頭の良い研究者でも解釈を間違う

2016/12/14 00:00:01 | 医療ニュース | コメント:2件

糖質制限の視点で世の中を眺めると、

情報を受け取る際にも鵜呑みにせず、自分の頭で考える事ができるようになります。

様々な医療関連のニュースを読むのは、そうした力を鍛える良いチャンスです。

この度目に付いたのは以下のニュースです。

「寝不足で甘い物」解明=脳の前頭前皮質が制御―筑波大
時事通信 12/10(土) 15:51配信

(以下、引用)

寝不足で甘い食べ物が欲しくなるのは、脳の「前頭前皮質」と呼ばれる部分の働きによることが、マウスの実験で分かった。

筑波大のミハエル・ラザルス准教授らが10日までに英科学誌イーライフに発表した。

睡眠不足から肥満、生活習慣病に至る仕組みを解明し、健康的な食生活を促進するのに役立つと期待される。

睡眠には寝入りばななどの深いノンレム睡眠と、体は休んでいても脳が活動しているレム睡眠がある。

これまでの研究で、レム睡眠が不足すると、食べ過ぎて太りやすくなる傾向があることが知られていた。

マウスのレム睡眠を妨げる実験を行ったところ、砂糖の主成分であるショ糖や脂質の摂取量が増加した。

脳の前頭前皮質の活動を遺伝子操作などで抑制すると、脂質の摂取量は増えたが、ショ糖は増えず、糖分に対する欲求を担っていることが判明した。

(引用、ここまで)


「寝不足」→「甘いもの欲求↑」

原因と結果をこのように捉えているニュースですが、これは逆ではないかと私は思います。

確かに思考や創造などヒトをヒトたらしめる複雑な脳の働きを担う前頭前皮質(前頭前野)の根底を支える神経伝達物質の一つがドーパミンです。

レム睡眠を妨げる事で糖への欲求が増加したので、これには「前頭前皮質の活性化が関わっているのだろう」と研究者は考えたわけですが、

それだとなぜレム睡眠が不良だと前頭前皮質の機能が活性化するのかという理由にあまり納得がいきません。

そうではなくて甘いものの欲求が高まっていく事が原因でレム睡眠が障害されていくという流れで考えてみればどうでしょう。


糖質の摂取はドーパミンの強制刺激です。

短期的には糖質の摂取は眠気を及ぼしますが、長期的に糖質を摂取し続けるとドーパミンが刺激され続け前頭前皮質の機能が活性化され続け、

やがて交感神経過緊張状態へとつながりレム睡眠の不良化、即ち不眠へとつながってしまう、という流れの方がしっくりと来ます。

つまりまとめれば、

「甘いもの欲求↑」→「眠気」→「眠気」→・・・→「不眠」→「不眠」→「寝不足」

ということではないかと思うわけです。


世の中のあらゆる頭の良い人達が、

糖質制限の観点がないために事実の解釈を誤り続けているという事が、

今の私には大変よくわかります。


たがしゅう
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コメント

糖質制限の観点の欠如

2016/12/14(水) 22:01:49 | URL | 精神科医師A #wKydAIho
 糖質制限の観点の欠如の極端な例は、SGLT2阻害剤を患者に投与し、研究論文を書いている連中です。

 最初から糖質を摂取しなければ、SGLT2阻害剤をのむ必要など全くないわけです。

 患者に食塩制限を指導せず、降圧利尿剤を投与しているのと全く同一次元です

Re: 糖質制限の観点の欠如

2016/12/15(木) 04:58:21 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
精神科医師A 先生

コメント頂き有難うございます。

御指摘の通りだと思います。両者には共通構造があるという事がわかれば、糖質制限の事も理解できるはずです。

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