飲尿療法の奥深さ
2015/12/03 23:45:01 |
お勉強 |
コメント:11件
本日は私が糖質制限を初めてちょうど4年となる記念日です。
毎年この記念日には、私のはじめて物語を記すようにしています。
糖質制限を通じて現代医療の限界を痛感した私は、
現代医学からに認められていない医療の未知の可能性についても興味を持ち、
むしろそうした現代医療以外の医療の可能性をはなから否定する事なく、興味を持って真剣に学ぶ姿勢を持つようにしています。
漢方や針灸、瞑想などはその一例ですが、
もう一つ私の興味を引いた治療法がありました。それは「飲尿療法」です。
尿と言えば排泄物以外の何者でもないのでは、というのが大方の人の見方だと思いますが、
尿の起源は血液であり、腎臓によって濾過されたものですが、
血液中の成分を反映し、微量の栄養素やホルモンなどが含まれています。
また通常は血液も尿も無菌状態です。飲むに当たっては尿素独特の臭さはあるものの、飲めない事はないものです。
そして飲尿療法の本によれば、尿は飲めるだけではなく、医学的に難治な病気を治す力を持っていると記されています。
例を挙げれば、AIDS、がん、熱傷、カンジダ症、嚢腫、大腸炎、うつ病、免疫不全、糖尿病、B型肝炎、肺疾患、多発性硬化症、放射線療法の副作用予防、レイノー病、マラリア、性病、肥満、百日咳など非常に多岐に渡ります。
なぜ尿を飲むと健康になるのかという理由に関しては完全に解明されているわけではありません。
本によれば尿は体内の情報をそのままコピーして出てきた液体の情報、言わば「究極のオーダーメイド薬」だと言います。
これを口から飲むことによって再び情報を身体に伝えて、身体に不具合があることを教えてやり、
身体はこの情報に従って、身体を元通りにしようと、生物が本来持っているさまざまな回復させるための機能を強く活動させる、と説明されています。
西洋医学からすれば全くもって相手にされなさそうな話ですが、実は尿の成分は西洋医学での薬にも応用されてます。
例えば尿から抽出された「ウロキナーゼ」という成分は血栓を強力に溶解する酵素です。
t-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)という現在脳卒中診療で使用される抗血栓薬が現れる前は脳梗塞の血栓溶解で積極的に使用されていた薬です。
尿の中にはそれほどすごい成分が含まれていたのをアメリカのとある製薬会社が目をつけて製品化した歴史があるのです。
つまり尿のすごさは現代医学的において部分的に認められていたという事でもあると思います。
しかしながら尿のような複雑多成分系の液体の単一成分を抽出して作ったウロキナーゼのような薬は、
強力な作用を持つと同時に強力な副作用も持つ諸刃の薬である事がわかりました。
尿をそのまま飲んでいれば自分の体調に応じたオーダーメイドの症状改善をもたらしていたというのに、
単一成分を抽出してしまった事で薬にも毒にもなる両極端な存在に変貌してしまったのです。
この辺りは漢方と西洋薬の関係によく似ています。
つまり自然に生じたものを自然のまま使用する事ができれば、もともと人体に備わった複雑なシステムを介して、実に見事な改善を示す事ができるのだと思います。
言い換えれば、変に人工的な操作を加えたものにろくなものはないという事だと私は思います。
とはいえ、尿療法で言われるメカニズムは推測に過ぎず明確に証明されているものではありません。
となれば実際にやってみるしかないでしょうということで、
およそ1年前に約1ヶ月間尿を飲み続けるということを実際に試みてみました。
詳しいやり方は上記の本を参考にして頂ければと思いますが、
いきなり尿をがぶ飲みするのではなく、まずは尿を一滴舌に垂らす程度の刺激から、徐々に慣らしていくというのが標準的なようです。
そういった手順を踏まないと断食の時の好転反応のように急激な身体の変化が起こる場合があるからだそうです。
そうした事に注意しつつ、実際にしばらく飲み続けてみました。
すると尿は飲む度に味が変わり、確かにオーダーメイド的に尿が変化しているという感覚を得る事ができましたが、
残念ながら私の場合は、肥満が改善するなどといった病気を改善する効果は得られませんでした。
しかしだからといって私はこれだけで飲尿療法の可能性を完全に否定するわけではありません。
尿を飲む期間が足りなかったのか、それとも尿療法というのがまやかしだったのか、1ヶ月の実験ではなんとも言えないからです。
ただ尿がおいしいわけではないので、ずっと飲み続けるにはちょっとした覚悟がいりますので、
また折をみて二回目の実験をしてみようかと思っています。
一つ確実にわかったのは、自分にとって「尿は安全に飲む事ができる」ということです。
例えば、もしも無人島など究極の状況に自分がおかれた場合でも、
絶食と飲尿を組み合わせればかなりの間生命を維持する事もできるかもしれないなんて事も想像しました。
現実味のない話と思われるかもしれませんが、これは私にしてみれば究極の災害対策です。
糖質制限のその先へ進んでいくためにも、
私はこうした未知の可能性を秘めた治療法を、
実際に体験しつつ検証し、その経験と照らし合わせながら学んでいきたいと思っています。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
以前、災害で建物内部に取り残された人が飲尿で命を繋ぐことができたということを聞いたことがあります。
そのときは、尿には細菌が沢山いるのではないかと思っていましたが、無菌なら身体を壊すような事にはならないですね。
私の中で飲尿を治療方法として見るかどうかは『自分に必要になったとき』となりそうですが、災害時の水分補給としては有りだと思えました。
飲尿についてちゃんと知っておく必要がありますね。
すごいの一言
たがしゅう先生のチャレンジ精神には感服します。
昆虫食も私にはハードルが高いと思っていますが、
飲尿療法も現在の生活環境では、かなり緊張しそうです。
でも逆に、尿だと言われなければ、飲めてしまうのかもしれませんね。
固定観念とか、バイアスとか・・・
そういうものを捨てていくという作業が、一番難しいです。
先生とお会いして以降、他の糖質制限推進の方々と交流する機会のない私ですが、世の中では、どんどん、広まっていますね。
子供の糖質制限も2年以上経過しており、昔感じた成長に関する不安は全く消え去りましたよ。
誰にも言ったことがない。
本とかを読んでちゃんとやったわけではないのですが・・・
確実にわかったのは・・・
①ニオイの関係で、ホット(そのまま)よりアイス(氷入り)の方が飲みやすい。
②冷蔵庫などで保管するのは抵抗があるので、風呂場で新鮮なものを飲むしかない。トイレではちょっと・・・。
摂取する水分の全てを尿にしてみたら効果を実感できるのかもしれませんが、そういう訳にもいきませんから、
私も効果は実感できませんでした。
続けられなかったので仕方ありませんが・・・。
私も「いざとなったら飲める」ということが分かったのは成果だったと思います。
分かっていても普通は飲みませんからね。
このことは誰にも言ったことがないんですけど・・・。
懐疑
あらゆことを疑うことが知性の最低限の条件だと思うのですが、その意味で先生の思考は知性そのものであり素晴らしいと思います。
飲尿療法などほとんどの医者は歯牙にも掛けないでしょうが、おっしゃる通り検討してみる価値はありますね。
私も以前酷いアトピーのときに、尿を、特に酷かった手などに塗ってみたことはあります。
塗り薬に尿素が入っていることが多いこともあり、試してみました。
それなりに効果はあったようにも思えます。
ただ完治することはなかったです。
ちなみに、現在ケトン食に近い食事を1年ほど続けており、アトピーは完治しています。
もう10年以上アトピーと全身の肌の乾燥に悩まされており特に冬は酷かったのですが、今年の冬は信じられないくらい肌がしっとりすべすべしています。
さて、どんなことも一旦ゼロベースで疑い考えてみる必要があると思いますが、栄養学で言われるビタミンやミネラルの必要量というのも、やはり疑わしいのではないでしょうか。
ああいう数値は、糖質を大量に摂ることを前提に導かれているのではないでしょうか。
以前の記事で書かれているように、糖質を大量に摂ると、その代謝のために酵素や微量栄養素が(かなりの量)必要になってくるとのことですが、糖質制限やケトン食の場合は、違ってくるのではないでしょうか。
勿論、タンパク質も脂質も代謝のために酵素や微量栄養素を必要とすることは同様でしょうが、その量は変わってくるはずで、栄養学で言われる必要量は当てはまらなくなるのではないでしょうか。
また、タンパク質も、一日に体重の1000分の1g必要と言われていますが、これなどもどうなのでしょうか。
さらには、先生が関心をいただいておられる不食というものがありますが、不食を実践している人たちの書いたものを読むと、ビタミンやミネラルだけでなく必須アミノ酸や必須脂肪酸という概念すら吹っ飛んでしまいます。
植物のように太陽の光やプラーナ・気から栄養を合成しているようですが、高度な意識・精神を持つ人間だけにできることのように思えます。
例えば犬に不食をさせたとして、生き延びるでしょうか。
また人間のなかでもある種の人たちにしかできないのかな、とも思います。
もしあらゆる人が不食で生きていけるなら数億人が直面している餓死の問題・食糧問題はなくなり、素晴らしいことだと思いますが、どんな人も訓練次第・意識次第で不食は可能になるのでしょうか。
Re: タイトルなし
コメント頂き有難うございます。
> 私の中で飲尿を治療方法として見るかどうかは『自分に必要になったとき』となりそうですが、災害時の水分補給としては有りだと思えました。
そうですね。
健康な人であればまだしも、病気を持つ人の中には藁にもすがる思いで解決策を求めている人がいると思います。
医師としてその解決策を提示する際に、自分ではやった事がない事を勧める事はできません。だから私にとっては経験しておく必要があると思いました。ただ本に書かれているような様々な難病に対する効果は私によってはまだ未知数です。
しかし少なくとも災害時で限られた水分しかない状況の時に、いざとなれば自分の尿でも安全に飲めるという事がわかっていれば、本当に水分が必要な人へ譲ってあげる事ができるかもしれません。それがわかっただけでも飲尿の経験は価値のある事だったと思っています。
Re: すごいの一言
コメント頂き有難うございます。
過分なご評価、恐縮の限りです。
> 固定観念とか、バイアスとか・・・
> そういうものを捨てていくという作業が、一番難しいです。
御指摘の通りだと感じます。
一番の敵は「自分の中の思い込み」とさえ思います。
EBMが医療の世界で叫ばれるようになり、より自由な思考が制限されてしまったように思います。
前例のない発言は淘汰されてしまう世界です。それではブレイクスルーは絶対に生まれません。
いかに思い込みをはずし、広い視点で物事が考えられるかが重要と思います。それは糖質制限を知った今でも同じ事と思います。
> 子供の糖質制限も2年以上経過しており、昔感じた成長に関する不安は全く消え去りましたよ。
私も思考を進め、こどもに対する糖質制限への迷いは一切消え去りました。
唯一の懸案であった低身長への懸念も、たんぱく質をしっかり確保する事で解決できるという考えに至りました。いずれまた記事にしたいと思います。
Re: 誰にも言ったことがない。
コメント頂き有難うございます。
言い出しにくかった気持ちはよくわかります。私もこの記事を作るかどうかは少し悩みました。
しかし悩む価値のある事は、やはり議論する価値もあるのではないかと公開に踏み切った次第です。公開すれば飲尿に関する実体験に基づく意見がいろいろと聞けるかもしれないと思いました。
その意味でふぁっつおーさんがお話し頂いたこと、とても感謝しております。
Re: 懐疑
コメント頂き有難うございます。
また飲尿療法にも理解を示して頂いた事も有難く存じます。
> さて、どんなことも一旦ゼロベースで疑い考えてみる必要があると思いますが、栄養学で言われるビタミンやミネラルの必要量というのも、やはり疑わしいのではないでしょうか。
> ああいう数値は、糖質を大量に摂ることを前提に導かれているのではないでしょうか。
その通りだと思います。
私は糖質制限実践者のデータを見る時に、既存の基準値をあてにしてはいません。
むしろ患者さんの症状に注目するようにしています。例えば、HDLが高くて、LDLが低い人でも体調の悪い人はいくらでもいます。
糖質制限実践者と非実践者ではデータ解釈の方法が全く変わってくるのでその点は留意する必要があると思っています。
言い方を変えれば、糖質制限実践者に生じた基準値から外れている数値を、糖質制限非実践者の医師に相談すると的外れなアドバイスが返ってくる危険性が高いことを意味しています。
もっと言えば、糖質制限実践者の中でも1日3食食べる習慣の人と、1日1食食べる人の基準値も変わってくると思います。
特に御指摘のようにたんぱく質の必要最小摂取量は全然変わってくると思います。なぜならば食事と食事の間の時間が変わる事で、たんぱく質自己消化再利用システムのオートファジーの活性化具合も変わってくるからです。
不食の人達は、いわばオートファジーの達人的な側面があると私は考えています。例えば30日間の不食を実践されたという俳優の榎木孝明さんの本にそのことがうかがえるヒントが隠れています。いずれまた記事にさせて頂きたいと思います。
色々な療法
飲尿療法、聞いたことはあっても良く知りませんでした。
アームストロング氏は、絶食療法と組み合わせて癌などを治したそうですね。
絶食療法も、この飲尿療法と併用すると、楽に出来るとか。
そういえば自己血療法もありましたね。
自分の血を筋肉注射する。
代替医療は、本当に奥深いのですね。
希望が湧きます。
Re: 色々な療法
コメント頂き有難うございます。
飲尿療法は「最も簡単に施行できる自己組織移植」という見方もあるかもしれませんね。
自己と非自己を明確に区別できる人体のシステムは本当によくできていると思います。
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