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警告システムがオーバーヒートする前に
血液検査や画像検査などでいろいろな病気を確認する事ができるようになりました。
しかしそうした技術がまだ発達していない先史時代には人類はどうしていたのでしょうか。
それは身体で文字通り”身をもって”感じる事のできる警告症状を大事にしていたのではないかと思います。
疲れを感じたら休む、不味い味を感じたらそれ以上食べない、痛みを感じたら動くのを止める、などなど
誰に教わらなくともその症状を感じたら自然と身体が適切な方向へ向かうようになる所に、警告症状の意義があると思います。
ところが、何らかの原因でその警告症状を無視してその行動を取り続ければ、
はたして、どういう事が起こるでしょうか。
警告症状をきたすシステムはやがてオーバーヒートして、
その意義を失い、ただひたすら害悪をもたらすだけのシステムに変貌してしまいます。
一番わかりやすいのは、がんによる痛みです。
がんによる痛みはもはや警告症状の域を超えて休もうが何をしようが痛み続ける痛みシステムのオーバーヒート状態と言えるでしょう。
このようなシステムのオーバーヒート状態には人為を加えて状態を鎮静化させる必要があると私は思います。
すなわち、この時にこそ対症療法の存在意義が如何なく発揮されるというわけです。
がんによる痛みの場合は、当座モルヒネなどを用いて鎮痛するのが対症療法です。
それと同時になぜがんが起こったのかを考え、それに対処していくアプローチが根治療法です。
システムがオーバーヒートしていないうちは根治療法単独で充分ですが、
オーバーヒートしてしまうくらい病態がこじれてしまった場合は、対症療法と根治療法の両方を組み合わせて治療を行っていく必要があると思います。
先日サプリメントは対症療法だという話をしましたが、
漢方や鍼灸なども私は優れた対症療法だと思っています。
しかしいずれも根治療法ではないということを自覚しておく必要があります。
根治に至るためには外に原因を求めるのではなく、
むしろ自分の内側に原因があるという事に真摯に向き合う必要があると私は思っています。
そもそもなぜシステムはオーバーヒートしてしまうのでしょう。
機械で考えれば、システムがオーバーヒートしてしまうのは、システムを使い過ぎた時だと相場が決まってます。
先史時代には当たり前のようにできていたことが、
ストレス社会と呼ばれる現代においてはできなくなっている状況はないでしょうか。
休みたいけれど仕事があるから休めない、食べるのを止めたいけどコンビニがあるからついつい食べてしまう、痛くてもみんなが働いているからついつい無理してしまう・・・
何もないのにシステムがオーバーヒートすることはないと思います。
システムをオーバーヒートしてしまう前に、自分の過ちに気付いて軌道修正することが大事です。
それでもシステムをオーバーヒートさせてしまった人を救えるように、
私達はあらゆる対症療法に習熟する必要があると思っています。
たがしゅう
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