自分の食事の癖を把握する
2017/04/17 00:00:01 |
ふと思った事 |
コメント:10件
糖質制限を指導するときに患者さんからよく聞かれる言葉の一つに、
「そんなこと(糖質制限)したら食べるものがなくなってしまう」というものがあります。
しかしそれはその患者さんが普段の食生活をいかに糖質(炭水化物)に依存しているかということの裏返しであり、
実際は肉、魚、卵、豆類、豆腐、芋や根菜を除く野菜、きのこ類、チーズ、ナッツ類など、食べられるものは実にたくさんあるのです。
ここまでは患者さん指導で広く伝えることなのですが、
本日はそこから先のadvancedな内容について考えてみたいと思います。
糖質ゼロに近づけるためのより質の高い糖質制限を目指す場合は確かに食べるものが限られてきます。 その質の高い糖質制限を手取り早く達成する方法の一つに肉・卵・チーズを主として食べる「MEC食」があります。
肉も卵もチーズも基本的に糖質は微々たる量しか含まれていませんし、
この3つの食材を組み合わせれば、飽きの来ない様々な食事メニューを考案することもできるので、なかなか上手な方法だと思います。
しかしこの方法の問題点はタンパク質を過剰に摂り過ぎてしまう点にあります。
タンパク質は糖質ほどではありませんが、インスリン分泌を刺激する側面があります。インスリンが分泌されれば脂肪蓄積の方に代謝が動き太りやすくなります。
タンパク質も適量摂取であればよいですが、際限なく肉・卵・チーズを食べてよいというルールで、しかも1日3食の習慣を続けていれば多くの場合、タンパク質摂取過剰になります。
それにより肥満型の人は途中までしかやせられないということになりますし、
やせ型の人はタンパク質が消化管に絶えず押し寄せ負担がかかり続け、いつまで経ってもタンパク質をうまく吸収できない状態が続いてしまいます。
となればタンパク質を適量摂取にするためには、一回の食事量を減らすか、食事の回数を減らすかという話になってきます。
しかしここに今までの人生で染み付いてきた自分の食習慣が大きく立ちはだかってきます。
私の場合も、元来の過食癖そのものはなかなかコントロールできず、1日1食にしていてもそれ以上の体重減少が得られない壁にぶつかっています。
かくなる上は、自分の癖を利用しつつ、人為的に食事量をコントロールする方法を考えていく必要があります。
最近私は同じ低糖質食品でも、それだけをある程度多く食べ続けられるものとそうでないものとがあることに注目しました。
例えば私の場合は、アーモンドはかなり多く食べ続けられるのに対して、くるみはそこまで多く食べられません。
また肉はある程度食べられますが、満腹まで食べたら大抵体重は横ばいから微増し、減少する事はありません。おそらくタンパク質過剰によるインスリン分泌の影響と思われます。
一方、こんにゃくはほとんど無カロリーの食材で、低糖質・低タンパク質・高脂質のケトン食を目指す時に私はよく利用する食材ですが、
こんにゃくばかり食べる事に私は耐えられません。こんにゃくはこれ以上食べたくないのに、まだ他に何か食べたいという状態になってしまうのです。キャベツにも同様な傾向があります。
要するに私が今回言いたいのは、糖質・タンパク質・脂質がそれぞれ何グラムかという数値だけではなく、
それぞれの食品への嗜好性を加味した人為的な食べ方を考えないと、身体はうまく適応して現状維持に留まってしまうという事です。
現状維持で不満のない方はそんな事は気にせず、おいしく楽しく末長く糖質制限でよいと思いますが、
そうではなく現状を乗り越えて次のステージに進みたいという方は、
まずは自分の食嗜好パターンをよく把握してから、過食にならないための環境作りを工夫していく必要があるかもしれません。
私の場合はアーモンドは買わずに、くるみを買う事が一つのアイデアになるでしょうか。
引き続きいろいろ試行錯誤していきたいと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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No title
アーモンドはくるみに比べると、たんぱく質と糖質の割合がかなり高いので、インスリン分泌を促し、歯止めが利かなくなってしまったのかもしれません。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
私と似たようなアーモンドへの嗜好があるようですね。
No title
一覧表は、欲しくなる食品と栄養素の関係をまとめたもので、過食の原因は自分に取って足りない栄養のサインかも?
私も一時期ミックスナッツが止まらなくなっていましたが、経済的に負担だったことと、メガビタミンを始めたことで落ち着きました。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 過食の原因は自分に取って足りない栄養のサインかも?
一つの仮説ではあると思いますが、
私は食欲のメカニズムはもっと複雑なものではないかと考えます。
ビタミンの有効性は私も認めますが、それに依存し続ける状態には注意が必要と思います。
合成化合物に比べればはるかに安全性は高いですが、それでも過剰に入れば人体に歪みを生じる可能性を否定できないからです。ナイアシンフラッシュなどはその一例と思います。
管理人のみ閲覧できます
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
まとめ買いをしないというのは良い視点ですね。かく言う私もまとめ買いをよくしてしまう人間です。
その日食べる分だけを買う、そうすると頻回に買い物に行かなければならなくなるけれど、それはそれで運動になってよいわけですし、それが面倒くさいなら食べなくてもよいわけです。食べないでいてどうしても食べたさが上回る場合は、面倒くささを押してでも買い物に行かざるを得ないわけですから、なかなか合理的な環境調整かもしれません。
No title
今回の記事、非常に参考になりました。痩せ型の私が糖質制限をしてタンパク質過剰になると即体重増加につながっていました。
特に悪い?のが①赤身肉②赤身魚(刺身は除く)③大豆製品④脂肪分の多い肉の順でした。そして次に脂質(氷こんにゃく、キノコのバター炒め等も含めて)も体重増加につながる可能性がありそうだと感じました
もっともこれらは私個人の経験です。しかし①においては特に即体重にあらわれるのです。
一方、刺身類はアブラが多く一般的に高カロリーとされる魚であっても体重増加する事がありませんでした。(焼く、煮るとすると①②よりは影響しませんが、刺身のような感覚で摂ると増加します)
間食で考えた場合、クルミやナッツは耐重増加につながりましたが、アタリ目では大袋1ついただいても問題ありません
このようにタンパク質の種類によっても過剰が問題になる場合と、そうでない場合があるのではないか?と最近感じています
以前先生のお話しで(一昨年の滋賀で)糖質制限で結果がでない場合ケトン食、そして不食がよいとありました。しかしコンニャクとキノコだけでは満足できないのです
そこで私は自身の体重増加につながるタンパク質と問題ないタンパク質を知る重要性に気づいたのです。今回の記事で食べすぎない(少しで満足できるタンパク質)物の種類も追求すれば益々糖質制限を楽しめそうな気がしました
くんだみえ
糖質制限と痩せ
ガンの治療、再発予防で糖質制限をしているのですが、太りたいのです。
そういった場合は、1日の糖質はどれくらいにしたらよいのでしょうか?また、MCTオイルなどは摂取していいのでしょうか?
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
現状維持の為の糖質制限と現状打破の為の糖質制限とでは意味合いが変わってくると思います。
私がよくお話している事は現状打破のために自分自身が試行錯誤している内容のひとつです。あくまでも参考に栗田さんにとってよいやり方を模索して頂ければ幸いです。
Re: 糖質制限と痩せ
御質問頂き有難うございます。
太るというか、標準体重を目指すという場合の方法論の基本は、
代謝を乱す糖質を極力ゼロに近づけ、その減らした糖質の分を脂質・タンパク質でしっかり補うという事です。
これで改善しない場合は消化吸収障害の存在が示唆されますので、食事と食事の間隔をあけて消化管を休ませる時間を確保することも考慮する必要があると思います。具体的には1日3食を1日2食、1日1食にしたりしてみる事です。なお上述の基本は変わりません。御参考になれば幸いです。
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