考えもなく情報を垂れ流すマスコミ
2016/10/14 00:00:01 |
よくないと思うこと |
コメント:3件
先日、医局にいて夕方のニュース番組がふと目に入ってきました。
どうやら若者を中心に1ヶ月米を食べない人が増えているとのことで、
何とか米離れを防ごうと、さまざまな米関連商品を紹介する特集が放送されていました。
それっていうのは若者で糖質制限が流行っているという意味ではなく、
単に米ではなくパンや麺類などを食べている人達なのであろうと私は解釈しましたが、
今回はそんなことよりも、特集の中で最後に米の栄養素について紹介するその方法が非常に解せませんでした。 米150gにはこれだけの栄養素が含まれているという事を紹介するフリップには次のように書かれていました。
【米(150g)】
炭水化物 55.3g:脳や体のエネルギー源となる
食物繊維 0.6g:便秘やがんを防ぐ
亜鉛 810μg:細胞の形成を助ける
マグネシウム 6㎎:骨の重要な構成成分
鉄 0.15㎎:酸素を全身に運ぶ
カルシウム 3㎎:骨や歯を丈夫にする
ビタミンB2 0.02mg:美肌をつくる
ビタミンB1 0.05mg:夏バテを防止する
脂質 0.75g:体のエネルギー源
タンパク質 3.9g:血や肉など体の基本をつくる
これを見た番組のキャスターが、「これはもうバランス栄養食じゃないですか!?」と驚いて、他の出演者もその意見に賛同している様子でした。
この番組を見る一般の人達も何も考えずに見ていれば、きっとそのように感じてしまうことでしょう。
しかし非常にずるいと思うのは、ここでは含有栄養素の種類とその働きにフォーカスを当てているだけで、
量については記載はあるものの、その量が十分な量なのかについて全く言及されていないという点です。
よく見て下さい。炭水化物以下紹介されている栄養の少なさを。
この紹介の仕方ならカップラーメンでも立派なバランス栄養食という事になってしまいます。実際にやってみましょうか。
【カップラーメン(90g 某社製品)】
炭水化物 51.21g::脳や体のエネルギー源となる
脂質 17.73g:体のエネルギー源
たんぱく質 9.63g:血や肉など体の基本をつくる
ビタミンA 25.2μg:目や肌の健康を守る
ビタミンE 2.16mg:抗酸化作用がある
ビタミンK 6.3μg:出血時に血液を固め、骨を強くする
ビタミンB1 0.61mg:夏バテを防止する
ビタミンB2 0.48mg:美肌をつくる
ナイアシン 0.9mg:皮膚や粘膜の健康維持
ビタミンB6 0.06mg:筋肉や血液を作る時に働く
ビタミンB12 0.18μg:神経を正常に保つ
葉酸 18.9μg:DNAの合成や細胞の形成に役立つ
パントテン酸 0.47mg:皮膚粘膜の健康を維持する
ビタミンC 0.9mg:抗酸化作用がある
ナトリウム 2430mg:体内の水分を保持する
カリウム 189mg:血圧を下げる
カルシウム 171mg:骨や歯を丈夫にする
マグネシウム 24.3mg:骨の重要な構成成分
リン 108mg :骨や歯を作る
鉄 1.17mg :酸素とくっつき酸素を運ぶ
亜鉛 0.54mg:細胞の形成を助ける
銅 0.14mg:骨を作り活性酸素を除去する
マンガン 0.51mg:成長や生殖に関係する
食物繊維 総量 2.07g:便秘やがんを防ぐ
ほらみて下さい。こんなことでいいのならカップラーメンの方がよほど「総合バランス栄養食」になってしまいますよ。
0.01mgでも含まれていればその食品の栄養素だと紹介し、しかもその栄養素の持つ一面的な都合の良い部分だけ取り上げてモノを言っているわけです。
マスコミ側は「ウソは書いていない」と反論するかもしれませんが、強烈なミスリーディングになっている事を自覚してほしいと思います。
こんな報道をするようなマスコミの本質はたかが知れています。
専門家の意見を盲信し、ある時は賛成したかと思えば、また別の時はまったく反対の放送を流したり、、
そのクセ、反対の放送をしたからと言ってそれまで無批判に賛成していたことを反省するわけでもなく、何食わぬ顔で感情なしの報道を続ける節操のなさです。STAP細胞事件での経緯を思い出してもらいたい。
テレビとはそんなものだと理解した上で見るか、そもそも見ない方がよいとさえ私は思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
No title
本当の問題は疑いなくそれを受け入れてしまうことなのでしょうけど。
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Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 本当の問題は疑いなくそれを受け入れてしまうことなのでしょうけど。
御指摘の通りだと思います。
そもそも多くの視聴者に情報を適切に取捨選択できる力があれば、こんな報道がまかり通るはずもありません。
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