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自分の足で信頼できる情報を集める
江部先生と夏井先生の糖質制限ジョイント講演会に参加して参りました。
糖質制限を始めてというもの、もともとインドア志向だった私が驚くほど積極的に外へ出かけるようになりましたが、
こういう外出を繰り返すに連れて、会の常連になって名前を覚えてもらいやすくなり、プチ有名人気分も味わえるようになってきました。
実際の日常生活では有名でも何でもない平社員なので、なんだか不思議な感覚を得ています。
私がこういう所へ何度も足を運ぶのは、有名人感覚が嬉しくてというのではなく、
前にも述べたように貴重な実践者との交流ができるからです。
なぜ実践者との交流が重要かと言いますと、日常診療で次のような事があるからです。
例えば、ある肥満の患者さんに糖質制限を指導したとします。
2か月後に再度診察した際に患者さんが糖質制限を実践してきたと言ったとしても、
体重が減っておらず、血液検査でも高中性脂肪血症や高血糖があったりすると、
その患者さんが本当に糖質制限をやってきたとは到底思えません。どうしても疑ってしまうのです。
それでよくよく聞けば、ごはんは減らしたけど、果物は毎日食べていたというような事はザラにあるわけです。
ところが、糖質制限関連の集まりに行けば、
基本的には糖質制限をきちんとやっている人ばかりなので、
そこで聞く話は基本的には糖質制限の前提はクリアした上での体験談なので、純度の高い糖質制限情報という事になります。
またそこでは必ずしも糖質制限ですべてがうまく行っているわけではないという事実も知ることができます。
私のように糖質制限で完全に標準体重まで戻らないという人が一定の割合で存在するという事実もここで確かに知ることができます。
先日は糖質制限をやっていても中性脂肪が下がらないという方の話をうかがいました。
糖質制限をしていれば通常空腹時の中性脂肪は正常になっている事が多いですが、その方の場合は1000㎎/dLと非常に高いとの事でした。
そうなると遺伝性の要因かと思考停止してしまいがちですが、これはそもそもなぜ糖質制限で中性脂肪が正常化するかを考えるきっかけになります。
糖質を摂取すればインスリンが分泌され、代謝が同化へと向かい中性脂肪が合成される方向に向かいます。
糖質制限をすればこの代謝変化が起こらないので中性脂肪は正常化するものと考えておりましたが、
糖質制限をしていても高中性脂肪血症が残るとなれば、それ以外にも何か要因が考えられるという事になります。
このように、糖質制限を確かに行っている人達の貴重な情報で糖質制限への理解が深まっていくという事です。
特に教科書を見ても書いていない疑問なので、生化学の知識や臨床経験を応用して解決しなければならないので応用問題的な難しさがあります。
ネットにおける情報も誰かの解釈を介して書かれたものなので、鵜呑みにはできません。
こうして実際に足を運んで得られる情報を元に自分の頭で考えるからこそ貴重な思考の積み重ねになるのだと思います。
今回もそういう意味でいろいろ機会を与えて頂いたので、
またいろいろ思考を巡らせていきたいと思います。
たがしゅう
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