今という時間を大切に生きる
2016/12/11 00:00:01 |
おすすめ本 |
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「構造」に注目して考えるという記事を書きましたが、
この考え方の元となったのは、おなじみNHK教育「100分de名著」という番組で今月取り上げられている名著、
フランスの民族学者、クロード・レヴィ=ストロースの『野生の思考』です。
相変わらず良い本をわかりやすく紹介してくれます。
レヴィ=ストロースが唱えた構造主義というのはかなり深い考え方でして、
自然界で見られる変化は、植物も動物も、あるいは宇宙の変容そのものも同じ構造を持っているという事を主張したものでした。 レヴィ=ストロースは第二次世界大戦中に戦地に赴き、塹壕の中でふとタンポポを見つめている時にこの考えを思いついたのだそうです。
タンポポの花びらが実にきれいな秩序を持って並び、構成されているのを見て、
人間の精神も野生の状態ではそれと同じ構造を持って構成されてきているという風に考えたのです。
私はこの考え方に一瞬で魅せられてしまいました。
全く違うように見えるものの中に共通の構造を見出す発想、とても面白いと思います。
私は植物学にも大変注目しているのですが、この構造主義を頭に置いておく事によって、新たに見える事がいろいろあるように思えます。
その気づきはまたおいおい当ブログで紹介していくとして、
このレヴィ=ストロース、1908年に生まれ、亡くなられたのはつい最近2009年の話で、享年100歳です。大変長寿ですね。
それなのに100分de名著で紹介されるまで、私はレヴィ=ストロースのレの字も知りませんでした。しかし彼の考えは私の考えに大きな影響をもたらすものでした。
私がもっと早くからいろいろな分野の本に興味を持ち、彼の存在を知っていれば、もしかしたら彼が生きている間に会おうと思ったかもしれないのに、
私は糖質制限を学ぶまでそんな世界がある事を知る由もなく、今までなんと漫然と時間を使ってしまっていた事でしょう。
若い人は自分の人生の時間が有限であるという意識は希薄です。どうしてもまだまだ人生先は長いという感覚で生きてしまう所があると思います。
しかし仮に自分の人生の時間がまだたくさん残されている事が保証されたとしても、他人の人生の時間も同様とは限りません。
会いたいと思った人には思い立ったら吉日で会いに行かないと、後回しにしていたらもう二度と会えなくなるという事だって現実にあると思います。
いつ自分が死んでも後悔のない生き方をしていくとともに、やりたいと思った事はその想いを大事にすることだと、
なんだかそんな事を考えさせられました。
ふと思い出しました。「今という時間を大切に生きよ」というメッセージで言えば次の小説もおすすめです。
君の膵臓をたべたい 単行本 – 2015/6/17
住野 よる (著)
インパクトのあるタイトルと話題性につられて普段小説を読まない私が珍しく読んだ作品です。
「膵臓」とあったので糖尿病が絡んでくる話なのかという思いもあって読んでみたのですが、
そういう事ではなく、膵臓の病気を患い余命幾許もないと医者から宣告された明るく前向きなかわいい女の子と、内気な文学青年との高校生同士の恋愛模様から人生における大切なメッセージを投げかける作品です。
この設定だけでも限られた人生の時間を大事に生きないといけないというメッセージは伝わりますが、
読み進めた最後の方では驚きの展開が待ち受けていました。その部分を読んでこの小説が注目された理由が私にもよく理解できました。
そして今を大切に生きようというメッセージが、私の中に大変鮮烈な印象とともに残りました。
良い小説家が書く文章は流石心を揺さぶるものがあります。
是非読んでみられる事をお勧めします。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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