高炭水化物でも成果を上げる食事療法

2014/09/21 00:01:00 | イベント参加 | コメント:0件

先日、腎臓病の食事療法についての勉強会に参加してきました。

昭和大学藤が丘病院客員教授の出浦照國先生の推奨される「低タンパク・でんぷん食療法」についてです。

一般的に腎不全に対しては腎機能障害を進行させないために

タンパク質を制限するという食事療法の存在は広く知られていますが、

その制限具合が、通常の腎臓病専門医の間では0.6g/kg/日までだと言われているところを、

0.3〜0.5g/kg/日にまで強めるべきだと、主にはそういった趣旨のお話でした。
その制限された中で摂取するタンパク質はアミノ酸スコア90以上の良質のものにすべきだとか、

大事な順にタンパク質制限>塩分制限>リン制限、という話など、

臨床的にも大変参考になるお話を伺うことができました。

腎機能を反映する血清クレアチニンが2.5mg/dLを越えると、

直線上に腎機能が低下していく事が分かっているようで、透析となる時期がある程度予測できるそうなのです。

それがタンパク質摂取を0.5g/kg/日に抑えることで、

透析導入予想時期を3年も5年も、長い人は13年も遅らせることができるという実例を、

何例も何例も紹介されました。

それも一人の先生だけではなく、別の先生が指導してもそうなるので、

再現性をもってその効果を確認できているということなので、

0.3〜0.5g/kg/日のタンパク質制限食には確かな効果がありそうです。

この食事療法、具体的には主食のごはん、パン、めんからタンパク質を除去した製品、あるいはでんぷんを原料にした類似食品に置き換えるというのが基本的な方法であるようです。

こうした低タンパク主食、でんぷん製主食というのがさまざまな会社から商品化されています。

これらを使う事で、確かにタンパク質はだいたい12〜20gはカットできるようですが、

その代わり増えてくるのが、糖質という事になってきます。

従って、この食事療法は通常の食事よりさらに高炭水化物だという事になります。

栄養士さんによれば、全体のエネルギーに対して炭水化物の占める割合は、だいたい70%くらいになるそうです。

しかし、それでもこの食事療法は従来の方法に比べて確実に透析を遅らせています。

高炭水化物でも効果のある方法が世の中にはある、という事を我々はまず認める必要があると思います。

一見糖質制限と矛盾するような話ですが、実はそうではありません。

この話は少し深いので、引き続き別記事で考察を続けていきたいと思います。


たがしゅう
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