Post

        

検査値にとらわれすぎない

category - 普段の診療より
2013/ 11/ 23
                 
病院診療で頻繁に使用する検査が血液検査です.

血液の中の様々な成分を調べることで,貧血の有無や免疫の状態,肝臓や腎臓の機能,ミネラルのバランス,栄養状態,炎症反応,血糖値などいろいろな状態を調べることができます.

この血液検査,非常に重宝する一方で,上手に使わないと逆に悩まされる場合もあります.

例えば肺炎などの際に病気の勢いを現す炎症反応を現すCRPという項目がありますが,

CRPが高値を示している場合通常は何らかの感染症が存在していると考えがちです.

しかし,実際にはCRPは自己免疫疾患や悪性腫瘍,外傷や心筋梗塞などでも上昇します.

その事がわかっていないと「CRPが上がっている」=「感染症」と考え,不要な放射線を患者さんに浴びさせてしまうことにもなりかねません.

このように血液検査というのは正しく使わないとミスリーディング(誤誘導)される側面もあるのです.
            

糖尿病に関して言えば,血糖値とHbA1c(糖化ヘモグロビン)が診断のゴールドスタンダードだと思います.

糖質を摂れば血糖値が上昇する,慢性的に血糖値が高くなればHbA1cも上昇していく,という関係が成り立つと思います.

それを逆に考えれば,「血糖値が高くなくてHbA1cも正常である人は糖質はそれほど控えなくてもよい」と思われるかもしれません.

しかし,実際に日常診療に当たっていると,血糖値もHbA1cも正常だけれど,脳卒中を発症してしまっている人に出くわします.

こういう人は確かに糖尿病の範疇には当てはまりませんが,糖質の摂取により確実に血管は痛んでしまっているのではないかと考えています.

ですから私はこういう人にも糖質制限の選択肢を提示しています.

また私はアルツハイマー病の予防にも糖質制限が有効という考えを持っていますが,

純粋なアルツハイマー病では血液検査上で異常が見つかりません.

それならアルツハイマー病の人は糖質を普通にとってもよいのかと言いますと,決してそうではないのです.

実は,かの有名な久山町の研究で,アルツハイマー病の脳を解剖すると,糖尿病と同じ病理変化が起こっているとの報告がなされていました(Hokama M, et al. Altered Expression of Diabetes-Related Genes in Alzheimer's Disease Brains: The Hisayama Study. Cereb Cortex. 2013 Apr 17. [Epub ahead of print]).

そう,血液検査で異常がなくても,脳の中ではしっかりと糖質摂取による悪影響を受けてしまっているということなのです.

また血液検査とは少しずれますが,標準体重であるにもにも関わらず,脳梗塞を発症してしまっている50代の女性がいました.

糖質制限を単なるダイエットと理解してしまっていると,この人に糖質制限を勧める理由はなくなります.

しかし,この方は非常に神経質で落ち着きがなく,実際には糖質たっぷりの健康食品に頼ってその効果を盲信してしまっているような方でした.

糖質は精神にも影響を与えますので,この方の精神面を安定させるためにも糖質を控える意義は大いにありますし,

糖質に伴う血糖値の乱高下を防ぐことで,動脈硬化のリスクを下げ,この人の脳梗塞の再発の危険を減らすこともできるわけです.

結局,検査値に異常がなくても,糖質を制限するメリットは多くの場合存在するのです.

脂質代謝異常などの特殊な体質がない限り,

私はかなり広い範囲に糖質制限は応用できると考えています.


たがしゅう

関連記事

            
                                  

コメント

非公開コメント
        

トータルに考えること
糖質オフで、高血圧が改善
 妻は、一年前まで、上の血圧が140~150で、降圧剤を飲んでいた時期もあったのですが、糖質オフにより、体重59→49kgになり、血圧は、上が120前後、下の血圧も80前後と、全く正常になりました。

  * * * * * * * 

 私の兄は、63歳で、スポーツマン人生を送り、いまでもハーフマラソンやテニスをやっていますが・・・
 先日、筑波山に登った帰り、兄が丼ものを食べた結果、私の持っていた血糖測定器で測ったところ、Hab1c5.4(NGSP)の兄が、血糖値177でした。
 Hab1cが正常でも、食後の血糖は、やはり数時間、良くない状態になるのです。
 健康診断の検査結果だけでは、分からなかったことです。

 糖尿病は、静かに、気がつかないうちに進行します。
 「40歳過ぎたら、是非糖質オフを!」と思っています。
 兄は、その後、毎日、玄米を食べるようにしているそうです。
Re: トータルに考えること
わんわん さん

 いつもコメントを頂き有難うございます.

 現代医学は血液検査をはじめ,確かに高度な検査技術を産み出しましたが,

 人体には今の検査技術で検出できない異常はまだまだいくらでもあると思います.

 検査値にとらわれすぎず,自分の体調がよいかどうかを見ることが一番だと私は考えています.
No title
以前 風邪をひき 近くの医院にかかりました時に一週間ほどたっても 咳 が止まらず・・・・・点滴をされたことがあり 何かこれはおかしいと思い 急いで 京都駅前の高雄病院に行き飲み薬を処方して頂きました
1日分飲んだだけですっとよくなりました その節は高雄病院の先生 本当にありがとうございました。
Re: No title
田中和子 さん

 コメント有難うございます.

> 以前 風邪をひき 近くの医院にかかりました時に一週間ほどたっても 咳 が止まらず・・・・・点滴をされたことがあり 何かこれはおかしいと思い 急いで 京都駅前の高雄病院に行き飲み薬を処方して頂きました
> 1日分飲んだだけですっとよくなりました


 それはよかったですね.もしかしてその飲み薬は何かしらの漢方薬だったでしょうか.

 西洋医学は風邪に対して意外と無力だったりするのです.

 2013年9月23日(月)の本ブログ記事
 「風邪に葛根湯」http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-31.html
 もご参照下さい.
No title
さすがに たがしゅう先生高雄病院で処方していただいたのは漢方薬でした。又 風邪をひいた時に飲もうと大切に保管しているのです。
薬品名は柴陥湯エキス顆粒、トチモトのカッセキ の2種1包 と 五虎湯エキス錠剤3錠 を飲みました。大変よく効きました。これから先 寒さに備え葛根湯も是非用意しておこうと思います。高雄病院での調剤日は丁度一年前の11月08日でした。