ストレスを抱えて断食してはいけない
2017/03/12 00:00:01 |
ストレスマネジメント |
コメント:6件
今日は断食でうまくいく場合とそうでない場合との違いについて考えてみます。
以前私が断食道場に参加した際に、指導者の方から注意事項として低血糖についての話がありました。
断食中に気分不良や冷や汗、吐き気が出たら低血糖の症状の可能性があるので、
そうした事を感じる場合は特製の生姜湯を飲み、よくならなければ相談するように、とのことでした。
断食中に低血糖症状がでるのは身体の代謝システムを糖代謝からケトン代謝へと急激に切り替える事によって、
ケトン代謝のいきなりの利用に身体が適応できない時に起こる現象と私は考えています。
だから高糖質食からいきなり断食に持っていくのは、ある意味最もやってはいけない行為だと思います。 ゆえにケトン代謝を利用する糖質制限から始め、そこから断食に持っていく方が身体に対する負担が少ないというのは合理的な戦略ではないでしょうか。
では糖質制限から断食をすれば安全なのかと言えば、もう一つ注意点があります。
それはいかなる場合であっても、「自らが望んでいないのに無理矢理断食をさせてはいけない」ということです。
なぜならば、無理に断食させれば身体はストレスを感じます。
ストレスを感じれば身体からコルチゾールやノルアドレナリンなどのストレスホルモンが分泌されます。これらは血糖上昇ホルモンです。
ストレスホルモンはストレスフルな環境に対して、付け焼き刃的なエネルギーを作る糖代謝を臨時駆動させる事によって苦境を乗り切ろうとさせるホルモンだと言えます。
ということは無理に断食を続ければ、その事をストレスに感じ続け、絶食状態にも関わらず糖代謝からケトン代謝への切り替えがなかなかうまくいかないまま時間が過ぎていくということになってしまいます。
しかも無理に自分が決めたノルマまで持っていったり、あるいは誰かに無理矢理断食をさせられたりする状況は、
たとえ糖質制限をベースにしていても危うさのある状況だと言えると思います。
無理に行うという観点さえなければ、自分の判断でまずいと思えばいつでも引き返す事ができます。
それに食べなければ食べないほどいいというものでもありません。
食べない事がそんなによいのなら、「拒食症」という病態が存在するはずもありません。
要は「食べることと食べないことのバランスをいかにとるか」ということが大事なのです。
従って、糖質制限断食においても忘れてはいけないのは「ストレスマネジメント」、
ヤバいと思えば引き返す臨機応変さがなければ、断食に手を出してはいけないと私は思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
復食について
それが修行ならば、いいのですが我々俗世に生きる者は断食を行うことで、体質の改善や健康増進という目的があるので、精神論とは距離を置きたいと考えます。
糖質制限で、血糖値の乱高下コントロールして(ケトン体質は言い過ぎなので自粛)いれば、復食も通常の食事も淡々といただくだけ。というのが自然だと感じています。
Re: 復食について
コメント頂き有難うございます。
確かに健康保持のための運動と何かを成し遂げるための運動が違うように、
健康保持の為の断食と治療としての断食は意味合いもアプローチも変わってくると思います。
私達がこれからすべきことの一つは断食の有効性や安全性を根拠をもって確立していくことだと思っています。
離脱・その後の過敏期
30年来のスギ花粉症なのですが、3年前からのビタミンDに加え、1ヵ月前からBスポット治療を数回加えたところ80~90%改善して苦しくないこの時期を過ごしております。Bスポット治療は子宮頸がんワクチン被害者会の情報から知りました。
アレルギーお宅のテラエコロジーです。
環境医学では断食で起こる通過事例を観察しております。それは「離脱」とよばれ、麻薬中毒の離脱ととても似ているようです。
環境医学者はそれを知っているので、断食を食物アレルギーで激しい症状が起こる人に行う場合は本人同意の元に拘束服を使用します。自傷他害を防ぐためです。
長年環境医学をトレースしてきた私としては最近の糖質制限食や機能性低血糖症について穀物アレルギーと砂糖アレルギー(サトウキビ・コーンシュガーなどの)区別がされていないのを危惧しております。
また、アレルゲンの食物を除去することで離脱が起きた後、非常に敏感にアレルゲンに反応する時期があることも何らしられていません。何年か前に断食で死亡例があったのも、その食の戻しでアレルゲンを知らないまま食べさせたのが原因だと考えられます。
No title
今日で断食丸3週間です。
と言っても、出し昆布入り具なし味噌汁を1日2~3杯と生クリーム入りコーヒーを3杯飲んでます。
後は海塩を舐めながら水を2~3リットルほど。
MECをみっちり1年半で10キロ増量し、万策尽きてとうとう踏み切りました。
今6キロほど落ちて、むくみが軽くなり体調はいいです。
仕事をしながらですが空腹感はおもったより軽いです。
時々お腹がグググ~~~となりますが。
実は3年前に人参りんごジュース断食で13キロ落としたのですが、体が冷えてきて止めました。
当時は動物性たんぱく質や脂質をほとんど摂らず、糖質中心だったので、あっという間にリバウンドしました。
今はMECで貧血も改善し栄養状態もかなり良くなってると思います。
こんなに続けるつもりはなかったのですが、まあやれるだけやろうかという気になっています。
無理に食べるのを我慢するつもりは毛頭ありません。
よっぽどエネルギーを蓄えているんでしょうね(笑)。
ちなみに55才になり閉経しかかっていますが、いわゆる更年期障害の症状は全くありません。
髪も抜け毛がほとんどなく肌もノーケアで潤っております。
元々が心身ともに頑強なタイプなんでしょうね。
しっかり我が身を観察しながら実験を続けたいと思います。
Re: 離脱・その後の過敏期
コメント頂き有難うございます。
高糖質食からの断食後に時折みられる低血糖様のトラブルは、向精神薬の急激な断薬後にみられる離脱症状と共通構造を持っているのかもしれません。
アレルゲンに注目する「木を見る観点」と、依存そのものに注目する「森を見る観点」、両方の視点に注目する事が断食や断薬を考える上で大事な事であるように思います。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
3週間断食、うまく行っているようで何よりです。
また、私の提案する断食の注意点もわきまえた上で実践なさっている点も素晴らしいと思います。
おそらく実際にやってみてこそわかった事があるのではないでしょうか。
もし何か気づきなどございましたら、是非ともシェアして頂けると喜びます。
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