医師を信用してはいけない
2015/05/07 16:00:00 |
ふと思った事 |
コメント:7件
糖質制限を理解し、実践する事によって、
多くの場合、病気を快方に持っていく事が可能です。
しかし糖質制限がまだ完全に受け入れられているとは言えない現状においては、
糖質制限をサポートしてくれる医療者の存在は、患者さんにとっては大きいかもしれません。
ただ糖質制限推進派の医師であれば誰でもいいのかといえば、そういうわけでもないと私は思います。
なぜならば糖質制限の理解度は医師によってかなり差が大きいからです。 例えば、糖質制限をした時に尿酸値が上昇する場合があります。
これを好ましくない変化とするかどうかは見解が分かれるところです。
好ましくない変化だとして尿酸を下げる薬を出す医師もいるかとは思いますが、
私の見解では、尿酸が上がる事を必ずしも好ましくない変化とは捉えません。
「ここで尿酸が上がる事には何らかの意味がある」と、まずそう考えます。
そもそも尿酸とは何でしょうか。
たまると痛風の原因となるもの、ですか?それはあまりに一面的な見方です。もっと本質を考えてみます。
尿酸は細胞が壊れる時に、遺伝情報を持つDNAやRNAといった核酸と総称される物質が酵素によって分解される事で発生する代謝産物です。
DNAやRNAにはプリン基と呼ばれる構造があり、分解の過程でこの構造を持っているものを「プリン体」といい、みなさんも一度は聞いたことがある言葉だと思います。
すなわち「核酸」→「プリン体」→「尿酸」、の順に代謝されていくわけです。
尿酸はこの経路での最終代謝産物ゆえに、人体の産業廃棄物という表現がなされる事もありますが、
実際には尿酸はそんな悪いだけの単純なものではありません。
人体は生命としての46億年の歴史を経て、非常に精巧に作られています。この最終代謝産物である尿酸を決して無駄にはしないのです。
尿酸が絶対悪でないことは、低尿酸血症の人が必ずしも健康でないということや、尿酸に抗酸化作用があるという事実から伺い知る事ができます。
ただの廃棄物に思われがちなこの尿酸、実はうまく再利用されて、身体の中の過剰な酸化ストレスを処理しようとしてくれていると考える事ができます。
同様にうまく再利用するシステムはグルタミン酸の代謝でも紹介しましたが、人体は改良に改良を重ね、基本的に無駄のないシステムを備えているのです。
だから糖質制限をして尿酸が上がる人は、身体の中にそれだけ修復しなければならないところが多いという事の裏返しだと私は考えます。
たとえ尿酸が高くとも、それが事態の収束に向けて頑張っている証だと判断すれば、私なら尿酸は下げません。
ただ同じ尿酸が高い人でも、酸化ストレス要因がかかり続け、その要因を除去できない人に対してはやむなく薬を使う場合もあります。
日常的に受ける酸化ストレス要因の最たるものは糖質頻回過剰摂取ですが、酸化ストレス源はそれだけとは限りませんし、すべての人がきちんと糖質制限ができるとは限りません。
従って大事な事は、尿酸の値そのものではなく、それによって代謝がどういうベクトルで動こうとしているのかを見極める事だと私は考えています。
以上は私の見解ですが、糖質制限推進派の医師が皆そう考えているわけではありません。
新しい理論ゆえに大筋で考え方が一緒でも細かいところでも同じとは限らないのです。
言い換えれば、たとえ糖質制限を理解している医師でも、全面的に委ねてしまうと実は患者さんにとってよくない治療法を勧めてしまう可能性はある、という事です。
勿論、それは私とて例外ではありません。
私は私の考えを述べますが、決して私を盲信しないでほしいと思います。
自分にとって最善の医療を考えるには、自分で考えるよりないと私は思います。
皆さんにとってのベストが尽くせるよう、医師を信用するのではなく、
是非とも医師をうまく利用して頂きたいと思います。
たがしゅう
プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
謙虚で誠実な姿勢
「すべてを疑え!』
全ての知識は、常に検証されなければと思います。
Re: 謙虚で誠実な姿勢
共感して頂き有難うございます。
どれほどの知識があろうと、結局自分の事を一番理解できるのは自分だと思います。
No title
そうですね。私も基本的に同じ考え方です。
正確には「医者の処方する薬を信じるな」でしょうか?私からみて、今の日本の臨床現場の医者は自分の処方した薬に対する責任感も知識があまりにも乏しすぎます。多くの臨床医は薬屋に買収された医者の講演会を鵜呑みにして惰性的に処方しているだけで、そこに自分の考えは全くない。
講演会の内容が真実なのかウソなのかを実際の臨床と照らし合わせて見極めようとしない訳です。
医者の処方する薬を盲信したために取り返しのつかない状況に追い込まれた患者を数多く診てきました。「薬というのはすべて毒性がある」という意識を医者も患者ももっともたなければいけません。
Re: No title
コメント頂き有難うございます。
> 「薬というのはすべて毒性がある」という意識
言葉としてはその事を認識していても、その実が伴っていない医師がほとんどだと思います。そしてその意識の希薄さは薬の過剰投薬問題につながります。
この問題を解決するには、「薬に頼らない生活」をいかに成し遂げるかが重要で、そのために核となるのが糖質制限の考え方だと思います。
管理人のみ閲覧できます
Re: No title
御質問頂き有難うございます。
もし私がその立場ならいかなる化学療法も希望しません。
それは薬の本質を考えた時に、それらの薬はどんな優秀に見える薬であっても、強制的に代謝を局所的にブロックするもの、には変わらないからです。そんなものを使えば身体に支障をきたすのも無理もありません。
それよりも私ならば、まず取り除くことができる害(糖質、ストレス、界面活性剤など)は徹底的に取り除く。話はそれからです。それでもどうしても解決できない問題にぶつかった時に症状緩和目的の必要最小限の薬の使用は希望します。その際にも一度使ったら後戻りできないような強烈な薬は私なら使用しません。
あと、人生をやり直すのに遅すぎるという事はない、と私は思っています。
あくまで一個人の意見です。参考程度にとどめて頂ければ幸甚です。
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