小規模病院の魅力
2017/04/11 00:00:01 |
自分のこと |
コメント:4件
先日、私が新しく勤める病院の初出勤日でした。
回復期と療養の80床程の病床を持つ比較的規模の小さい病院でこれから内科医として勤務します。
私は、ここに行き着くまでに様々な規模の病院に勤務してきましたが、
最も自分の意見が反映されやすいと感じたのは小さな規模の病院でした。
世間的には大きな病院に勤める方が安心で保障もあると思われるかもしれませんが、
大きな病院と小さな病院とではその性質も果たす役割もまったく異なるという事を理解しておく必要があると思います。 「こどもは"小さな大人"ではない」という小児科診療の難しさを象徴する言葉がありますが、
それと同じように小規模病院を「大規模病院の規模が小さいところ」と把握している限り本質を理解することはできません。
小規模病院は小規模病院なりの特質というものがあるし、逆にそれがない小規模病院は何か自分達ならではの色を出していくべきだと思うのです。
小規模病院の一番の魅力はその垣根の低さです。
大規模病院であれば同じ職場に勤めていながらも一回も顔を合わせた事がない人がいることなどざらにあります。
しかし小規模病院であれば職員同士が顔を突き合わせる機会も頻度も、大病院のそれと比べて圧倒的に多くなります。
そうして顔の見える関係どうしの集団であれば、より質の高いチーム医療が展開しやすくなるのではないでしょうか。
また新しい事を始めようとする場合も、小規模病院の方が大規模病院に比べて有利です。
もしも大規模病院で糖質制限のような新しい食事療法を取り入れようとすれば、
関係各所さまざまな部署へ許可を取ったり、書類を作ったり、委員会にかけたりと様々な制約がどうしてもかかります。
そのため新しい事をするにしても、今までやってきた事の延長戦上にある事にしか手が出しにくくなります。
ところが小規模病院であれば、大規模病院での制約に比べれば少ないですし、
先ほどのように顔の見える関係であれば、書面では現れにくい熱い想いなどもより伝えやすくなります。
糖質制限を広めていくには小規模病院の方が圧倒的に有利なのです。
もちろん開業すれば一国一城の主となり、より自由度は高まるのでしょうけれど、病院でなければできない事もあります。
この新しい環境で仲間と協力し合いながら自分にできること、
これからゆっくりと模索していきたいと考えています。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
応援しています
理想の医療に向けた新たなスタートですね。
陰ながら応援させていただきます。
小規模ならではの発見や困難もあると思います。
それらのすべてが貴重な経験になりますように。
Re: 応援しています
応援頂き有難うございます。
あせらずゆっくりと自分にできる事を着実に積み重ねていきたいと思います。
高雄病院の例
その後高雄病院は、病院給食に玄米食をとりいれ、さらには糖質制限食にまで発展させました
それがどうしてできたかというと、結局は小規模病院だからです。医師個人の意見が反映されやすいからです
かくいう私も、今の勤務病院では糖質制限食を実行できません。医師一人の意見で病院全体の給食システムを変えることはできないからです
一方、コウノメソッドは実行に移せています。すでに病院にある薬を使うのなら、医師一人の決定ですべてできるからです。
Re: 高雄病院の例
コメント頂き有難うございます。
その通りと思います。
糖質制限も湿潤療法も病院のシステムごと抜本的改革が必要ですが、
コウノメソッドや漢方はいわば医師個人の処方術なので、従来システムとの共存が可能という構造になっているのだと思います。
その意味で高雄病院は一つのモデルケースです。そのやり方を参考に、一方で自分達のオリジナリティも出していきたいと考えています。
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