真面目なだけでは長生きできない

2017/01/14 00:00:01 | ストレスマネジメント | コメント:2件

最近ストレスマネジメントに注目し続けていますが、

長寿と性格との関連に関する次のような医療ニュースが目に入ってきました。

長寿研究 離婚で死亡リスク3倍、がん患者にはいい人多い
NEWS ポストセブン 1/9(月) 7:00配信


(以下、引用)

性格と長寿の相関関係をめぐっては、多くの研究成果が報告されている。

日本人の死因1位のがんについても、性格は無関係ではないとする研究が複数ある。

1979年にカリフォルニア大学の心理学者リディア・テモショック氏がメラノーマ(悪性黒色腫)専門のクリニックで、がんに関係する性格を調査した。

すると「メラノーマ患者のほとんどが極端にいい人」であるとの結果が出た。

この研究では、患者への面談調査によって、その性格を分類、分析していった。

その結果、怒りを表に出さない、人付き合いに我慢強い、周囲の望む行動をとろうとする、などの特徴のある人が多数を占めたというのである。

「自分より相手を優先し過ぎる人に典型的なもので、自己抑制が強すぎることでストレスを溜め込み、免疫に影響すると考えられています。ただし現状では全てのがんではなく、メラノーマや乳がんなど、特定のがんで認められている」(精神科医で岡田クリニック院長の岡田尊司氏)

◆離婚すると死亡リスクが3倍になる

2004年にコペンハーゲン大学を中心としたグループは、離婚した男性の死亡リスクがそうでない男性に比べて3.1倍高まると発表した。

では日本ではどうか。妻のいる40歳時点の男性の平均余命は38.4歳(1995年)。これに対し離婚した男性では28.7歳と、なんと9.7歳も余命が縮まったのだ。データを示した岡田氏がいう。

「逆にいえば、家庭生活が安定した人は離婚した人より10年も長生きだったことになります。アメリカの心臓外科医、メイヤー・フリードマン氏が調査によって導き出した『真面目な人が長生きする』というメカニズムにも関わってきますが、そういうタイプの人は結婚生活が長続きしやすい。先ほど述べた対人関係での『愛着』が、家族との間でうまく働いていることも長生きすることの大きな原因だと考えられます」

生まれつき与えられた性格を自分で変えることは簡単ではない一方、家族や同僚との関係から少しずつ変えられることもある。

絆の結び方を考えることが、長寿につながる──「長生きと性格」の関係を追った諸研究からは、そんな命題が見えてくる。



まずメラノーマと言えば、皮膚のほくろのがんで非常に悪性度が高く転移しやすいという事で知られています。

極端にいい人が皆メラノーマになりやすいというわけではないと思いますが、

少なくともメラノーマになった人から見れば極端にいい人が多かったとの話は非常に興味深いです。

ここで言う「いい人」とは本文で紹介されているように、怒りを表に出さない、人付き合いに我慢強い、周囲の望む行動をとろうとする「真面目な人」と見ることもできます。

「いい人」と言えば聞こえはいいですが、言い換えればストレスを全部自分の内側に抱え込んでしまう、いわばストレスマネジメントが上手でない人です。

すべてというわけではありませんが、ある種のがんとストレスマネジメントの関連が示された形になるのではないでしょうか。

じゃあ、「真面目な人は短命なのか」と言われればそういうわけでもありません。

後半のデータでは安定した結婚生活を送る「真面目な人」は、同じく結婚するも離婚してしまった人よりも長生きだという事を示しており、

おなじ「真面目な人」といっても中身によって長生きだったり、がんにかかったりそのパターンはいろいろであるようです。

結婚と長寿ということで言うと思い出すのは、世界最高齢116歳の女性が述べた長寿の秘訣、「離婚した後、生涯独身を貫いたこと」です。

そうした事を考えると結婚、離婚が長寿に関係するというよりも、「結婚・離婚をどのように捉えるか」という事が寿命に関係しているように私には思えます。


さらには「真面目な人は長生き」だとするこんなニュースもありました。

性格と長寿研究、「陽気な人」より「真面目な人」が長生き
NEWSポストセブン 2017.01.05 16:00


(以下、引用)

近年、「性格」と「長寿」の相関関係を巡っては、世界中で数多くの研究成果が報告されている。

中でも画期的とされたのが2011年に米国で発表された「長寿プロジェクト(The Longevity Project)」である。この研究が注目されたのは、大規模な対象者集団を幼年期から晩年までの長きにわたって追いかけた「80年追跡研究」だったからだ。精神科医で岡田クリニック院長・岡田尊司氏が説明する。

「始まりは第一次世界大戦後の1921年に遡ります。スタンフォード大学の心理学者、ルイス・ターマン教授が10歳前後の児童1528人を対象に性格や成育環境に関するデータを集め、その後30年にわたり彼らと面談を重ねていました。

この調査は1956年にターマン氏が79歳で死去すると中断しますが、30年以上経ってからカリフォルニア大学の長寿学者ハワード・フリードマン教授が残されていた資料に着目し、70歳前後になっていた対象者を改めて訪ねて調査を再開したのです」

フリードマン氏は生存者の健康状態や死亡者の死亡診断書を調べ、ターマン氏の記録にあった対象者の性格などとの相関関係を統計的に分析した。

疫学研究の領域で、このような大規模かつ長期の研究が行なわれたのは世界で初めてだったため、大きな話題を呼んだのだ。

◆「陽気な人」より「真面目な人」が長生きする

ターマン氏とフリードマン氏の研究で「長生き」とされた性格は、意外にも「真面目」というものだった。前出・岡田氏が解説する。

幼年期から大人になった後まで一貫して『慎重な努力家』だった人、つまり真面目な人が最も長寿だったのです。これに対して慎重さに欠けた人が最も短命で、途中で性格が変わった人がその中間です。真面目な人は慎重だから健康を守るために深酒や喫煙を避け、車に乗ればシートベルトを締め忘れることがない。だから死亡リスクが小さくなると考えられます」

これには遺伝的な要素も関係しているようだ。

真面目タイプの人は、衝動的な行動を抑える神経伝達物質のセロトニンの働きが活発になる遺伝子を有しており、それにより危険を避けられるのではないかとも考えられます」(岡田氏)

“楽天家は長生き”という通説を覆す結果だったのである。

◆営業マンより研究者の方が長生きできる

“孤高の研究者タイプ”と“社交的な営業マンタイプ”ではどちらが長生きするのか。一般的には社交的な人ほど健康的に見られがちだ。

ターマン氏は社交性を示す行動パターンが対極的な「科学者」と「ビジネスマン」という2つの職業を比較していたが、フリードマン氏が改めて「寿命」という指標で分析してみると意外な結果が出た。

対象集団のなかで、科学者は4分の3が70歳を超える年齢まで生きたが、ビジネスマンなど非科学者では、3分の2しか70歳まで生きられなかった。

科学者は、交際範囲は狭くとも自分の興味ある分野で主体的に人と関わる。これに対して仕事のために自分の本音を押し殺していることも多い営業マンは、ストレスがたまりやすいからだと考えられます」(岡田氏)

※週刊ポスト2017年1月13・20日号

(引用、ここまで)



言葉って難しいです。ひと口に「真面目」と言ってもいろいろな意味があります。

①他人に迷惑をかけまいと気遣いする人、②安定した結婚生活を送る人、③慎重な努力家、これ全部「真面目な人」ですね。

しかし①だと短命、③だと長命、②に至っては離婚後長命になる人、短命になる人とがあります。

だから「真面目な人が長生きかどうか」と問われれば、その質問に対する答えはYesともNoともなります。

けれどこれらの本質、すなわちストレスマネジメントの観点で見つめれば、

同じ「真面目」の中でもどういう要素が長寿につながるのか、どのように考える事が長寿につながるのかというヒントが見えてくるようにも思うのです。


具体的には、私が考える長寿の秘訣は次のようになります。

「他人に気を遣い過ぎて自分を犠牲にしないこと」
「自分が正しいと思う事で、広い意味で皆のためになる事なら、嫌われる勇気を持って推進すること」
「結婚は多かれ少なかれ互いに気を遣い合う行為だが、そのストレスを越えるほどの幸せが見えれば、幸せになる勇気を持って結婚に臨むこと。そう思えなければ必ずしも結婚しなくてもよいということ」
「人生で挑戦をする一方で、安息の地となるホームグラウンドを持つこと。2割の変革性、8割の安定性を意識すること



最後に神経伝達物質の観点から考えます。

セロトニンの活性化は真面目を形作るのに重要な要素ですが、

ドーパミンもまた真面目を形作るのに重要な要素です。私はそのバランスが重要なのではないかと思うのです。

刺激を求めるドーパミンが多すぎても病気になりますし、かといって刺激のない人生からは喜びは生まれません。

散発的で適量のドーパミン分泌を、十分なセロトニン分泌がサポートし、非日常代謝環境をすぐにまた安定環境に戻す。

けれどセロトニンがむやみに分泌されても、うつや認知症へとつながる危険性が高まります

ですのでドーパミンとセロトニンのバランスを「2:8」くらいに意識する事が、

健康長寿の秘訣ではないかと私は考えます。


たがしゅう
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コメント

真面目の意味

2017/01/16(月) 15:48:05 | URL | 緑楽 #Gp.nOQz6
「真面目」の意味が少しずつ変わってきているのかもしれません。

たがしゅう先生のおっしゃるように、「真面目」な方が「真面目」に「自分を押し殺す」とか「自分を軽んじる」ような生き方をしてしまうと、ストレスフルな生き方になりそうです。

逆に「真面目」に自分も他人も大事すると、一時は摩擦を引き起こしそうですが、長い目で見るとよいのかもしれません。

自分が「真面目」をどのように捉えているのかっていうより、どのように生きているのかを時どき振り返ることは大切なように見えます。

適当に、執着をせずに、肩の力を抜くこと、は今も大切な私のテーマの1つです。

Re: 真面目の意味

2017/01/16(月) 20:41:32 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
緑楽 さん

 コメント頂き有難うございます。

 真面目には良い面と悪い面とがあり、活かすも活かさないも自分次第だと私も思います。

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