めでたいこともストレスになりうる
2017/03/14 00:00:01 |
普段の診療より |
コメント:2件
抗不安薬などの依存性のある向精神薬を、
医師から気軽に処方され続けて依存症に陥ってしまっている患者さんは結構おられます。
きっかけは誰にでも起こり得る人生の中でのショックな出来事や人間関係などのトラブルであったりするのに、
その解決を薬に頼ってしまったがために薬から離れられなくなり人生が変わってしまう人は決して少なくありません。
薬はあくまでも緊急避難的で一時的な方法だという事を肝に銘じ、
漫然に使用し続けるという事を医師も患者も厳に慎まなければならないと私は思っています。
そしてこうしたきっかけになる事は、何も悲しい出来事ばかりではありません。 先日、とある抗不安薬が止められない50代女性の患者さんに、
その薬を飲み始めたきっかけを尋ねてみたところ、息子の結婚式でお相手の家の人達に相当気を遣わなければならなかった事だと教えてもらいました。
本来親としては喜ぶべき息子の結婚ですが、その方はどうやら相手の家柄が自分達とは異なる大層裕福な御家庭だと感じられたようで、
いろいろなことに気を遣い過ぎて心労で重なり、動悸がして倒れそうになり、
あわてて医者へ受診して抗不安薬を処方されたのが最初だったということのようでした。
とりあえず、今あるこの症状を何とかしてほしいという点で即効性のある西洋薬を用いるというのはやむを得ないという事も確かにあるかもしれません。
しかし、その後のフォローアップがなされず、医師がたいして事情を聴く事もなく、解決策を提案する事もなく、
ただ漫然と抗不安薬が処方され続けている事が非常に多いのではないでしょうか。
この患者さんの場合は、相手との家柄が違うと感じたのはあくまでその患者さんの中で作り出された価値観です。
実際には家柄が違うのは当たり前の事ですし、違ったからと言って時間をかけて交流していく事で打ち解けていく事もあるでしょう。
時間が解決するという事をしっかりと伝えて、薬がなくともストレスに対抗できるようになるために、
糖質制限を実践したり、ストレスマネジメントの方法を提案したりするという事が
本来すべき事なのではないかと私は思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
身体のだるさが取れないので、独断で薬を止めました。
3日間ほどは不眠状態でしたが、身体のだるさがなくなり「うつ」も完治しました。
あの薬は何だったんでしょう?
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
自分の身体を信じて行動されたのが良かったと思います。
安定剤と言えば聞こえがいいですが、決して心のトラブルを治すような性質のものではないという事を知っておく必要があると思います。
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