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人間の基本的な働きを忘れない

category - ふと思った事
2017/ 04/ 12
                 
今働いている病院のカルテは昔ながらの紙カルテです。

もしかしたら今若手の医師達で電子カルテしか経験したことがないという人も珍しくないかもしれませんが、

私は幸いにも紙カルテも電子カルテも両方をそれなりに経験している医師です。ただ紙カルテを扱うのは随分久しぶりでした。

久しぶりに紙カルテに文章を書いていると、普段自分がいかに文章を書くという作業から離れていたかという事を痛感させられます。

また、もともと綺麗な字ではないですが、より一層自分の字が汚くなったようにも思えました。

やはり普段使わない機能は廃れていくというのが世の常なのだと思います。
            

この話を少し汎用的に捉えてみると、

便利を追求することは、裏を返せば今まで使用していた機能を使わなくなるという事につながるのではないかと思うのです。

車や電車が生み出されて移動は楽になったが歩かなくなった、

スマホが普及して通信は便利になったが直接会って会話しなくなった、

インターネットが発達して調べものをするのは楽になったが、図書館に行って一つ一つ丁寧に調べ上げる機会は少なくなった、

何かを手に入れたら、同時に何かを失ってしまうという共通構造がそこにはあるように思うのです。

もしも将来、万病を治す薬が開発されたとすれば、その時人は食事や運動の大切さを忘れてしまうかもしれません。

未来人は頭ばかりが大きくなって手足はほんのちょっとしかついてない形になるというブラックジョークも聞いた事があります。

便利にはよい側面もあるが、同時に悪い側面もあります。

便利にかまけて基本的な人間の働きを忘れてしまうことだけは避けたいと私は思います。


たがしゅう

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コメント

非公開コメント
        

同感です。
毎日、先生blogを読むのが楽しい習慣になりました。
先生の椅子の話もしかり、『あると便利』は『無くても困らない』だと思います。とは言え利用してしまうものもありますが…。できるだけ自分自身の体と頭をフルに使いたいと日々思っています。

話はそれてしまいますが、以前、主治医から多少とも炭水化物を摂らないと膵臓がそれになれてしまいインスリンを出せなくなる、と言われた事がありました。先生はどのようにお考えになりますか。
よろしくお願いします。
Re: 同感です。
花鳥船月 さん

御質問頂き有難うございます。

> 以前、主治医から多少とも炭水化物を摂らないと膵臓がそれになれてしまいインスリンを出せなくなる、と言われた事がありました。先生はどのようにお考えになりますか。

1型糖尿病などの疾患背景がない限り、炭水化物を摂取していなくても生命維持のための基礎インスリンは常に分泌されています。基本的な機能は保たれているので炭水化物を摂らないせいでインスリンが出せなくなるということはありません。もしインスリンが出せないと言うのなら穀物を摂取できなかった時代の我々の祖先が生き延びる事ができたはずもありません。
手書きカルテ
 私は現在、電子カルテの病院に勤務しています。先日、かつて勤務していた病院に現在勤務中の医師に研修会で会いました。勤務した時期は全く違う者同志ですが、私のことは、昔の手書きカルテで拝見してくれているそうです

 なるほど、手書きカルテは筆跡が残り、それから本人のキャラクターまで想像できるのです。電子カルテに無い一面をみることができました。
Re: 手書きカルテ
精神科医師A 先生

コメント頂き有難うございます。

確かに、前の先生が書き残した紙カルテの筆跡からキャラクターを想像したりすることはありますね。
走り書きのような文字の医師はいい加減だったのかなと思いますし、女医さんの綺麗な文字のカルテを見ると丁寧な人だったんだろうなと正直思ったりします。
それが真実かどうかは別として、自分が書いたカルテも人からそう思われるのだという事を意識して、襟を正して日々カルテを書いていきたいと思います。
なるほどです。。
便利を追及すれば何かを失う。
とても共感のできる言葉です。
実際にそう感じた瞬間がありまして
思い出そうとしたことを考える前に携帯で調べていた事が多々あります。

ある意味、こういう所ではAIに支配される時が来る
というのは正しいのかもしれませんねw

Re: なるほどです。。
poker さん

コメント頂き有難うございます。

私も最近調べ物はネットに頼りきりで、図書館で調べ物をする事などめっきりなくなりました。
それが習慣化する事で自力で思い出す力が衰えてしまっている側面はあるかもしれません。