成り立ちを考える必要性

2016/11/04 00:00:01 | 素朴な疑問 | コメント:0件

人間の身体には自律神経というものが備わっています。

自律神経にはアクセルに例えられる交感神経と、ブレーキに例えられる副交感神経とがあります。

この二つの神経がバランスを取ることで人間は恒常性を維持しているというのですが、

取り立てて何事もなく生きているだけで、両者の働き方は一日の中で大きく変動します。

簡単に言えば、日中活動している時は交感神経優位、夜間休息している時は副交感神経優位になります。

こうした二つの神経のリズムはどのようにして生み出されたのでしょうか。
これは完全に私の想像ですが、自律神経の二重拮抗支配の根源は太陽、ひいては天体なのではないかと思うのです。

つまり朝日が昇り、陽が当たる中で生物は活動しやすくする為に、交感神経というシステムを発達させていき、

その一方で、その機能がオーバーヒートしないように、夕日が沈み陽が当たらず活動しにくくなる時間には、逆の副交感神経というシステムを発達させてきたのではないかという仮説です。

単に陽が当たる当たらないだけではなく天体同士がもたらす引力にも影響を受けている可能性がありますが、

いずれにしても、最初から自律神経ありきの話ではなく、あくまで「環境適応の結果、自律神経が出来上がった」という考え方です。

この話はなぜストレスホルモンであるコルチゾールには日内変動があるのかという疑問とも連動してくると思っています。


さて、その事を前提に現代社会の一般的な生活を振り返りますと、

これはなかなか本来のリズムを崩されている生活スタイルだなという姿が見えてきます。

例えば本来なら陽が落ちて暗くなる時間帯になっても、私達は家屋の中で電気による光を浴び続けています。

これで、就寝前にスマホをいじろうものなら寝る直前まで光を浴び続ける環境になります。

また仕事によっては夜勤があったりして、本来休息すべき時間に活動しなければならない場面もあります。

あるいは食べる事はシンプルな副交感神経刺激術ですが、それをこれから活動しようという朝から行う食文化が出来上がってしまっていたり、

そうかと思えば食べる内容が糖質主体で血糖値の乱高下を通じて強制的な交感神経刺激になっていたり、とにかく自律神経は本来の使用目的からは大きく外れて乱用され続けています。

まあ、それはヒトにとって苦しい環境変化ですが、ともすればうまく環境適応できる可能性はあると思いますが、

避けられるものなら避けたいものですね。


こういう状況の中で、例えば寝ようと思っても眠れない方が、

睡眠リズムを作るために睡眠薬を飲むという行為はどうなのでしょうか。考えてみましょう。

最近でこそ比較的良い睡眠薬も出てきましたが、昔ながらのベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、言わば脳を強制的に鎮静状態に持っていく薬です。

それは副交感神経優位になって誘導された眠りではないので、相変わらず交感神経の過緊張状態は解決していません。

それでも眠れてしまうので本人としては満足してしまいますが、一方で薬に依存性があるためにすぐまた次の薬を欲するようになります。

さらに薬がだんだん効かなくなる耐性ができていき、薬の量は徐々に増えていきます。

こうして真の問題が解決されないまま、付け焼き刃的な睡眠薬の量ばかりが増えていき、問題はこじれていってしまうのではないかと私は考えています。

では眠れない人が眠れるようになるために正しくはどうすればよいのでしょうか。

一言で言えば、「眠るのに対して害になっている事を行わない」という事に尽きます。

何が害になるかという事を知るためには、何が平常状態なのかという事を知らなければわかりようがありません。

それを考えるために大事なのが、なぜこのようなシステムが出来上がってきたのかという成り立ちを考える事だと私は思います。

夜なのに光を浴びること、これから休むのに糖質を摂取すること、静かになるべきなのに音の多い環境で過ごすこと、

これらは全て眠るという本来のシステムにとって妨げになる事だと気づく事ができます。

そしてこの事は眠りの事に限らず健康にまつわるあらゆるトラブルを

解決するのに役立つ思想ではないかと考える次第です。


たがしゅう
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