利尿作用の負の側面

2016/08/02 07:45:01 | ふと思った事 | コメント:8件

「デトックス」という言葉があります。

「detoxification」の略で、「de-」は「脱」、「toxification」は「有毒化」を意味しますので、

一般的には身体の中にたまった有害物質を外に出すという概念で使われると思います。

デトックスの方法の一つとして、「特定の食品を食べて有害物質を尿中に排泄させる」というものがあります。

具体的にはカリウムを多く含むパセリ、豆味噌、よもぎ、アボガド、ほうれん草、ゆりね、ザーサイ、納豆などの食材や、

カフェインを多く含むコーヒー、緑茶、紅茶、烏龍茶、ココア、コーラなどの飲料は利尿作用が高いとされています。

こうした文脈で使われると、利尿作用がある事はあたかも良い事のように思えますが、

何事も良い面があれば悪い面もあるものです。本日は利尿の持つ本質について私なりに考えてみたいと思います。 尿と言えば、一般的には「排泄物」「汚いもの」というイメージが強いと思いますが、

飲尿療法の所で学んだように、尿はもとは血液がこし出されて作られたものですから、

血液の中には栄養やミネラル、ホルモンなど実に多様な物質が数限りなく含まれているのと同様に、尿の中にも様々な物質が含まれています。

病的な腎臓でない限りタンパク質などの大きな分子は尿中には含まれませんが、微細な分子においては血液と共通する部分も多くあります。

しかも健康な尿は基本的に無菌状態です。自分の尿であれば飲んでも拒絶反応も起こらず安全です。

即ち尿というものをフラットに捉えた時に、単なる排泄物というだけではなく、血液のような身体の一成分という見方ができると思います。


さて、身体の中に毒が入ってくるのはどんな時でしょうか。

皮膚から吸収されて入るというパターンもあるかもしれませんが、多くの場合はやはり食べる事に始まるのではないかと思います。

食べたものの中に何らかの毒がある、その毒が吸収され血液の中に入る、そのまま血液に留まれば身体にとってよからぬ事が起こる、その被害を食い止めるために利尿というシステムを働かせて毒を体外へ排出させる、

けれども、毒と一緒に身体の中の必要な成分も一緒に失われてしまう・・・と、利尿にはそうした側面があるのではないかと思います。

例えば、カリウムがたくさん血液中に入ってくれば不整脈の原因になりますし、カフェインが入り続ければ覚醒作用により恒常性が乱れていきます。

そしてもう一つ、利尿作用と言えばアルコールです。アルコールが入り続ければほろ酔いで気持ちいいかもしれませんが、冷静な判断が下せず生物としては危機的な状況におかれます。

要するに「利尿作用がある物質は身体にとって毒の部分があるのではないか」と私は思うわけです。

もっと言えば、食べる、飲むという行為自体に多かれ少なかれ利尿作用があるのであり、食べること自体がリスクであるとする私の考えにもつながってきます。

そういう観点で見れば利尿薬というものは究極の有毒物質というようにも見れますし、

今流行りの尿中に糖質を排出させるというSGLT2阻害剤にしても、糖質とともに身体にとって必要な物質までもどんどん漏れていく事を思えば非常に不自然な事をしているという事に気が付かされます。



そもそも毒が入らなければ、利尿をする必要はないのです。

何らかの毒が入るから、身体はやむなく利尿をしているわけです。

それなのに、食べるという事が当たり前となってしまった世界において、利尿もごく当然の事として扱われていると思います。

生きていく以上、利尿をゼロにする事は困難でしょうが、利尿を最小限に抑えるためにはどうすればいいか、

そのように考えると見えてくるものもあると私は思います。


たがしゅう
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コメント

質問よろしいでしょうか?

2016/08/02(火) 14:28:47 | URL | ふあっつおー #-
先生こんにちは

記事を読んでいて、ふと疑問に思ったのですけど・・・
お茶とか、コーヒーは茶色だったり、黒っぽかったりと色がついていますよね。

オシッコの色は少し黄色いけどホボ透明だと思います。

とろろで・・・
あの飲み物の色の元になっている成分は、やはり何処かの臓器で濾過され吸収されてるんですよね?
やはり腎臓ですかね?

何が言いたいかといいますと・・・
水分補給で、水ではなく色の付いた飲み物ばかり飲んでいると何処かの臓器に負担が掛かったりするのかなぁ?

と思ったのですがいかがでしょうか?

Re: 質問よろしいでしょうか?

2016/08/03(水) 08:41:17 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
ふあっつおー さん

 御質問頂き有難うございます。

> お茶とか、コーヒーは茶色だったり、黒っぽかったりと色がついていますよね。
> あの飲み物の色の元になっている成分は、やはり何処かの臓器で濾過され吸収されてるんですよね?
> 水分補給で、水ではなく色の付いた飲み物ばかり飲んでいると何処かの臓器に負担が掛かったりするのかなぁ?


 色素成分もタンパクや糖、窒素化合物などですので、食べ物と同様に消化管で消化・分解・吸収されます。
 従って色素があるという理由だけで、その飲料を飲んでいる人の臓器に特別の負担がかかるという事は特にないと思います。

有り難うございました

2016/08/03(水) 12:03:55 | URL | ふあっつおー #-
>色素があるという理由だけで、その飲料を飲んでいる人の臓器に特別の負担がかかるという事は特にないと思います。

お答え頂き有り難うございます。
そうですね。そんな話しは聞いた事が有りませんしね。

それに、その方が都合が良いです。美味しい水を飲むのは意外と大変です・・・

よくある健康情報は、その報道自体がインチキ臭いので、話し半分で聞いています。

エビデンスとか言ってもそれ自体ウソかも知れません。

私のような素人にとっては自分を納得させてくれるシンプルな理屈と、
後はカンとか、ヒラメキ、推理するとか、
または、取り敢えず実践して試す・・・・
とか、とか、です。

突拍子もない質問で申し訳有りませんでした。

五行では

2016/08/03(水) 12:35:05 | URL | やまたつ #-
利尿作用は腎の作用ですので、黒が配当されてますね。腎の機能が弱くなると、黒豆の煮汁とか、小豆の煮汁を飲む等々、黒い色の食品が補腎として、推奨されるのは、有名ですね。
黒豆の黒色はポリフェノールと聞いたことがあるので、ワインとか珈琲も親戚筋かと。うまく使えば、健康増進に役立ちそうです。

Re: 五行では

2016/08/03(水) 13:30:09 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
やまたつ さん

 コメント頂き有難うございます。
 流石の東洋医学的観点ですね。

 五行説は経験論だとあなどるなかれ、全体としてよくできていますよね。
 今後科学的にその謎が解けていけばより一層面白くなってくるように思います。

重症筋無力症と糖質制限

2016/08/04(木) 09:54:52 | URL | 糖尿人の息子 #-
病院で働いている管理栄養士です。とある職員の家族の方の事で、個人的に相談を受けました。この方に糖質制限は妥当かどうかあまり自信がありません、重症筋無力症を調べていくと精神科の分野な感じですので、ご相談させていただこうと思った次第です。

「重症筋無力症と糖尿病の方の食事摂取量と体重が低下、血糖値も上昇しているからということで、食事ではどんなことを注意したらよいか?」という相談をうけました。
服用している薬剤は、ネオラールと1週間持続する血糖降下の注射(おそらくビデュリオンと推測)、他にもあるのですが把握しているのはこの2種類だけ。ビデュリオンに変更後、低血糖はあまり起きなくなったとのこと


とりあえず、切羽詰まったご様子でしたので話をさせていただきました。内容は…

・治療薬のネオラールは血糖があがる副作用があるので、血糖値の上昇は食事由来か副作用の結果なのかは不明

・現体重の低下が起きているので、食べられるものは何でも食べさせる方向で。血糖値の値は副作用との差別ができないので、気にしない方が良いのではないか

・間食を推奨し、血糖値が気になるなら血糖を上昇させにくい食品を優先にすればよい

・ジュースは一挙千菜などのビタミン、ミネラルの補充を推奨するが、癖があるので強要はできない。高カロリーの栄養補助食品の推奨は保留とし、ビタミンB群、鉄、亜鉛などの補強はどうか


他の薬剤の副作用、現状疾患による食欲不振の可能性があるかもしれないと思いましたが、発言はしませんでした。

失礼ながら、ご意見があれば幸いです。よろしくお願いします。

Re: 重症筋無力症と糖質制限

2016/08/04(木) 23:00:06 | URL | たがしゅう #Kbxb6NTI
糖尿人の息子 さん

 御質問頂き有難うございます。

 重症筋無力症は自己免疫疾患ですが、糖質制限が有効かどうかを検証できたデータはまだないと思います。
 しかし少なくとも糖質制限を行う事によって起こる事が、重症筋無力症の病態を悪化させるという事は理論上考えにくいです。

 一方絶食療法レベルの高ケトン療法は自己免疫疾患に有効である可能性があります。

 2013年12月22日(日)の本ブログ記事
 「難病を起こす体質と増悪因子」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-127.html
 も御参照下さい。

 しかしそれを理解してくれる医療関係者はかなりの少数派だと思います。

 従って、現時点では自己免疫疾患に対する糖質制限の実践は、それらの状況を理解した上で自己責任で行うかどうかという事になると思います。

参考にさせていただきます

2016/08/05(金) 10:53:09 | URL | 糖尿人の息子 #-
食事に関し難病にアプローチする情報はほとんどなかったので、大変ありがたいです。貴重なご意見ありがとうございました。

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