「うらやましい孤独死」書評

category - おすすめ本
2021/ 02/ 22
                 
鹿児島で同じ病院で働いたこともある医療経済ジャーナリストの森田洋之先生の新著「うらやましい孤独死」を拝読しました。



うらやましい孤独死――自分はどう死ぬ?家族をどう看取る? (日本語) 単行本(ソフトカバー) – 2021/2/19
森田 洋之 (著)



前著「日本の医療の不都合な真実」でも日本の医療の仕組みの根の深い問題点を大きな説得力を持って指摘する鋭い内容でしたが、

今回の新著でも医療従事者にとって非常に痛いところを突かれる内容となっています。

「孤独死」という言葉にはかわいそうとか、悲惨だとか、一見してネガティブな印象を持つ方が多いのではないかと思いますが、

「うらやましい孤独死」とはどういうことなのか。それは「死の直前まで自分の想いを全うすることができた逝き方だった」ということなのだというのです。
            
関連記事
            
                

続きを読む

                 
        

C型肝炎ウイルスは変異の多いRNAウイルスなのになぜ明確に攻撃できるのか

category - ウイルス再考
2021/ 02/ 21
                 
「細菌感染症」と「ウイルス感染症」の本質的な違いについて考えていた時に一つ上がってきたこととして、

「不安定なRNAウイルスであるC型肝炎ウイルスに対して、なぜ特異的に攻撃できる抗ウイルス薬があるのか」という謎が浮上してきました。

またも難しげな話になってしまい恐縮ですが、今回はこの謎に対して切り込んでみたいと思います。

まずC型肝炎ウイルスは、「1本鎖の プラス鎖RNAウイルス」というカテゴリーに入るRNAウイルスです。

RNAの鎖が1本、そして「プラス鎖」というのはもともと2本鎖で1組のDNAにおいて、そのDNAからRNAを合成する際の鋳型となる側の鎖の方を「プラス鎖」、そうでない側の鎖の方を「マイナス鎖」と呼ぶことに由来しています。

つまり「プラス鎖RNAウイルス」とは、DNAと対応させた際に「鋳型」的な構造をとっているRNAを持つウイルスだということです。
            
関連記事
            
                

続きを読む

                 
        

「細菌感染症」的な状態と「ウイルス感染症」的な状態の違い

category - ウイルス再考
2021/ 02/ 18
                 
「細菌感染症」と「ウイルス感染症」の本質的な違いについて深めます。

ややこしかったこれまでの考察の重要部分だけおさらいしますと、次の通りです。

「細菌感染症にもウイルス感染症にも自己システムがオーバーヒートしている部分がある」
(病原体が消失しても症状が遷延するケースがある)

「細菌とウイルスの中間的な存在があり、細菌の構造を持ちつつウイルス的に振る舞う細菌(マイコプラズマ、クラミジアなど)、ウイルスの構造を持ちつつ細菌的に振る舞うウイルス(ヘルペスウイルス、B型肝炎ウイルス、HIVなど)の双方が存在している」

「病原体として認識して、治療対象として攻撃するためには、少なくともDNAのような安定構造があることが重要な要素であるようだ」


これらを踏まえて、「細菌感染症」「ウイルス感染症」という現象を広く捉えますと、次の3つのパターンに分類されるように思うのです。
            
関連記事
            
                

続きを読む

                 
        

細菌とウイルスの違いと共通点とグラデーション

category - ウイルス再考
2021/ 02/ 06
                 
小難しくややこしい記事が続いていますが、大事なところなのでもうしばらくお付き合い頂ければ嬉しいです。

前回は「ウイルス感染症は自己システムのオーバーヒート」だという私の見解に関して、

完全なる「他者(非自己)」だと思える「細菌感染症」に対しても、「自己システムのオーバーヒート」の要素が存在していることを示しました。

では今回はここから発展させて、「細菌感染症」と「ウイルス感染症」は本質的にどう違うのかについて考えてみたいと思います。

それを考える前に、「細菌」と「ウイルス」の違いについてもう一度おさらいしておきたいと思います。

「細菌」は細胞構造を持つ自己複製可能な生物、「ウイルス」はDNA/RNAのいずれかをタンパク質で囲い込み細胞構造を持たず自己複製できない半端な生命体、とそれぞれ表現できると思います。

ウイルスが「自己」的な存在となりえたり、見事なまでにスムーズに自己細胞のシステムを活用できたりするのは、半端な構造であるが故でしょう。
            
関連記事
            
                

続きを読む

                 
        

細菌感染症でも自己システムのオーバーヒートが起こっている

category - ウイルス再考
2021/ 02/ 04
                 
「細菌」は固有の細胞構造を持ち、自律的に細胞増殖を繰り返すことができ、

人間の免疫システムによって外敵と認識され攻撃されうる特徴を持つことから、人間にとって「非自己」的な存在である点は多くの人に賛同されるところではないかと思います。

しかし「細菌」はひとたび人体に接したら直ちに免疫システムによって排除されてしまうわけではありません。

常在菌と呼ばれる「細菌」がいることがその証明で、細菌は触れると即、免疫システムで排除されるわけではなく、一定の条件下では「非自己」なのに敵とみなされなくなる仕組みが存在しているようです。

そんな常在菌も傷や炎症が原因で血液の中に入り込む機会があると、たちまち人体の免疫システムによって攻撃される事態に発展されます。

血液の中は本来無菌状態なので、ここに「細菌」が入ってくることが異常事態です。「細菌(非自己)」と「免疫細胞(自己)」との戦いが始まります。

本来無菌の血液の中に細菌が入り込んで増殖し、免疫細胞によって攻撃対象として認識されて、全身に炎症を中心とした様々な変化がもたらされた状態のことを「SIRS(全身性炎症反応症候群:Systemic Inflammatory Response Syndrome)」と言います。
            
関連記事
            
                

続きを読む