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本当に必要な物質なら自分で生み出せるはず
3つほど他の検査項目から群を抜いて急上昇している物質がありました。
「ケトン体」「尿酸」「LDLコレステロール」です。
絶食というのは長く続けば生命の維持にとっては危機的な要素となりえます。
生命維持に必要な物質はできる限り節約して使い、あわよくば再利用できるシステムが働く事が合理的だと思います。
ところがこの3つに至っては絶食によって減るどころか、むしろ急上昇するという不可解な動向を示したのです。
これは一体どう解釈すればいいのでしょうか。
しかも尿酸は一般的には過剰に蓄積すると血管に炎症をもたらし、痛風発作の原因となる物質と認識されています。
絶食をしてただでさえ生命の危機に瀕する状況に持っていかれるのに、この上痛風発作などをきたす状況まで追い込まれるようなら、それは随分な欠陥システムだと思います。
しかしながら、私の8日間断食実験では、尿酸値が16.1mg/dL(基準値:3.6-7.0mg/dL)とかなり上昇していたにも関わらず痛風発作は起こりませんでした。
この結果を受けて私は、「尿酸が痛風発作の原因である」という解釈も疑わなければならないという事に気が付きました。
それと同時に、「尿酸はもしかしたら人体にとって非常に重要な物質なのではないか」という考えにも至りました。
同様に上昇した「ケトン体」と「LDLコレステロール」にも同じことが考えられます。
そしてさらにこの考えを拡大解釈すれば、絶食により上昇するか否かで危機に瀕した時に必要な物質かどうかがわかるのではないかという考えも頭に浮かびます。
ただ「血液検査で上昇した物質」=「身体にとって必要な物質」というのでは流石に安易すぎます。例えば炎症なので組織が壊れて一時的に血液中に組織内の物質が漏出した場合にも検査値の上昇が見られる場合があります。
しかし組織の破壊が起こる場合には、身体のあらゆる部分の細胞内に分布する酵素である「LDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)」が上昇する事が多いですが、
私の断食データではそのLDH上昇は認められませんでした。
組織破壊は起こっていない、けれど血液中の値は上昇する、それならば危機を脱するために必要だから身体が敢えて上昇させていると考えるのが妥当ではないでしょうか。
グルコースとビタミンCの構造は似ています。
約6300万年前まではL-グロノラクトンオキシダーゼという酵素を通じてヒトの祖先はビタミンC合成能を保っていました。
その頃起こったユカタン半島への隕石衝突イベントによって生態系は激変し、それこそ生存の危機の状況に祖先も追い込まれたはずです。
そんな死にそうな状況の中、もともと持っていたビタミンCの合成能を手放す理由がどこにあるというのでしょうか。
けれど実際には手放している、そうなれば考えられる理由は他にありません。
ビタミンCよりもはるかに効率の良い別の物質に役割をとって代わられたということです。
グルコースにとってのそれがケトン体であったように思います。グルコースが生み出せるエネルギー量とケトン体が生み出すそれを比べればその差は歴然です。
糖質制限理論をよく理解する人は、ことグルコースに関しては糖質ゼロでもよいという大胆な態度がとれています。
しかしそれと構造が似ているビタミンCに関しては一転して、毎日摂らなければならないとする論調には私は違和感を感じます。
ビタミンCの謎はそれが測定できないという所に大きなピットフォールが潜んでいると思います。
見えない部分は常識にとらわれずに、想像力を大きく働かせて考えていくしかありません。
本当に必要な物質ならば自分で合成できてしかるべきです。
しかもそれが昔、自分で合成できていた物質ならなおさらです。
たがしゅう
コメント
最近の文献から
「てんかん食の調整と副作用」青天目 信
大阪大学大学院医学系研究科 小児科学 / 大阪大学医学部附属病院 てんかんセンター
慢性期の合併症として、脂質異常は、家族歴のない例では、摂取カロリーを守ればまれである。
一方、高尿酸血症は散見され、アロプリノールが必要なこともある。
◇
このように、ケトン食では尿酸値の上昇が報告されています
2016-12-31 22:38 精神科医師A URL 編集
Re: 最近の文献から
情報を頂き有難うございます。
尿酸が高いこと自体が悪い事だと捉えれば副作用ですが、
尿酸が高くてもそれが利用できる代謝環境があればむしろ狙い通りの事象だ、という事がわかればケトン食への理解が深まると思います。
2015年2月14日(土)の本ブログ記事
「強い作用を持つ物質とそれを活かす代謝環境」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-575.html
も御参照下さい。
2017-01-01 01:40 たがしゅう URL 編集