血糖値に人生を支配されない
2017/07/15 00:00:01 |
ふと思った事 |
コメント:10件
糖質制限の考えの普及に合わせて、
自己血糖測定器の存在も随分と身近なものになりつつあります。
「一家に一台血圧計」と呼ばれた時代から、「一家に一台血糖測定器」という時代へ変わるのもそう遠くないのかもしれません。
その変化を喜ばしく思う一方で、懸念していることもあります。
私達は血糖値を測れるようになったから、その存在をとても意識するようになっていますが、
私達の身体の中には、測定できないけど常に身体の中で変化し続けている物質が無数にあります。
それなのに測れるからという理由で血糖値だけを意識するのは、偏った考えだと私は思います。 そして頻回糖質過剰摂取によって、不要な血糖上昇が繰り返し、それが身体に様々な害をもたらすという事はわかったとしても、
だからといって血糖値がピクリとも動かないようなデータを目指すなんていうやり方はさらに考えが歪んでしまっていると私は思います。
血糖値の上昇そのものが悪なわけでは決してないのです。
むしろ人生において、豊かな血糖変動はあってしかるべきです。
何かを成し遂げるために急いで取り組むこと、恋をして相手の人にドキドキすること、苦しい状況だけどじっと耐え忍ぶこと、
いずれも人生にとって必要なことですが、いずれのことでも血糖は上昇します。
問題は不要に血糖変動が繰り返されることであって、
自然な血糖変動までも抑え込み、フラットな血糖値を目指すということは、
まるでロボットのように無感情な人生を送っているようで、私にはそれが到底目指すべき境地とは思えません。
血糖値に人生を支配されてはなりません。
タンパク質は生きる上で大切な物質です。
そのタンパク質を代謝する際に血糖値が上昇するメカニズムには糖新生というシステムを介しています。
血糖値を抑えるために、その糖新生をブロックさせるというアプローチを試みる人がいますが、
本当にそれが行うべき行動なのか考えてみてほしいと思います。
必要な物質を取り入れて、それを利用するために身体の中で起こっている反応です。
行うべきは、糖新生をブロックすることではなく、起こる反応をありのままに受け入れることなのではないでしょうか。
血糖値を一定に保つことに躍起になっている人は、常日頃より大変大きなストレスを抱えることになります。
なぜならば私達がロボットでない限り、豊かな血糖変動が起こるのは必然であって、血糖値を一定に保ち続けることは容易なことではないからです。
そして「血糖値は一定でなければならない」という姿勢を変えない限り、そのストレスには一生さらされ続けることになります。
もう一度言います。血糖値に人生を支配されてはなりません。
私が糖質制限から教わったことは血糖値を一定に保つことの重要性ではありません。
自分の身体が持つ本来の働きを、
ありのままの自分の姿を取り戻すことです。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
湯を沸かす
これを正しくは、水を沸かす、米を炊く、と表現すべきであるという説明がされることがありますが、言葉が全体使用の中で意味を持つことについて鈍感であることから来る間違いの説明だと思っています。
言葉には、そもそも個別に本来の意味があって、それを文法に基づいて組み立てると文章になると考えていると、湯を沸かすは誤り、血糖値をコントロールすれば健康になるとの認識に陥ります。
このバリエーションは医食同源からサプリメント摂取に走ったり、運動によって体が鍛えられる等々、我々が日常接する健康常識につながっているので、注意が必要です。
逆に、漢方による治療を理解する際、個々の要素を突き詰めると合理的でないのに、なぜか治療効果がある。という不思議な事象が発生することについて、この点から理解のアプローチが可能かもしれません。
Re: 湯を沸かす
コメント頂き有難うございます。
木を見過ぎて森を見失ってはいけないという事ですね。
例えば、半夏厚朴湯という漢方薬のすぐれた抗ストレス作用を、
一つ一つの生薬の成分が持つ効能を調べて、それらを合わせて理解しようとしても
なぜそのような抗ストレス作用をもたらすのかについて、少なくとも私にはよくわかりません。
現時点では、半夏厚朴湯は様々な生薬が集まって結果的にこのような作用をもたらすもの、として理解するより他にないのです。
2017年5月21日(日)の本ブログ記事
「必ずしも細部を掘り下げない」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-972.html
も御参照下さい。
血糖値に人生を、支配されるところでした。(*´ω`*)
そうおもったら、気が、楽になりました。
No title
今まで以上に気を付ければ、やれるんだなと、驚きです。
一型を発症するまでは、
私の日常に血糖値と云う言葉を考えることなんて、まるでなく。
確かに発症後の一年はこれを考えない日などありませんでした。
けれど、その“血糖値”に振り回された一年があったからこそ、今があります。
変動に一喜一憂したからこそ糖質の害を知り、
実感し、己れを考察することが出来ました。
振り回された一年がなければ、
前主治医のアドバイスに乗り、普通に食べ続け、
周囲の甘い言葉にちょっとくらいなら、
今日だけなら…
と、糖質を食べることを許したかもしれません。
だから、振り回され続けたこの一年は、私にとって無駄ではありませんでした。
この病気を受け入れたつもりになっていただけで、
真の意味では受け入れてなかったのかもしれません。
一型にはなってしまったけれど、
健常な方と同じでいたい。
数値だけは同じでいたい。
そのことに躍起になっていたのだと思います。
確かに他者には、それは違和感を覚えることであったと思います。
でも、そうすることでしか活きられなかった一年でした。
けれど、もう、充分に血糖値とは向き合いました(笑)
一喜一憂した日々を省みながらも、
これからは、変化の年とし
前に進みたいと思います。
過去の自分もこれからの自分も愛でながら。
Re: 血糖値に人生を、支配されるところでした。(*´ω`*)
コメント頂き有難うございます。
「人事を尽くして天命を待つ」という言葉がありますが、
糖質制限は尽くすことのできる人事の在り方を教えてくれていると思います。
余計な事を行わないという人事です。
何か好ましくない事態が起こった時も天のせいにせず、自分が何か余計なことをしてしまったのではないかと思う謙虚さも大切になると私は思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
人生に無駄な時間はなく、無駄だと思える時間もそれを決める自分の心次第です。
試行錯誤の日々は今につながる助走期間であったとポジティブに捉えましょう。
ある程度の血糖変動を許せば、ストレスが減ってくると思います。
ストレスが減れば持効型を減らせる可能性が出てきます。
外因インスリンが減り、自己分泌能が残っていて鍛えられればインスリン離脱も視野に入ります。
前向き、上向きで行きましょう。応援させて頂きます。
謙虚さ
しかし、糖質制限を、はじめてから、疲れにくくなったし、頭がクリアでいられます。
強い気を、もって生きて行くことは自分を、支える為に大事ですが、社会で共存していくには、謙虚な気持ちをもたなければ、オーバーヒートして、自分自身を、苦しめてしまうのでしょうね
たがしゅう先生のアドバイス有り難く心に受け止めます。有り難うございます。
ふたを開けて見ると・・・
まず、「血糖値を上げているものがチキンサラダの調味料だった」という結果でなくて良かったです。ホッとしました。
その上で、肉と卵しか食べない私にとって今回の実験は大変参考になりました。と言いますか、よくよく考えて今後の参考にさせて頂きます。
今は体調が良くなる方向にしか変化していませんので問題無いと思ってますが、そうで無くなった時、今回の実験が役に立つと思います。
しかしバター負荷試験といい、今回のササミ負荷試験といい、蓋を開けて見ると教科書通り過ぎる結果で少し悔しく思います。
バターでも血糖値が上がるという私の予想はハズレました。
結局、タンパク質は血糖値を上げているということです。
管理人のみ閲覧できます
Re: ふたを開けて見ると・・・
コメント頂き有難うございます。
タンパク質で血糖値が上がるかどうかは個人差があるそうなので、私の実験結果とそぐわないパターンもあると思います。
実験では定説を鵜呑みにせず、言われていることがはたして本当に正しいのかどうか、確認していく姿勢が大事と思います。
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