ストレス対処行動の男女差
2017/02/11 00:00:01 |
医療ニュース |
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動物のオスは思春期の危険行動を起こしやすい傾向があるということ、
それにエストロゲンから学ぶメスの生命の本質を守ろうとする意図があるのではないかという自分の見解を先日記事にしました。
この観点でみていくと、世の中の様々な病気の男女差について今までとは違った世界が開けてきます。
今回も紹介するのは毎度おなじみケアネットニュースから以下の記事です。
うつ病、男女間で異なる特徴とは
提供元:
ケアネット
公開日:2017/02/08
(以下、引用)
いくつかの研究によると、男女間でうつ病に関連した異なる症状が報告されているが、
この関連を分析したシステマティックレビューやメタアナリシスはパブリッシュされていない。
オーストラリア・Illawarra Health & Medical Research InstituteのAnna Cavanagh氏らは、
うつ病に関連する症状の性差のエビデンスをレビューした。Harvard review of psychiatry誌2017年1・2月号の報告。
PubMed、Cochrane、PsycINFOのデータベースとリファレンスリストを調べた。32研究が基準を満たした。
単極性うつ病の臨床サンプルおよびコミュニティサンプル10万8,260人を含んだ。
32研究のすべてにおいて質を評価し、出版バイアスについて検討した。
性差の影響を評価するため、32研究より抽出された26症状についてメタ解析を行った。
主な結果は以下のとおり。
・本研究では、少数で重要な性別といくつかの症状との関連が示された。
・うつ病男性は、女性と比較し、アルコールや薬物乱用(Hedges's g:0.26、95%CI:0.11~0.42)、リスクテイキング、脆弱な衝動性コントロール(g:0.58、95%CI:0.47~0.69)と関連していた。
・うつ病女性は、抑うつ気分のようなうつ病の診断基準に含まれる症状(g:-0.20、95%CI:-0.33~-0.08)、摂食障害や体重変化(g:-0.20、95%CI:-0.28~-0.11)、睡眠障害(g:-0.11、95%CI:-0.19~-0.03)と関連していた。
著者らは「本結果は、物質使用と気分障害の有病率における性差に関する既存の研究結果と一致する。
男性のうつ病を評価する際には、物質乱用、リスクテイキング、脆弱な衝動性コントロールをスクリーニングすることの有用性が強調される。
うつ病と併存症状に関する性差を明らかにするためにも、今後の研究が必要とされる」としている。
(引用、ここまで)
うつ病に対する性差の現状をありのままに調べた観察研究報告で、
バイアスにも配慮がされているようですし、製薬会社の販促戦略が入る余地もなさそうです。
ひとまずこの研究結果を事実として捉え、研究者の解釈に惑わされず、自分の頭で考えて解釈してみましょう。
男性は身体にストレスを感じた時の解消を、
どこか外部の危険行動に求めているようね節があるように思えます。
世の中を見渡せば、確かにアルコールやパチンコ、競馬などのギャンブルにはまるのは男性の方が多いような印象を受けます。
アルコールはいわば天才促進的な作用があると私は以前考えましたが、
本質的に危険行動を求めている男性にはこれらの刺激が魅力的にうつりやすいのかもしれません。
そしてその危険行動によってストレスが発散できればよいですが、
発散できなかった時に、自らのキャパシティを超えてストレスを抱え込んでしまい、うつ病へと移行するのかもしれません。
もちろん絶対的なものではありません。あくまで傾向です。
例えば、私は男性ですが、アルコールにはそこまではまりません。
たまには家で飲んでもみるかと買った糖質ゼロ発泡酒を、やっぱり飲む気がしないということで一年冷蔵庫に寝かしたままにするような人間です。
男性だけど女性の傾向を持つ、女性だけど男性の傾向を持つ、その両方の性質をバランスよく持っている、
自然はいろいろなパターンを産み出して然るべきシステムなのだと思います。
そういうバリエーションはひとまず置いておき、女性の傾向についても考えてみます。
女性は生命を守る本質があるため、外部の危険行動には極力手を出さないようにします。
その結果、ストレスを自分の中だけで処理しようと試みます。いわばセルフストレスマネジメントです。
その方向性は食べるとか寝るとかいう人間の本能的行動の方へと向かいやすく、
そこに手っ取り早くおいしさを感じ、手っ取り早く眠りやすくなる糖質という存在が目に入れば、ストレスを解消するためにはまってしまいやすいのかもしれません。
そうやって考えると、女性に甘いものが好きな人が多い理由も何となく見えてくるように思えます。
そしてそのストレス解消のキャパシティを超えるほど、ストレスを抱え込んでしまった場合に、
女性もうつ病となり、その症状は摂食異常や体重変化、あるいは睡眠異常といった所に現れやすいのではないかと思うのです。
つまりまとめれば、
ストレス対処行動を外に求めるオスらしさ、内に求めるメスらしさというものがある、ということです。
そしてそれらは絶対的なものではなく、あくまで傾向であり実際にはバリエーションがあると理解しておくことです。
研究者は男性のうつ病を評価する時にリスクテイキングの評価もした方がよいという見解を示していますが、
もっと大切なことは、その人のストレス対処行動が正しくストレスを処理できているかを考えることだと思います。
その結果、正しくストレスマネジメントができていないのだとすれば、
どうすればよいのかを一緒に考えられるようになりたいです。
たがしゅう
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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