やわらかい心で世界を捉える

2016/09/27 08:00:01 | 偉人に学ぶ | コメント:5件

私は夏井先生から糖質制限の存在を教わりました。

糖質制限実践前の自分の精神状態は暗鬱たるものがありましたので、

もしも糖質制限に出会っていなければという事を考えるだけで、夏井先生は私にとっての命の恩人です。

しかしおそらく夏井先生にとってはわざわざ「誰かの命を救おう」と思って行った行動では決してないと思います。

見返りを求めず真実を公開する姿勢で起こした行動が、結果的に多くの人の心を救っているのだと思います。

私は豚皮揚げを食べる会の常連となり、かつては雲の上の存在であった夏井先生とお話しをさせて頂く事ができるようになりました。

その中で感じるのは、やはり夏井先生の考えている事は、平凡な思考の一枚も二枚も上手を行っているという事です。

先日も大変心に響く次のようなお言葉を教えて頂きました。 「事実を見よ、解釈は疑え」

これは新しい着想を追い求め続ける夏井先生ならではの言葉です。

世の中でまかり通っている定説というものは、一番最初にそれを言った誰かの解釈であり、

それが真実であるとは限らないということ、けれども現実に起こっている事は疑いようのない事実であり、それを元に自分で考えよ、という事です。


例えば、「インスリンというホルモンが血糖値を下げる」ということは紛れもない事実です。

しかし「インスリンは血糖値を下げるためのホルモンである」というのは、誰かの解釈です。

少し見方を変えれば、「インスリンはエネルギーを取り込むためのホルモンであり、その結果血糖値が下がる」という解釈もできます。

どちらの解釈が正しいかを考えるためには、世の中で起こっている様々な現象をその解釈で以てきちんと説明できる必要があるわけです。

「インスリンが血糖値を下げるためのホルモン」であるのなら、高インスリン血症でがんが発生しやすくなる現象はどう説明できるでしょうか。

一方で「インスリンがエネルギーを取り込むためのホルモン」であるのなら、高インスリン血症でがんができるのは、過剰なエネルギー取り込み状態となった結果、それを解消するためにがんが発生したという考えもできるように思います。

あるいは、もっと他にきちんと説明できる解釈がないかと考え続けていくのです。

そのような思考が真理に近づいていくための確かな方法であるという事を夏井先生は教えてくれているように私は思います。

先日夏井先生のサイトで話題になった「汗をかくのは体温調節のため」という解釈を疑うのもその例ですね。この思考はいろんな所に応用がきくと思います。


そんなお言葉を頂いた翌日、私はかねてより行ってみたかった「相田みつを美術館」に行って参りました。

本を読むのが遅くて時間がかかってしまう私でも、相田みつを先生のシンプルかつ心に響くメッセージの数々は、時間を忘れて没頭して読み込むことができます。

それにこの美術館、展示作品の配置や添えられたコメントの分量などを見ても、観覧客に疲労を感じさせない絶妙のバランスで構成されているなぁと感じました。

そんな中、一つ「柔軟心(にゅうなんしん)」という言葉と出会いました。

もともとは中国宋代の禅僧・天童如浄禅師(永平寺を開いた道元禅師の師匠)の言葉だそうですが、

柔らかい心、すなわち一切の先入観に引っかかることなく、真実を真実として素直に見るための心の事をそう呼ぶそうです。

その例として花を見た時にただその美しさをありのままに感じるのが柔軟心であって、

「この花はきれいだな、買おうと思ったらさぞ高くつくんだろうなぁ・・・」などと解釈をはさんでみるのは心が固くなっている証拠なのだという事が書かれていました。

私達はこどもから大人へと成長していく過程で、

常識という名の教育を受けて、知らず知らずのうちに心が固くなり、そのように考えるのが当たり前のようになってしまっているのかもしれません。

しかし心が固ければ、目の前に真実があってもそれに全く気付かないという残念なことになってしまうのであれば、

私達は心のやわらかさについてもう一度真剣に考え直すべきではないでしょうか。


相田先生と夏井先生の言葉がともに共通する大事なことを、

しかもタイミングを同じくして私に語りかけてきたように思えて不思議な運命を感じました。

偉人とは立場は違えど世の中の真理というものを、

直観的に感じられる人達なのかもしれません。


たがしゅう
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コメント

好奇心

2016/09/27(火) 14:32:01 | URL | 岸和田のセイゲニスト #mQop/nM.
たがしゅう先生は本当にお忙しいのに、各地の豚皮揚げの会を出没(失礼)されているのですね!

夏井先生は、還暦近いお歳なのに、少年の様な好奇心も持っている所も凄いと思います!
そして最後は面白いから自分自身でやってみようという所です!
もちろんその前には膨大な知識の裏付があるのですが。

どうしても人は歳を重ねるにつれ、常識という枠に囚われ保守的になってしまいます。
そこを感じさせない所が夏井先生や江部先生の若さの秘訣なのでしょうか?

いずれにせよ、この先生方の行く末を見ていきたいと思ってるので幹事を担当させて頂いております!(笑)

豚皮揚げを食べる会in京都市、早くも開催まで一ヶ月を切りました。
たがしゅう先生にはこちらも遠路お越し頂き誠にありがとうございます。
先生のモノマネを拝聴できる日が近づく喜びを日々実感しております(笑)

管理人のみ閲覧できます

2016/09/27(火) 14:45:36 | | #
このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: 好奇心

2016/09/27(火) 20:58:32 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
岸和田のセイゲニスト さん

 コメント頂き有難うございます。

 こどものようなメンタリティというのは、確かに一つ参考になるものだと思います。

 こどものように常識にとらわれず、こどものようにありのままを感じ、こどものように泣いたり笑ったり怒ったり、感情をあらわにする姿勢が、新しいものを見出し、世界を変えていく最大の秘訣なのかもしれませんね。

> 先生のモノマネを拝聴できる日が近づく喜びを日々実感しております(笑)

 どうかあまり期待せずにお待ち下さい(笑)

事実を見よ、解釈は疑え

2016/10/03(月) 21:23:14 | URL | 精神科医師A #wKydAIho
 私が論文の原文を徹底的に追及するのもこれと同じ発想からです。

 ある研究者が論文を誤って引用し、それを別の研究者が原文を確認せず次々と孫引きしていくという例が実際にあるからです。

 論文の原文を確認せよというのは、研究の鉄則です

Re: 事実を見よ、解釈は疑え

2016/10/03(月) 22:08:50 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
精神科医師A 先生

 コメント頂き有難うございます。

> ある研究者が論文を誤って引用し、それを別の研究者が原文を確認せず次々と孫引きしていくという例が実際にあるからです。

 本当にそうですね。

 例えば、「ケトン体で知能が下がる?」というRizzo T.の論文で、日本中の産婦人科医がケトン体の事を誤解してしまったというのはその例ですね。見なければならないのはそのような解釈ではなく、「新生児のケトン体はいくらなのか」という客観的事実の方だったわけです。宗田先生がその点を見事に証明して下さったと思います。

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