批判が目的であってはならない
2016/12/22 00:00:01 |
よくないと思うこと |
コメント:15件
糖質制限推進派にまつわっては強気な姿勢の先生も中にはおられます。
「自分が治す」「自分の治療について来れば間違いない」「従来医療に従う者はばか者だ」などと時に過激な表現も飛び交います。
確かに権威者で患者を守る立場にあるはずの人が糖質制限を非科学的に批判し続けるのを見れば私もばか者だとは思いますし、そうした人を私も批判してきました。
だけどだからと言って自分の治療が最善だと私が思う事は決してありません。
ましてや「自分が治してやるからついて来い」というスタンスには絶対になりません。たとえ治療原理がどれだけ合理的であったとしてもです。
なぜならば「医者が治す」というスタンスでは、患者自身の「ストレスマネジメント」の観点が無視されてしまうからです。
言い換えれば、患者が医療に依存し「自分は悪くない。先生、治して下さい」と考えている限り、
その治療にはどこまで行っても限界があるということです。 先日も述べたように心の在り方は身体に確実に影響をもたらしています。
怪我や骨折などの外因であればまだしも、内因性の疾患に対して自分の中に原因を求めないままに「先生治して下さい」という姿勢では、
仮に一時的には治ったとしても根本原因が放置されればぶり返すのは時間の問題です。だからストレスマネジメントは非常に重要なわけです。
医者が患者を治すだなんていうのは思い上がりだと私は思います。
私のスタンスは患者さんが自分で治っていくのをいかに邪魔しないようにするかという事です。糖質制限を通じて私が最も学んだのはまさにそこです。
そもそも私は誰一人治してなんかいないのです。それを理解し医師は常に謙虚でいなければならないと思っています。
糖質制限をこのタイミングで知る事ができたというのも単なるめぐり合わせで、まだそのめぐり合わせが来ていないというだけで理解が追いついていない医師達を十把ひとからげに批判する姿勢にはどうにも「違和感」を感じます。
自分だって糖質制限を知る前は従来医療にどっぷり漬かり、何一つそれを疑えなかったわけですから。
その事を棚に上げて、ちょっと自分が知るのが早かったからといって、まだ知らない人達をひたすら批判し続けるなんてことはあってはならない事だと私は思います。
一方で人を批判するのは気持ちが良いことだと思います。
それは批判する自分が、批判される相手より優位に立てるからでしょう。
勿論、批判しなければならない場面というのはあります。しかしネット上で同じ批判がひたすら繰り返され続けるだけの状況を見るにつけ、
それは批判しないといけない理由があるというよりも、「批判する自分に快感を感じている」というだけではないかと思う事が最近よくあります。
そうした人達の姿を見て、私は「人の振り見て我が振り直せ」という言葉を強く思いだします。
私がこのブログを通じて他者貢献のためやろうとしていることは、
のべつ幕なしに自分のスタンスと異なる人達を批判する事ではなく、
糖質制限の良さをより多くの人に伝え、本来なら守れるはずの健康を自分で守る事ができるようになる人を一人でも多く増やすことです。
健康とともに健全な心が守れれば、その後人は如何様にも発展していけるはずです。
私は今後新しい医療の形を模索していきたいと考えていますが、
その形は決して「自分が患者を治す場」ではなく、「患者さんが治るきっかけを与える場」にしたいと考えています。
そのために役に立つことを引き続き学び続けていこうと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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自然治癒力と糖質制限
> 言い換えれば、患者が医療に依存し「自分は悪くない。先生、治して下さい」と考えている限り、
>
> その治療にはどこまで行っても限界があるということです。
上記は大事な点ですね。
医者は、人間が本来持っている自然治癒力の助けになるアドバイスをするのが仕事の重要なことと思います。
糖質制限は、その自然治癒力を大いに活用する最強のアドバイスの一つです。
ただ、自然治癒しない病もあります。これらは必ず医者の助けが必要となります。
例えば、虫歯です。これは、「甘いものを食べすぎ、虫歯になりました。先生、治して下さい」で仕方ないと思います。
それから、喫煙を代表とする多くの依存症です。これも、必ず医者の助けが必要です。
(ただ、糖質摂取も依存症のようですが...)
たがしゅうさんにお願いしたいことが一つ、健康を維持するために「運動」も考慮して頂きたく思います。
私のおすすめは、福岡大学の田中宏暁先生のスロージョギングです。
老若男女すべてにおすすめの運動です。
糖質制限と運動(スロージョギング)で新たな展開を期待しています。
Re: 自然治癒力と糖質制限
コメント頂き有難うございます。
> ただ、自然治癒しない病もあります。これらは必ず医者の助けが必要となります。
> 例えば、虫歯です。これは、「甘いものを食べすぎ、虫歯になりました。先生、治して下さい」で仕方ないと思います。
誤解のないよう付け加えますが、私は何も「病気は全て自分の責任だ。自分で治せ。」と言っているわけではありません。勿論私も虫歯を診たら対症療法は行います。
しかし、「そもそも虫歯が起こった原因には自分の中にもありましたよね、だから生活を変えていかないといけませんよね」と、そのように話すことで病気の根本原因を理解してもらうアプローチも同時に行わなければならないと思っています。
虫歯の例では分かりやすいので医師も患者もこの流れがスムーズに進むと思いますが、こと高血圧などになれば途端に医師は怠慢になり漫然と薬を出し続け、あるいは御指摘の依存症では患者が自己原因を理解できずこれまたスムーズに進みません。
これらには共通構造があるという事を理解する事から始めるべきだと私は思います。
> たがしゅうさんにお願いしたいことが一つ、健康を維持するために「運動」も考慮して頂きたく思います。
運動も大事ですね。
ただ運動には健康を維持するための運動と限界を超えるための運動とがあるので運動について語る場合はその点注意して語る必要があると思っています。
スロージョギング、なんとなくしか知らないのでまた勉強してみたいと思います。有難うございます。
医師と患者の関係のパラダイム転換
患者としての我々は誕生してから死ぬまで、医療について国家に手厚く保護されて、自分で考えて自分で病気を治す力をスポイルされてきたのではないでしょうか。
以前、たがしゅう先生に糖質制限を嫌って注射と薬に走る患者さんや、学校で教師に反抗して荒れる学生の話をさせていただきました。両者の共通点は目の前にある問題、病気や勉強について自分で考えて行動した経験がないので、現実から逃避していることが共通点と考えます。これらの行動は医師や教師は患者・学生を指導する役割をになっているという制度に大きな問題があると考えています。
一方、糖質制限を実行されている方(糖尿病患者さん除く)で、糖質は悪であるとみなして宗教の教義のように、糖質を極力排除する態度は、糖質をどれだけ摂取すると自分の身体は調子が悪くなるのか、糖質を身体が欲するのはどういうタイミングなのかを感じる力を磨く機会をみすみす捨てていることになることについて、感づいている方はみかけません。これも、逆の意味で困った行動です。
この場合は健康になりたいという動機は正しいのですが、自分で自分の身体を管理しているのでなく、糖質制限というアイデアに心を奪われて、実は何も考えていないように思います。その意味で、たがしゅう先生の糖質の悪い点を知って、糖質を摂取する自由も認められるべきという出張は今後重要なテーマです。
このような現実を見ていると、現行の医師と患者の関係を逆転させ、医師は患者のアドバイザーに過ぎない。患者が病気の治し方について医師に相談して決める。という関係に転換しないと、難病に対し画期的な治療法、新薬が発見されても、患者が自分の身体は自分が管理することを自覚しない限り、永遠のイタチごっこが続いていくでしょうね。
当然、社会的弱者、僻地治療、高齢者医療、難病等には様々な配慮が必要と思います。ベッドで苦しんでいる患者さんを目の前にして、そもそも論を垂れるような非現実的対応は今回の話とは別で、緊急措置が当然必要ですね。
せっかく盛り上がったきたこの糖質制限という運動を上からの強制でなく、個人の力の積み重ねで良い方向に持っていくという草の根革命を夢想しています。
Re: 医師と患者の関係のパラダイム転換
コメント頂き有難うございます。
> 現行の医師と患者の関係を逆転させ、医師は患者のアドバイザーに過ぎない。患者が病気の治し方について医師に相談して決める。という関係に転換
> せっかく盛り上がったきたこの糖質制限という運動を上からの強制でなく、個人の力の積み重ねで良い方向に持っていく
非常に正確に私の意向を御理解頂いて嬉しく思います。
糖質制限の本質を患者自身が理解した時、その価値は何倍にも高まるものと私は思います。その事を着実に伝えていきたいですね。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 先生の日頃のご指摘は論議を深める貴重なものと感謝しております。
そう思って頂いて何よりです。
事実のありのままに捉えれば糖質制限だけで説明できない現象があるということをまずは認める必要があります。
その上でその謎を突き詰めれば、御指摘のように人間の理解へとつながっていくものと信じております。
No title
今回の記事で私は反省しました。ヒトを批判する事で他者よりも優位に立っている、というのは私自身が思い当たるからです。
家人にも職場でもヒトを批判する事が多いです。些細な日常の事から歯科界の事まで批判からヒトとかかわる事が常です。そしてそれが良い事のように感じているのは大問題だったのです
少し前、(決して些細な事でない事で)感情的になりヒトを大声で怒鳴った日がありました。糖質制限をしていて穏やかな性格になったつもりでも、本質は何も変わってないのかと自己嫌悪に陥りました。先生の記事を拝見し、感情的に怒鳴るというのも「批判」と同様にヒトより優位に立って自己満足している心の動きだと思いました。
感情的にならない。ヒトを否定批判しない。これはどのような場面においても必要だと感じています。気質は変えにくくても理性で抑える事が必要だと気づいています。改めて生活の中で実践する事を徹底したいです。
くんだみえ
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
私もこうした記事は自戒の意を込めた気づきとして書いています。偉そうなことを書いていても私自身過ちを何度も犯しているんです。でもそんな自分でもありのままを自己受容し、それでも少しでも改善していけるように日々精進したいと思っています。
No title
虫歯の話が出ていましたからコメントをさせていただきます。
現在の歯科医療そのものが口腔内の健康を維持増進さすための最良のスタンスか疑問です。(歯科医任せでは駄目なのです)
虫歯であっても、糖質制限で症状を(歯の痛み、腫れ、さらに進行して歯肉や顎骨に炎症症状が出ても)改善出来ると考えています・・・(極論かもしれません。虫歯が波及して重篤な顎炎が生じた場合は難しいかも?しかし糖質制限は、それを予防することができると考えますが)
これだけ極論を申し上げる理由として、私自身が歯科医師でありながら数年間虫歯を放置(聞こえ良く言うと経過観察?)しているからです。それでも糖質制限を継続している故、症状皆無です。画像で診ても虫歯は(糖質制限を開始してから)進んでないのです。もちろん虫歯がある歯牙と相当部歯肉の痛みや腫れといった症状も皆無です。
歯科領域での疾患に対しても糖質制限は有用であることを自身で実感しています。これは歯周疾患においても言えることだと考えています
従来の歯科医療を「批判」するコメントではなく、あくまで自身の体験です・・・
くんだみえ
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
歯科医療に限った事ではありませんが、医療を利用する際にも決して盲信しない事が大事と思います。
情報の非対称性がある事は純然たる事実ですが、だからと言って盲信してしまえば軌道修正が効かなくなってしまうからです。
糖質制限するのも選択肢、従来歯科治療に頼るのも選択肢、しかし何かおかしいと思えば現実に起こっている症状に対して議論し会える関係、一方向的ではなく双方向的な医師患者関係へと構造改革をしていく事が今後求められている事だと私は考えます。
スロージョギングと勉強
スロージョギング、なんとなくしか知らないのでまた勉強してみたいと思います。有難うございます。
スロージョギングは、最初に走り方等をほんの少しだけ勉強したら、後はひたすら実践して頂きたく思います(^_^;)
必ず、身体がスリムになり、気分が良くなり、自分という生命体に躍動感を感じるようになります。
Re: スロージョギングと勉強
情報を頂き有難うございます。
管理人のみ閲覧できます
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
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