリウム(mg)43, 420, 960
カリウム(㎎)220, 390, 144
カルシウム(㎎)3, 153, 552
マグネシウム(mg)14, 33, 24
リン(㎎)120, 540, 396  
鉄(㎎)0.6, 5.4, 0.2
亜鉛(㎎)1.6, 3.9, 3.4
銅(㎎)0.04, 0.24, 0.02
βカロテン当量(μg)0, 51, 168
ビタミンA(μgRE)9, 450, 288
ビタミンD(μg)0.1, 5.4, 0.2
ビタミンE(㎎)0.4, 3.0, 1.1
ビタミンK(μg)1, 39, 1
ビタミンB1(㎎)0.45, 0.18, 0.04
ビタミンB2(㎎)0.11, 1.29, 0.58
ナイアシン(㎎)4.2, 0.3, 0.8
ビタミンB6(㎎)0.23, 0.24, 0.10
ビタミンB12(μg)0.3, 2.7, 1.6
葉酸(μg)2, 129, 56
パントテン酸(㎎)0.62, 4.35, 0.59
ビタミンC(㎎)1, 0, 0
飽和脂肪酸(g)6.5, 8.52, 17.84
n-3系不飽和脂肪酸(g)0.05, 0.51, 0.19
n-6系不飽和脂肪酸(g)1.97, 4.47, 0.65
コレステロール(㎎)6, 1260, 104
食物繊維(総量)(g)0.0, 0.0, 0.0
食塩相当量(g)0.1, 1.2, 2.4

いかがでしょうか.

このデータ,正しい栄養学的知識を持ってみないと解釈が全く変わります.

糖質制限を理解した上でこのデータをみれば,白米が栄養バランス的に問題があるということがよくわかると思います.

白米にメリットがあるとすれば,マグネシウム,リン,鉄,亜鉛,銅などの微量元素が高いことでしょうが,

それは卵やチーズを食べることで容易にカバーできるということもわかります.

そして何より肉,卵,チーズを積極的に摂取することで,炭水化物以外の栄養バランスはかなり問題なく摂れることがわかります.

唯一の欠点はビタミンCが少ないという事ですが,この点は白米も即席麺も同様です.

これを補うためにはある程度の野菜が必要ということになるでしょう.




一つの「文化」として和食を認識するのは問題ありませんが,

そのままで健康食として普及させるには大いに問題があります.

糖質制限の観点で科学のメスを入れ,和食はさらに改良されていくべきと思います.

※今回の記事は以下のサイトを参考に作成しました.
グリコ「栄養成分ナビゲーター 一般食品インデックス」
http://www.glico.co.jp/cgi-bin/navi/start.cgi?A=go1



たがしゅう
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コメント

No title

2014/02/24(月) 13:09:07 | URL | rosemary #7Vwe54W6
こんにちは。
私の知人の60代の女性は「日本の伝統食和食を料亭などの懐石料理だと見てもらうととても違和感がある」といいます。
 日本人の庶民は昔からあんな食事をとってきたわけではないからです。米だってふんだんに食べることができたのはひとにぎりだと思いますし、一汁三菜なんていっても、主食といわれるものと汁物は紙一重といったぐらいのほんの少しの青菜や漬物と水分たっぷりの雑炊もどきであとは採集できる川や近海の小魚などではなかったかと思います。
 欧州の有名なフルコースの食事を庶民が毎日食べているのではないことと同じではないでしょうか。
 知人の言うことも一理あると思います。
 今の日本人の食事は過去ないほどに飽食で糖質過剰だと思います。

ファミレスの和食メニュー

2014/02/24(月) 20:01:59 | URL | 月夜野うさぎ #-
今日、久しぶりに某ファミレスでランチを食べたのですが、魚の和食定食をご飯抜きを頼んで失敗しました。魚にはあんがかかっており、付け合せが切り干し大根、ひじき、たくあん、甘い豆。あんをのぞいて魚とサラダだけ食べ、当然足りないので鶏の唐揚げを単品で注文。「低カロリーでヘルシー!」がうたい文句のランチセットでしたが、砂糖だらけの現代の「和食」はホントに要注意だと思いました。
卵、肉、チーズを恐れずにしっかりいただきます!
「低糖質でヘルシー!」がうたい文句の時代よ、はやく来い~~


Re: No title

2014/02/24(月) 23:46:06 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
rosemary さん

 コメント頂き有難うございます.

>  日本人の庶民は昔からあんな食事をとってきたわけではない

 なるほど,確かに一理ありますね.

 スーパー,コンビニなど,食品の流通が確立した現代人においては,昔の日本人よりも糖質の多い和食を食べているのではないかと考えるのは妥当です.昔より容易に糖質が手に入るわけですものね.

Re: ファミレスの和食メニュー

2014/02/24(月) 23:53:37 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
月夜野うさぎ さん

 コメント頂き有難うございます.

> 「低カロリーでヘルシー!」がうたい文句のランチセットでしたが、砂糖だらけの現代の「和食」はホントに要注意だと思いました。

 ですね.低カロリーなものは大抵糖質が絡んでいますので,私に言わせればノンヘルシーです.

> 「低糖質でヘルシー!」がうたい文句の時代よ、はやく来い~~

 時代は後からついてくると思います.我々で時代を先取りしましょう.

管理人のみ閲覧できます

2014/02/26(水) 16:56:53 | | #
このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 訂正したほうが良いのでは

2014/02/26(水) 22:07:27 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
津上伸一 さん

 御指摘頂き有難うございます.

 私の説明が足りなかったようで,誤解を与えてしまい申し訳ございません.

 私が現代において増えたと考える糖質は,精製された白米やパン,お菓子類などの事を指します.

 また炭水化物=糖質+食物繊維です.1940年代の炭水化物の割合が現代より多かったとして,その質は全く異なるもの(玄米,野菜の食物繊維など)と思われます.だからこそ昔の和食より,今の和食の方が悪影響を与えているのではないかと考えるわけです.

 肉や卵については,御指摘のように昔多かったわけではないと私も思います.

No title

2015/04/08(水) 20:15:57 | URL | #-
戦前までの日本の一般家庭の食事はいわゆる粗食です。このような環境での米食による糖質中心の献立は意味があったでしょう。
ですが今日の食卓の状況をみれば、たんぱく質も脂質も十分にあり、さらに調味料としての糖質も従来の日本食とは比較にならないレベルです。
このような状況でさらにコメを主食として取るのは明らかに糖質過剰です。
そもそも現代日本の食事には主食は必要ありません。脂質の取りすぎや動物性たんぱく質の弊害と同程度に糖質としてのご飯ももはや危険な存在(中性脂肪やコレステロールの元凶)であると認識を広めることはとても重要だと思います。

Re: No title

2015/04/11(土) 22:49:23 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
 コメント頂き有難うございます。

 御指摘のように、戦前、戦後で日本人の健康状況は大きく変わりました。

 ただその解釈には大変注意を要します。昔は診断技術がさほど発達していなかったこと、今よりもはるかに短命であったこと、今ほど情報化社会でなかったこと(疾患の存在が知られていない)などの要素も考慮しなければならないので、少なくとも単純比較はできないと思います。

 2014年7月21日(月)の本ブログ記事
 「昔の人ははたして健康だったのか」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-341.html
 もご参照下さい。

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