経営方針から欲望が垣間見える
2017/04/04 00:00:01 |
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コメント:15件
先日、友人の勧めあって島根県安来市にある足立美術館へ行って参りました。
山の麓に位置し広大な敷地を持つこちらの美術館は、日本庭園と日本画の展示を2つの大きな特徴としています。
私が自分の意志で美術館に訪れたのは、相田みつを美術館に続いて人生で2回目です。
我ながら高尚な趣味を持つようになったものだと驚きますが、そこは美術館初心者です。
芸術作品の鑑賞には慣れていないので、正しく作品に込められた想いが理解してできるかどうかわかりませんが、
それでも自分なりに楽しもうと思って休日時間を利用し、朝の10時から満足するまで観ていこうという心づもりで入館しました。 美しい日本庭園を眺めたり、日本の美術界に大きな影響を与えた明治〜昭和の時代に活躍した美術家達の作品を鑑賞したり、
立派な施設に様々な種類の作品達に見入るのに没頭してしまい、気が付けば美術館を出るのは夕方4時になってしまっていました。
1-2時間くらいで帰ろうかなと思っていたのに、結果的には私は美術館をものすごく楽しめたんじゃないかと思いました。
休日とはいえ、私以外にもかなりの観覧客が訪れていて、この美術館の人気ぶりをうかがうことができました。
中でも一際目を引いたのが天才美術家、横山大観の作品群です。私は作品もさることながら、この横山大観という人物像に興味を持ちましたので、これは後日記事にしたいと思いますが、
その前に本日はこの美術館の経営姿勢についての私見を述べたいと思います。
現金な話ではありますが、この足立美術館の大人1名の入館料は2300円でした。
相田みつを美術館が800円(QRコード割引で600円)であった事を思うと随分高い印象を受けましたが、
高額な美術作品を多数展示している美術館でこの金額設定は仕方がないのかなとその場はさらっと流していました。
続いて美術館を進んでいると、音声ガイドなる小型の機械を耳に当てて作品を鑑賞している人達の姿を散見しました。
まぁ別にいいのですが、ここでも私はちょっと違和感です。
そして美術館の中には喫茶店があり、美しい庭を眺めながらくつろげるというのが売りにされていましたが、
そこでのコーヒーは1杯1000円という値段設定でした。
私はこの美術館の経営方針は信念が先なのか、欲望が先なのかという事に思いを巡らせてみました。
始まりはこの美術館の創設者、足立全康氏が不動産業などの傍ら趣味の美術品集めの中で出会った横山大観の作品に惚れ込んで、
世界中を回って横山大観の作品集めに力を注ぎ、それら集めた作品達で故郷に恩返しがしたいというのが創立当初の想いであったそうです。
これだけ聞けば横山大観らの作品の良さを、故郷を中心に様々な人達に知ってもらいたいという信念が感じられます。
しかし全康氏は1990年に92歳で亡くなられており、その信念はきちんと引き継がれているのだろうかと疑問を感じるのです。
日本一の庭園と称される見事な庭や名美術家横山大観らの作品群に価値を見出し、
多少料金が高くても支払ってくれるお客さんは確かにたくさんいるでしょう。実際たくさんのお客さんが来ていました。
しかしより多くの人達に作品の魅力を伝えたいと本当に思うなら、料金設定を高くすることはそれに相反する行為であるように思うのです。
純粋に作品の良さを伝えたいなら音声ガイドという小細工をせずとも、きちんと文章で書いていればいいだけのことだし、
目の見えない人達のためだというなら無料で貸しだせばいいのにそれをしないということは、
この美術館の経営方針が信念よりも欲望優先になってしまっているのではないかと私は思いました。
美術館ビギナーの私には美術館入館料の相場がわからないので、「こんなものですよ」という意見もあるかもしれませんが、
それにしてもコーヒー1000円は高すぎです。そんなの飲みたくても飲みません。
美術館の経営者には値段設定によって客にそんな心象を与えうるのだという事を知ってもらいたいのと同時に、
明日は我が身。私が何か新しいサービスを提供する場合にもその事は意識しておかなければならないと思いました。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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そうでしょうか
さて、足立美術館ですが、金額設定が高いというのは正直思います。
しかし私立の美術館です。そして、現在の様々な商品に関する安売り風潮は搾取ではないかと思います。従業員の待遇を守り、相応の賃金と福利厚生をするためには必要なのかもしれないと思います。足立美術館も年間パスポートを使えば安くなりますし、地元民には安いチケットも出しているはずです。
人件費の高い日本で、従業員を教育し、あれだけの庭の世話などをしようと思ったら、人海戦術しかありません。人件費は必要だと思います。
やすければ何でもよいということではないと思います。芸術鑑賞がもっと広まるために安いほうがよいというのは分かりますが、それは公営の博物館・美術館でよいと思います。
たがしゅう様も経営についてはサービスだけに終始するのではなく、自分たちの生活や体を守ることもよくお考えください。低賃金過剰労働では生活や勉強に費やすお金や時間が無くなります。
足立美術館でお茶を飲もうという気は私の経済力では無理ですし、やろうとは思いませんから、その時は水筒やおやつを持って行き、駐車場の車で飲食しています。また周囲の飲食業のお店を利用してもよいと思います。
Re: 変換ミスです
御指摘頂き有難うございます。修正しておきます。
Re: そうでしょうか
コメント頂き有難うございます。
なるほど。ごもっともな御意見ですね。
高すぎてもダメ、安すぎてもダメ、その丁度良いところを探すという視点の一方で
質の高いサービスであれば、高い料金設定は構わないとは私も思います。
確かに私立であれば何をどうしようと経営者の自由、それがダメな内容なら自然淘汰されるはずなのでうまく行っている経営に他人にしのごの言われる筋合いはないのでしょうが、学ぶべきところがあると思いました。
管理人のみ閲覧できます
Re: こんにちは。
コメント頂き有難うございます。
また少しでもお役に立てて嬉しい限りです。
当日は何卒宜しくお願い申し上げます。
1000円のコーヒー、飲みたいです。
1000円のコーヒー、私なら飲みたい気がします。
どんな豆を使っているのか聞いたり、どんな高価なカップか聞いたり、ウェイトレスさんたちの制服や室内の調度品や見える景色を楽しんで、五感を総動員してコーヒーを味わいたいです。
何よりも、1000円のコーヒーを飲んだというお話のネタができるでしょ。
1000円のコーヒーを飲んだという経験を買う?
Re: 1000円のコーヒー、飲みたいです。
コメント頂き有難うございます。
なるほど、同じ料金を見ても人によって受ける印象は変わるものですね。
私はあまりコーヒーを飲む習慣がないというのも関係しているかもしれません。
私の場合は1000円の価値より、1000円のあざとさにどうしても目が行ってしまいます。実際に飲めば感想が変わる可能性までは否定しませんが。
No title
私は思い切って飲んでみました。
取り立ててコーヒー通でもありませんが、長く見ていたので、休みたい気分になったのです。
いかんせんその時も大勢の観光客で休めるスペースが少なかったのです。
確かに高いなとは思ったのですが、そのゆったりした空間、一段ときれいに見える庭、きれいな器など、1000円の価値はあるかもと、思いました。
同時にその時、紅葉の盛りで、別室でうす茶をたてていただく、というのもあったのですが、そちらはなんと2000円料金がかかり、ぜいたくすぎると断念いたしました。そちらの日本間に入ると、紅葉が独り占めになれたそうです。が、その他の部分でも十分きれいでしたので、やめました。
<地獄の沙汰も金次第>に通じるかもです。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
そうですね。コーヒー自体に1000円の価値がなくとも、その美しい場でコーヒーが飲めるという事に1000円の価値はあるかもしれません。
高い価格設定でも消費者にそれを払うだけの価値があると思ってもらえれば、需要と供給のバランスは整うという事なのでしょうね。
あまりにひどい記事
この記事書いたのは、ブロガーとして最低最悪です。
1000円のコーヒーが高いとの賜り、その上で、そのコーヒーを飲んでもいなく、
「経営方針から欲望が垣間見える経営方針から欲望が垣間見える」
とタイトルするのは、まるでこれぽっちも社会常識のない神経内科医です。
この記事、1000円を出してコーヒーを飲んでから高い安いを書くのであれば問題ないです。
ですが、飲んでもいなく、ご自分の主観のみで、高すぎると断罪し、
「経営方針から欲望が垣間見える経営方針から欲望が垣間見える」
と、タイトルで言い放ち、全世界に物申すのは、あまりにひどい記事です。
たとえば、たがしゅうさんが本を出版し、その本が10000円するとします。
この本を、誰かが、あまりに高すぎると批判し、読まずに高すぎる酷い本であると記事を書くの何ら変わりありません。
このままでは、この際、ブロガーをやめるべきです。
Re: あまりにひどい記事
率直な御意見を頂き有難うございます。
私の記事を最低最悪だと受け止められたWagaさんのお気持ちを否定はしません。
ですが、社会常識のない神経内科医とか、ブロガーをやめるべきだというような御意見は筋違いだと思います。
コーヒー1000円という料金設定で私が高いという印象を持った事は紛れもない事実です。同じ状況でも300円だったらそのような印象は持たなかっただろうし、記事にもしなかったと思います。もし10000円の本を出版したら読まずにひどい本だと誰かにブログで書かれるリスクは当然あるでしょう。つまり料金設定は人の行動に影響をもたらしうるということです。
またコーヒーを飲まずに批判してはいけないという話と、本を読まずに批判してはいけないという話を同列には語れないと思います。確かに読んでいない本の内容をわかったかのように語ってはいけないとは思いますが、その店が特別なコーヒーだと銘打っているのならまだしも、一般的なコーヒーであれば今までの経験で味の想像はつくと思います。
Re: Re: あまりにひどい記事
味だけがコーヒーの値段なのですね。
あまりに社会常識にかけると思います。
記事の中で、
> そして美術館の中には喫茶店があり、美しい庭を眺めながらくつろげるというのが売りにされていましたが、
とあります。
これだけで、その店が特別なコーヒーだと銘打っているのに必要十分です。
東京銀座では、1000円のコーヒーはごく普通のことです。
つまり、たがしゅうさんは、コーヒーの味のみに着目して、足立美術館という実名を出し、
その上で、「経営方針から欲望が垣間見える」というタイトルをつけて批判した記事を書いたのです。
Re: Re: あまりにひどい記事
わたしは、wagaさんほどダイレクトではありませんが、おおむねwagaさんと同意見です。
たがしゅうさまは、金持ち、および、金を儲ける人の対する偏見があるようにかんじましょた。
皆が喜びその上でお金を儲けることは悪いことではないように私は思います。
Re: Re: Re: あまりにひどい記事
率直な御意見を頂き有難うございます。
私は儲けること自体を否定しているのではありません。
また金持ちに対して僻みで言っているわけでも決してありません。
料金の設定や経営方針によって本意が伝わらなくなることもあるという事を言いたかった次第です。
ですが複数の読者から指摘を受けるという事は表現が不適切であったかもしれません。100%読者に齟齬なく伝えるのは無理だとわきまえてはおりますが、できるだけ誤解を与えない表現を今後も工夫していきたいと思います。
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