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「脂肪がよくない」を疑う
自分のお腹の周りには脂肪がたっぷりとついている状況があります。
その状況下で、専門家に「肥満の原因は脂肪分のとりすぎです」などと言われれば、
感覚的にはその通りで、そう言われたらぐうの音も出ないと一般的な肥満の人は思っているのではないかと思います。
しかしここでも事実を見て、解釈を疑うという姿勢が重要です。
肥満人のお腹の周りについているのは間違いなく脂肪です。それは紛れもない事実です。
けれどだからといって脂肪の取りすぎはよくないと結論づけるのははたして正しい解釈でしょうか。
そこから転じて「脂肪はよくないもの」と考える人が多いと思いますが、その解釈ははたして本当に正しいでしょうか。
もし本当に脂肪がよくないのであれば、それをわざわざ合成するシステムをヒトは備えていないはずだと思うのです。
合成システムがあるという事は、脂肪という形をヒトが大事にしている事の裏返しです。
従って脂肪自体が悪いのではなく、取り除くべきは脂肪を摂りすぎの状況にさせてしまう要因の方だという解釈が成り立つのではないかと思います。
そしてその要因の最たるものが糖質過剰摂取というわけです。
この解釈が見えていないと、一般の人にとってお腹周りに脂肪があるのに「肥満の原因は脂肪ではなく糖質」だと言われてもピンと来ない部分があるかもしれません。
ところが、一般の人のみならず、専門家でもこのピットフォールにはまってしまっている様子がしばしば見受けられます。
マウスに高脂肪食を人為的に食べさせて、肥満が誘導されて糖尿病の原因になると主張する研究者の思考パターンはその一例です。
マウスにとってもケトン代謝が有益だという研究は存在しているにも関わらず、
「脂肪が悪い」という固定観念の下、なぜマウスに高脂肪食で肥満がもたらされるかという理由に深く踏み込むことはなく、
誤った解釈のまま研究が積み重ねられ、その結果が世界に公表され、特に考えていない世の人々がミスリーディングされ続けてしまっている状況があるのではないかと思います。
以前私は、マウスが高脂肪食摂取で肥満を起こす理由を腸内細菌の適性の違いによると考察しました。
草食動物には草食動物に見合った腸内細菌の共生が本来必要で、そのために栄養として必要な配糖体や食物繊維が適合していなければ代謝に破綻をきたすという仮説です。
マウスの実験の際に用いる時の高脂肪食というものを調べてみると、
およそ自然のものとは思えない栄養素の比率だけを厳格に規定した人工的な飼料であるようです。
これでは高脂肪であること以前に、食物繊維や配糖体が排除されており、不適合どころか欠乏による代謝障害が起こる可能性だって否定できません。
しかし多くの研究者は最初から脂肪が悪いと考えているので、そういった所に研究の目が行く事はありません。
その結果、「脂肪が悪い」を前提とした研究結果が積み重ねられてしまうのです。
先日も医療情報サイトMedical Tribuneを見ていると、次のようなレポートが目に入りました。
脂肪酸そのものが胃がんの原因?
高脂肪食摂取によるマウス胃体部の変化
学会レポート | 2017.05.18 15:10
本当に脂肪酸の種類が原因でしょうか。
その背景に食物繊維、配糖体がない事は影響していないでしょうか。
同じ栄養組成の食事を自然の食材で再現しても同じ現象が起こるでしょうか。
明確な論理がなく、観察された現象のみで「脂肪が悪い」と結論づけられた研究報告は、
かなりまゆに唾をつけて解釈する必要があると私は考えています。
これだけ糖質制限について学び、ケトン体の有用性について理解してくると、
「脂肪が悪い」とする論調はどうも嘘くさく思えて仕方がないのです。
たがしゅう
コメント
No title
これに関して、糖質制限者の脂質摂取についての質問です。
糖質制限をしている場合、十分な体脂肪が身体に蓄えられている場合でも、脂肪を摂取カロリーの50%程度まで増やすのは必須でしょうか?
つまり、体脂肪は常時分解されてエネルギーに変換されていると認識していますが、活動量によっては外部から脂質を取り入れないとエネルギー不足になる可能性がある、従って脂質の摂取を増やさないといけない、と考えるべきなのでしょうか?
よろしければ、お考えをお聞かせいただければ幸いです。
2017-05-22 09:12 たにぐち URL 編集
Re: No title
御質問頂き有難うございます。
> 糖質制限をしている場合、十分な体脂肪が身体に蓄えられている場合でも、脂肪を摂取カロリーの50%程度まで増やすのは必須でしょうか?
初めて糖質制限をする場合は基本的に高脂質にしておいた方が無難と思います。
身体の中の脂肪はたくさんあったとしても、使い慣れていないからです。
ある程度糖質制限生活が軌道に乗り、ケトン体代謝に慣れてきた段階であれば、肥満がある場合に脂質をあえて増やして摂る必要はないと思います。また、ひとたびケトン体代謝が軌道に乗れば、少々脂肪の摂取量がいいかげんでも摂取状況に合わせて肝臓が脂肪合成量を調整し、現状を維持するように働きかけてくれます。
脂肪が多い少ないといった目に見える量の問題だけではなく、蓄えられた脂肪が使えているかいないかという見えない代謝の問題にも目を向ける必要があります。
2017-05-22 13:01 たがしゅう URL 編集
No title
ほぼスーパー糖質制限になってから約2年半なので、そろそろ代謝が変わっていてもいいころだとは思っていますが、なかなか実感としてはわからずにいます。
また、糖質制限の教科書通りには脂質摂取が行えていないような気がして少々心配しておりましたが、多少気が楽になりました。
日々の運動量と体調を気にしつつこれからもなるべく脂質摂取は心がけようと思います。
ありがとうございました。
2017-05-22 14:01 たにぐち URL 編集