ウイルスと共存するための巧妙な仕組み

category - ウイルス再考
2020/ 03/ 31
                 
前回はがん細胞が「自己」的な病原体、細菌が「他者」的な病原体で、

ウイルスはその中間で「自己」的でもあり、「他者」的でもある病原体だという考察を行いました。

「他者」的な病原体であれば、基本的には抗生物質のように攻撃可能な対象であるので、

現在抗ウイルス薬がすでに開発されているインフルエンザウイルス、ヘルペスウイルス、B型肝炎・C型肝炎ウイルスは「他者」的要素の強いウイルスだと言えるかもしれません。

ここで抗ウイルス薬が存在するはずのHIVを「他者」的要素の強いウイルスの中にあえて含めていませんが、その理由は別の機会に述べさせてもらいます。

一方で「自己」的な要素の強いウイルスに対しては、攻撃したとしても同時に自分の健康な細胞までをも攻撃することにつながってしまうので、

抗がん剤の副作用のごとく病原体をやっつけることによって身体が受ける代償が大きすぎるために、抗ウイルス薬は戦略として使いにくいという事になるのではないかと思います(抗がん剤に関しては「がんとはそういうもの」という価値観を共有することによってその暴挙を患者に受容させているという問題もありますが)。

逆に言えば抗ウイルス薬が現時点で実用化されていないウイルスは、「自己」的な要素が強いが故、もしくは「自己」的という範疇にはあり続けるもののその中で変異し続けているが故、だと考えることができるかもしれません。
            
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それでもウイルスと戦わない

category - ウイルス再考
2020/ 03/ 30
                 
タレントの志村けんさんが新型コロナウイルス肺炎でご逝去されたというニュースが駆け巡りました。

言わずと知れた国民的コメディアンで、世代を超えて多くの人々に親しまれた自他ともに認める芸能界の大御所であると思います。

その志村さんの訃報には流石に私も衝撃を受けました。まずは志村さんに楽しませて頂いた人間の一人として謹んで御冥福をお祈り申し上げます。

志村さんには持病がなかったと、直前まで元気で仕事にも意欲を見せていたと、そんな報道もなされています。

これを受けて、多くの方々は新型コロナウイルスは持病の有無に関わらず、誰もが重篤になりうる未知でかつ恐ろしい病気だという認識が多く広まってしまったかもしれません。

しかし私は、それでも新型コロナウイルス感染症は無秩序な恐怖のウイルスなどではないと確信しています。
            
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「自己」的な病原体と「他者」的な病原体

category - ウイルス再考
2020/ 03/ 26
                 
ウイルスとは「動物(植物)細胞の複製エラー」という前提に立って考えると、

ウイルスとは細菌とがん細胞の中間的な存在である」という見方ができてきます。

なぜならば「細菌は他者的な細胞増殖体」、「がん細胞は自己的な細胞増殖体」、

一方でウイルスが持つ細胞としての部品は中途半端で、「自己」にも「他者」にも共通する構成成分が存在するために、

「他者的とも自己的とも取れうる細胞増殖体」だと考えることができるからです。

細菌には抗生物質という治療手段があります。がん細胞には抗がん剤という治療手段があります。

そしてウイルスには抗ウイルス剤という治療手段がそれぞれに用意されているわけですが、

今回はそれぞれの治療行為の本質について考えるという切り口で、私達がウイルスとどう向き合うべきなのかを考えてみたいと思います。

            
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ウイルスの感染力の強さは何で決まるのか

category - ウイルス再考
2020/ 03/ 13
                 
新型コロナウイルスの致死率は若い人で0.1%とか、高齢者で1%以上などと算出されていたりしますが(※2020年3月13日時点)、

致死率を算出するための分母が感染者の数であり、その感染者の数はPCR検査という時間も費用もかかる検査の性質上、全数を把握しきれていないという実情があるので、

実際の致死率は、未確認かつ無症状の感染者が相当数含まれることによって、現在推計されているよりも低くなるものと考えられています。

一方で同じコロナウイルスというカテゴリーに含まれる2002年に中国で大流行したSARSウイルスの致死率は約15%だとか、2012年に中東で流行したコロナウイルスであるMERSは約20%くらいだと推計されています。

同じコロナウイルスというカテゴリーで遺伝子の塩基配列が違うからといって、なぜここまでの致死率の差が生み出されてしまうのでしょうか。

この疑問に明確に答えられる人はおそらくいないし、いないからこそ世界がパンデミックに陥っているのではないかと私は考えていますが、

ひとつこの疑問について考えるヒントになる情報が私の手元にあった微生物の教科書に書かれていたので紹介します。
            
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若者が感染拡大の原因だとは到底思えない

category - ウイルス再考
2020/ 03/ 12
                 
今回の新型コロナウイルス感染症は感染者が軽症であったり、無症状であったりすることが多く観察されているので、

感染の拡大を拡げているのは気付かずに感染している若者だ、だから若者は不要不急の外出を避けるようにと厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では呼びかけられています(※2020年3月12日現在)。

私はこの見解はどうかと思っています。これだから専門家を盲信するのはよくありません。

ともかく相手は目に見えないウイルスなので、誤解を生じがちになることは理解できますが、もう少し冷静に判断してもらいたいものです。

感染経路が特定できないからといって、若い人がウイルスをばらまいているという説にたどり着くというのはどうかと私は思います。

そもそもウイルスの遍在というのは、新型コロナウイルスの誕生前にも普遍的に起こっていたはずの現象です。

だからこそ、人は風邪という名のウイルス感染症を不定期で繰り返していたし、それを完全に防ぐことなど不可能であることは経験してきたはずです。
            
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